9月12日、九州新幹線は全線開業から半年を迎えます。震災後の出控えムードからはだいぶ脱してきたにも関わらず、新規開業区間の各駅では苦戦も伝えられる昨今。そこで、全国でも異例の短い駅間隔で設置された「筑後平野3駅」こと、新鳥栖、久留米、筑後船小屋駅を訪ね歩きました。
なお実際には筑後船小屋、新鳥栖、久留米の順番で巡りましたが、分かりやすいように北から順番に下っていきます。
新鳥栖:駅前開発はこれからが本番
4~6月の新幹線利用者は1日あたり1,500人と、想定より12%少ない値で推移している新鳥栖駅。約7,000人が利用する鳥栖駅と比べると、やや寂しさは否めない数値に留まっています。
長崎本線の駅も設けられた新鳥栖駅は、在来線との乗換駅としても機能している一方、駐車場が多いことや、駅前広場が大きく送迎もしやすいこと、周囲に住宅が多く自転車で来られる人も多いことから、在来線のみの利用者も目に付きます。
新鳥栖駅では数少ない、新大阪直通の「さくら566号」を見送り。直通列車の人気は高く、乗車率は6~7割に上っていました。新鳥栖での乗降も、数十人ずつはいたようです。直前の「つばめ344号」が乗降とも数人ずつだったのに比べて、歴然とした差になっていました。
630台と破格の規模で作られた市営の駐車場は、1日100円という割安感も受けているようで、今日も多くの車が止まっていました。稼働率は4割といったところですが、規模が大きいのでかなりの台数が止められています。余裕があり、「いつでも止められる」安心感は、大きいものと思います。
駅西口(写真左)では、引き続き「九州国際重粒子線がん治療センター」の建設工事が進んでいます。その他に駅前にこれといったものはないのですが、3年後を目処に大規模な結婚式場が進出するのだとか。隈研吾氏の設計とかで個人的には楽しみだし、遠方からの出席には便利だと思いますが、さて新幹線の利用者を押し上げるほどの効果は出ることやら?
一方の東口(写真左)は、もともと新幹線駅前らしからぬただの「集落」だったのですが、新しく賃貸のアパート(メゾネットの4世帯分)ができていました。新幹線の駅まで徒歩30秒という破格の立地条件、博多への通勤は便利で、熊本や北九州に転勤しても引っ越し不要。なかなかの物件と思います。
朝日山から見た新幹線。
久留米:がらがらの駐車場
利用者は2,450人と想定より1割少ないながら、まずまずの成績を上げている久留米駅。これまで6千人程度と言われてきた駅利用者をどの程度押し上げたのかは分かりませんが、4万人近くが利用する西鉄久留米には、まだまだかないません。
新鳥栖駅ほどではないものの、久留米駅前にも西口に293台分の市営駐車場が設けられました。ところがどこもガラガラで、第3駐車場に至っては1台しか止まっていません。
決して久留米駅の利用者が少ないわけではなく、東口にJR直営の駐車場(317台分)があること、その他にも割安な民間駐車場が周辺のあちこちにあること、加えて市民にとっては西口自体にまだ馴染みがないことなどが理由と考えられます。鳥栖並みに1日100円にでもすれば利用者は増えるかもしれませんが、民間駐車場との兼ね合いでそうもいかないでしょうから、なんとも痛し痒しな状況です。
夏休みが終わり、秋の旅行シーズンにはまだ早いということで、駅前も新幹線改札も静かなものでした。
10月に向けて近距離での料金値下げ(割引きっぷの新設?)が伝えられており、これでどう利用者が動くのかは注目されます。博多まで2枚きっぷ2千円になってもらえればずいぶん気軽に使えそうだけど、JRとしてはそこまでは難しいとの新聞報道もありました。平日は2,400円、週末はアミュの買物券1,000円分を付けて3,000円…といったところで落ち着くと予想していますが、さて結果はいかに!?
筑後船小屋:活性化への道筋は…
最後は、何かと話題の筑後船小屋駅。1日の利用者は650人で、想定よりも32%少ない値に留まっています。4月に行った時には、そんなに閑散とした感じはしなかったけどなあ…と思いながら、開業半年を迎える駅にやってきました。
西口側(写真左)は開業時と大きな変化はありません。東口側(写真右)では広域公園から槌音が聞こえてきており、芸術文化交流施設の建設が進んでいるところでした。
列車は1時間に1本しか発着しないこともあり、コンコース(写真左)もガランとした状況。熊本行きつばめ345号(写真右)は乗車・下車ともわずか6人で、確かに閑古鳥が鳴いているようでした。たまたまだったのかもしれませんが…節電で駅舎内が暗いこともあって、さみしくなりました。
ちなみに つばめ345号、自由席の乗車率は1割程度という寂しさでしたが、指定席は4割程度と比較的賑わっていました。博多~熊本間の特別割引「ビックリつばめ2枚きっぷ」の効果かな? 「さくら」と乗客を奪い合うよりも、中間各駅での乗降を増やすことこそ、本来の「つばめ」の活性化だとは思うのですが…
通過列車は多く、直線区間を駆けてくる新幹線は迫力満点です。4月の頃は見物人も多かったのですが、今日は家族連れが1組いただけでした。
一方で、不振が伝えられる新幹線駅に対して、157台分しかない駐車場の不足感は、4月と同じ。1日料金300円と羽犬塚駅周辺の駐車場より安く、在来線利用者の駐車も多いのかもしれません。今日は満車にこそなっていなかったものの、月極駐車のスペースが空けられていることを考えると、あと数台で満車扱いになりそうな状況だったと思います。
「満車の場合は筑後広域公園体育館の駐車場をご利用下さい」
と出てはいるものの、徒歩10分弱はかかる距離だけに、直前に駅に来て満車だったら目も当てられません。
かといって広域公園内だけに駐車場をやみくもに増やすわけにはいかないだろうし、どうしたものでしょうか…?
旧船小屋駅はほとんどなくなっていました。
10月の運賃値下げに続き、冬ごろにはダイヤの見直しも示唆されている九州新幹線。それと共に、筑後平野の3駅はどう変わるのか?今後も地元の新幹線を見守っていきたいと思います。
なお実際には筑後船小屋、新鳥栖、久留米の順番で巡りましたが、分かりやすいように北から順番に下っていきます。
新鳥栖:駅前開発はこれからが本番
4~6月の新幹線利用者は1日あたり1,500人と、想定より12%少ない値で推移している新鳥栖駅。約7,000人が利用する鳥栖駅と比べると、やや寂しさは否めない数値に留まっています。
長崎本線の駅も設けられた新鳥栖駅は、在来線との乗換駅としても機能している一方、駐車場が多いことや、駅前広場が大きく送迎もしやすいこと、周囲に住宅が多く自転車で来られる人も多いことから、在来線のみの利用者も目に付きます。
新鳥栖駅では数少ない、新大阪直通の「さくら566号」を見送り。直通列車の人気は高く、乗車率は6~7割に上っていました。新鳥栖での乗降も、数十人ずつはいたようです。直前の「つばめ344号」が乗降とも数人ずつだったのに比べて、歴然とした差になっていました。
630台と破格の規模で作られた市営の駐車場は、1日100円という割安感も受けているようで、今日も多くの車が止まっていました。稼働率は4割といったところですが、規模が大きいのでかなりの台数が止められています。余裕があり、「いつでも止められる」安心感は、大きいものと思います。
駅西口(写真左)では、引き続き「九州国際重粒子線がん治療センター」の建設工事が進んでいます。その他に駅前にこれといったものはないのですが、3年後を目処に大規模な結婚式場が進出するのだとか。隈研吾氏の設計とかで個人的には楽しみだし、遠方からの出席には便利だと思いますが、さて新幹線の利用者を押し上げるほどの効果は出ることやら?
一方の東口(写真左)は、もともと新幹線駅前らしからぬただの「集落」だったのですが、新しく賃貸のアパート(メゾネットの4世帯分)ができていました。新幹線の駅まで徒歩30秒という破格の立地条件、博多への通勤は便利で、熊本や北九州に転勤しても引っ越し不要。なかなかの物件と思います。
朝日山から見た新幹線。
久留米:がらがらの駐車場
利用者は2,450人と想定より1割少ないながら、まずまずの成績を上げている久留米駅。これまで6千人程度と言われてきた駅利用者をどの程度押し上げたのかは分かりませんが、4万人近くが利用する西鉄久留米には、まだまだかないません。
新鳥栖駅ほどではないものの、久留米駅前にも西口に293台分の市営駐車場が設けられました。ところがどこもガラガラで、第3駐車場に至っては1台しか止まっていません。
決して久留米駅の利用者が少ないわけではなく、東口にJR直営の駐車場(317台分)があること、その他にも割安な民間駐車場が周辺のあちこちにあること、加えて市民にとっては西口自体にまだ馴染みがないことなどが理由と考えられます。鳥栖並みに1日100円にでもすれば利用者は増えるかもしれませんが、民間駐車場との兼ね合いでそうもいかないでしょうから、なんとも痛し痒しな状況です。
夏休みが終わり、秋の旅行シーズンにはまだ早いということで、駅前も新幹線改札も静かなものでした。
10月に向けて近距離での料金値下げ(割引きっぷの新設?)が伝えられており、これでどう利用者が動くのかは注目されます。博多まで2枚きっぷ2千円になってもらえればずいぶん気軽に使えそうだけど、JRとしてはそこまでは難しいとの新聞報道もありました。平日は2,400円、週末はアミュの買物券1,000円分を付けて3,000円…といったところで落ち着くと予想していますが、さて結果はいかに!?
筑後船小屋:活性化への道筋は…
最後は、何かと話題の筑後船小屋駅。1日の利用者は650人で、想定よりも32%少ない値に留まっています。4月に行った時には、そんなに閑散とした感じはしなかったけどなあ…と思いながら、開業半年を迎える駅にやってきました。
西口側(写真左)は開業時と大きな変化はありません。東口側(写真右)では広域公園から槌音が聞こえてきており、芸術文化交流施設の建設が進んでいるところでした。
列車は1時間に1本しか発着しないこともあり、コンコース(写真左)もガランとした状況。熊本行きつばめ345号(写真右)は乗車・下車ともわずか6人で、確かに閑古鳥が鳴いているようでした。たまたまだったのかもしれませんが…節電で駅舎内が暗いこともあって、さみしくなりました。
ちなみに つばめ345号、自由席の乗車率は1割程度という寂しさでしたが、指定席は4割程度と比較的賑わっていました。博多~熊本間の特別割引「ビックリつばめ2枚きっぷ」の効果かな? 「さくら」と乗客を奪い合うよりも、中間各駅での乗降を増やすことこそ、本来の「つばめ」の活性化だとは思うのですが…
通過列車は多く、直線区間を駆けてくる新幹線は迫力満点です。4月の頃は見物人も多かったのですが、今日は家族連れが1組いただけでした。
一方で、不振が伝えられる新幹線駅に対して、157台分しかない駐車場の不足感は、4月と同じ。1日料金300円と羽犬塚駅周辺の駐車場より安く、在来線利用者の駐車も多いのかもしれません。今日は満車にこそなっていなかったものの、月極駐車のスペースが空けられていることを考えると、あと数台で満車扱いになりそうな状況だったと思います。
「満車の場合は筑後広域公園体育館の駐車場をご利用下さい」
と出てはいるものの、徒歩10分弱はかかる距離だけに、直前に駅に来て満車だったら目も当てられません。
かといって広域公園内だけに駐車場をやみくもに増やすわけにはいかないだろうし、どうしたものでしょうか…?
旧船小屋駅はほとんどなくなっていました。
10月の運賃値下げに続き、冬ごろにはダイヤの見直しも示唆されている九州新幹線。それと共に、筑後平野の3駅はどう変わるのか?今後も地元の新幹線を見守っていきたいと思います。