老いの途中で・・・

人生という“旅”は自分でゴールを設定できない旅。
“老い”を身近に感じつつ、近況や色々な思いを記します。

言葉の語源など  その(33)  ~のべつまくなし/しっちゃかめっちゃか/てれこてれこ~

2020年02月20日 20時29分35秒 | 面白い言葉や語源など
 何気なく使っている言葉でも、その語源などが気になる言葉があります。
最近、気になった言葉の語源などを調べてみました。

〈のべつ幕無し(幕なし)〉
・「ひっきりなしに続くさま」を表す言葉ですが、語源由来辞典によると、「のべつ」は「述べる」の「述べ」に助動詞の「つ」がくっつき、“絶え間なく続く様”を意味し、「幕なし」が“芝居で幕を引かずに演技を続ける”ことなので、同義語を重ねて強調した言葉だとあります。

・この言葉の誤用としては、「のべつ隈(くま)なし」と、「のべつ暇(ひま)なし」が挙げられていますが、文化庁が発表した平成23年度「国語に関する世論調査」では、本来の言い方とされる「のべつまくなし」を使う人が42.8パーセント、本来の言い方ではない「のべつくまなし」を使う人が32.1パーセントという結果が出ているようです。


〈しっちゃかめっちゃか〉
 物事が入り乱れた混沌とした状態を表す擬態語。「めちゃくちゃ」に近いが、「しっちゃかめっちゃか」のほうが混乱度合いが大きい。
一部の地域では「っちゃかめっちゃか」と発音されるようです。


〈てれこてれこ〉
 『てれこ』とは、「互い違い、食い違い、入れ違い、あべこべ」という意味の関西弁です。
「なんや、てれこな話しやなぁ」と言えば、「話があべこべだ」という意味になります。
また、私も電話などの連絡が互い違いになって上手くいかない時などには、「テレコテレコで連絡とれん!」といいます。

 この言葉の語源は、歌舞伎の世界で「二つの異なる筋を一つの脚本にまとめ、一幕おきに交互に展開すること」を「てれこ」と言っていたもので、これが転じて、今では「互い違い」などの意味でさまざまなシーンで使われるようになったようです。

 関西由来と聞くと、庶民言葉かと思ったのですが、そうではなかったようです。
また、上記の「のべつ幕無し」といい、芝居や歌舞伎などに由来する言葉が随分多いようですが、芝居や歌舞伎などが庶民の大きな娯楽の一つだったからでしょうか。(まさ)

女房言葉 その③  ~追記~

2020年02月19日 19時52分30秒 | 面白い言葉や語源など
 WIKIPEDIAでは、上記の「〇〇もじ」や「お〇〇」以外にも、擬態語・擬音語・比喩などの表現を用いる女房言葉も挙げられていましたが、少し判りにくかったので省略します。

 ただし。女房言葉のことを書き込んでいると、祖母が使っていたことばを更に3つほど思い出しました。
何れも語頭に「お」がつくのですが、女房言葉かどうかはっきりとは判りかねましたので、追記として触れさせていただきます。


◆おこうこ
・Goo辞書によれば“「香香(こうこう)」の丁寧な言い方。漬物。香のもの。こうこ”とあります。

・この「香香(こうこう)」については、コトバンクに拠れば、“(こう)の物の「香」を重ねたと女房詞”で、野菜を、糠味噌(ぬかみそ)や塩につけた食品、古くは味噌漬(みそづけ)をいい、また、沢庵漬(たくあんづけ)をいう場合もある。こうのもの、つけもの、こうこ とあり、漬け物のようです。

・その後、この「こうこう」が音変化で「こうこ」になったようです。

・また、「お新香」や「おしんこ」と呼ばれることもあるようです。

私のうろ覚えの記憶では、祖母が「おこうこ」という場合は「たくあん漬け」指し、その他の漬け物は「おくもじ」と言って区別していたように思います。


◆おくどさん
祖母は、「かまど」のことを、「おくどさん」とよく言っていましたが、Goo辞書では、「かまど」の京都の方言とありました。

しかし「ことばJapan」によれば、“「おくどさん」は「お曲突さん」と書く。「くど」とは「火処(ほど)」を意味しており、前後に「お」と「さん」を付けた最高尊敬語といえるだろう”とあり、女房言葉のようにも思えます。

更に、“「くど」は、現在では火を焚く「かまど」や「かまど」のある場所を意味することばとして使われ、「町家の台所」みたいなイメージで受け取られている場合が多いのですが、本来はかまど神信仰に基づく神様を表したことばであり、かまど神とは、「荒神(こうじん)さん」が「かまど」に宿るという民間信仰に基づき、「三宝荒神」を意味している”とありました。


◆おみおつけ
更に、祖母は味噌汁のことを「おみおつけ」と言っていたようにも思います。

・WEBLO辞書によると、“「おみおつけ」は漢字表示では「御御御付け」となるが、「おみ」は「味噌」「おつけ」は「汁」を意味する女房言葉。江戸時代に江戸の地で使用されていた。または御御御汁と書き、「おつけ」にさらに接頭辞が付いたという説もある”と書かれています。

・ジャパンナレッジによると、“ご飯につけるみそ汁の女房詞『おつけ』に、さらに丁寧語、尊敬語の「御御(おみ)」をつけて御御御汁(おみおつけ)としたもので、敬語が三つも重ねられているのは、よほどその価値を高く評価したのであろう”とWEBLO辞書の後の方の解釈と同じ意見です。

・この丁寧語、尊敬語の「御御(おみ)」は、非常に珍しい用法かと思っていたら、お神酒(おみき)、お神輿(おみこし)、お御籤(おみくじ)など神社に関してはいまだに使われていますし、おみ足(おみあし)などもその名残の言葉のようです。


 以上、祖母が使っていた、食事や台所に関する「お」が語頭につく言葉である、おこうこ/おくどさん/おみおつけに関する調査結果では、やはりいずれも女房言葉の範疇に入る言葉と言っても良いのではないかと思います。(まさ)

女房言葉 その②  ~語頭に「お」が付く言葉~ 

2020年02月18日 19時46分24秒 | 面白い言葉や語源など
 「文字詞」の次は、語頭に丁寧語の「お」を付ける言葉で、現在でもそのまま使われている言葉がたくさんあります。

◆WIKIPEDIAに記載されている内から、抜粋してみます。
 おかか(鰹の削り節) :「お」+「鰹節」の「か」を2回重ねたものか
 おかき(欠餅=かきもち): 当初は「鏡餅」を砕いて焼いて食べたことから
 おかず(御菜):  惣菜は数々取り揃えるものであることから
 おから : 大豆から豆乳を絞った後の残りかす。
 おこわ : 強飯=こわめし
 おさつ : 薩摩芋:さつまいも
 おでん : 味噌田楽、煮込み田楽 
   おでんは本来は豆腐などを串に挿して味噌などを付けて焼く田楽の意であるが、
焼かずに煮て調理する煮込み田楽が普及し、煮込み田楽の意で使われるようになった。
 おなら(屁) : 「鳴らす」から来た語。
 おにぎり・おむすび: 握り飯
 おはぎ(牡丹餅) : 小豆の粒を萩の花に見立てた表現
 おはぐろ : 元は「歯黒め」と言った
 おひや(水): お冷。冷水のこと
 おまん : 饅頭

◆上記には含まれてはいませんが、Nライフコラムというホームページには、同じく女房言葉として、下記の3件が挙げられています。
・「美味しい」:「いし」という古語の形容詞に、接頭語「お」が付いて「おいし(い)」となった。いしは「美し」とも書き、好ましい、優れるという意味。味がよいことを丁寧な表現で言おうと、おいしいという言葉ができたといわれる

・「お造り」:魚の刺し身(切り身)のことだが、特に武家社会では「刺す」「切る」といった言葉を嫌った。また当時、都だった関西地方では魚を切ることを「つくる」と言い、刺し身を「造り身」と言った。これに接頭語を付けて、お造り身となった。その後、身が省略されて、お造りとなった。

・「おもちゃ」:手に持って遊ぶものという意味で「持て遊び」と呼んでいた。やがて「持ち遊び」となり、「もちゃそび」に。さらに「もちゃ」と省略されて、接頭語が付いて「おもちゃ」といわれるようになった。


 普段何気なく使っている言葉が多いですが、おでん/おひや/美味しい/お造り/おもちゃなども女房言葉だったとは驚きです。(まさ)

女房言葉 その①  ~語尾に「もじ」が付く言葉(文字詞)~ 

2020年02月17日 20時18分34秒 | 面白い言葉や語源など
 「ネブカ」に関する記事を作成中に、祖母の使っていた色々な言葉を思い出しました。
我が家では両親が共働きだったため、祖母が食事を担当することが多かったためか、食事に関する言葉が沢山記憶していますが、その中で特に残っているのはと「おくもじ」という言葉です。

 この言葉のニュアンスからして、京言葉だと思い込んでいたのですが、少し違っていて、女房言葉という範疇に入るようです。


 例によって、WIKIPEDIAで調べてみると、“「女房言葉(にょうぼうことば、女房詞)」とは、室町時代初期頃から宮中や院に仕える女房が使い始め、その一部は現在でも用いられる隠語的な言葉である。
語頭に「お」を付けて丁寧さをあらわすものや、語の最後に「もじ」を付けて婉曲的に表現するなどがある。 その他にも、略形や擬態語・擬音語、比喩などの表現を用いることもある。
優美で上品な言葉遣いとされ、主に衣食住に関する事物について用いられた。後に将軍家に仕える女性・侍女に伝わり、武家や町家の女性へ、さらに男性へと広まった”とありました。

 現在でも遣われている言葉は多いようで、この項を始める経過から、とりあえずは〈語尾に「もじ」が付く言葉〉を取り上げますが、この言葉は「文字詞」とも呼ばれるようです。


 WIKIPEDIAやコトバンクなどを参考に、例を挙げてみましょう。

 おくもじ : 奥さん+文字
 おくもじ : 酒、漬物、苦労
  「お」は接頭語「御」
  「九献(くこん)」の「く」+文字 ⇒お酒
  「茎(くき)」+文字 ⇒漬物
  「苦労」+文字 ⇒苦労
 おめもじ : 御目にかかる
  「御目にかかる」の「おめ」+文字
 かもじ  : 母または妻「かか」+文字、付け髪の場合は「髪文字」
   ※ コトバンクに拠ると、加文字とも書く。髪文字の略。女性が日本髪を結うとき頭髪に補い添えるための髪
 くろもじ : 植物名及びそれで作った楊枝
 しゃもじ(杓子) :「杓子(しゃくし)」の「しゃ」+文字
 そもじ  : 「そなた」の「そ」+文字
 ひもじい : 「空腹である」という意味の「ひだるい」の「ひ」+文字
 ゆもじ(浴衣) : 「浴衣(ゆかた)」の「ゆ」+文字


 確かに「おくもじ」がありましたが、何気なく使う「しゃもじ」や「ひもじい」などもそうだったんですね。(まさ)

タイの頭かイワシの頭か? 

2020年02月16日 20時04分43秒 | 政治・経済・環境・核兵器など
(今日は、日曜日としては久しぶりの雨で、テニスもできず家の中の片づけを終えて、PCの前に座れる時間がありましたので、このブログの書き込み準備などをタップリできましたので、後4~5日は悩まずに他の要件に掛れそうです。)

 先日の衆議院予算委員会で立憲民主党の辻元清美氏が、質問を終えた後に「鯛は頭から腐る。上層部が腐敗していると残りも すぐに腐っていく。頭を替えるしかない」というような内容の自分の意見を述べて安倍首相を批判したことに対して、「意味のない質問だ!」とヤジを飛ばした安倍総理に野党が反発。これに対して賛否両論が入り乱れて一騒動になったことが話題になっています

 私は、企業などで“組織は頭から腐る”というような表現がよく使われるので、これと同じような言葉だと思っていたのですが、『鯛は頭から腐る』という言葉を知らなかったので、念のために少し調べてみました。

 やはり、日本や中国の諺などには「鯛は頭から腐る」に類する諺は見つけることがきませんでしたが、https://budo-no-hana.com/やhttp://agora-web.jp/に拠ると、ロシアやトルコにはこのような諺があり、“組織は上層部からだめになっていく”とか、“無能な指導者が相次いで国が廃れる”などの比喩とされているようですので、辻元氏がこれを知っておられたとすれば、その指摘はあながち無理なこじつけではないようです。

 もりかけ問題や桜を見る会の経緯を見てみると、「魚心あれば水心」のように知人やお友達を優遇し、あげくは「臭いものには蓋をする」ように数々の隠ぺいがなされたことは多くの国民が感じていますが、これに追随するように各官庁で書類の廃棄や隠ぺいが横行しています。

 この体質はますます酷くなり、
・最近では従来の法解釈を捻じ曲げてまでも、東京高検検事長の定年を延長して、高裁検事の人事を恣意的に図ろうとしていますし、
・更に人命に関わりかねない事項としては、日本原子力発電が敦賀原発2号機の再稼働に向けた審査資料で、活断層の存在を隠ぺいするようなデータ削除までしました。


 正に、ロシアやトルコの諺のように、“魚が頭から先に腐り始めるように、組織もトップがだめだと下もそれに倣い、やがて全体が劣化する”状態が露骨になっているのですが、これに対するマスコミなどの反応は極めて弱いように思えます。


 また、この件に関して私なりに下記のようなことも思い浮かべました。

◆辻元氏は何故「魚」一般ではなく、「鯛」という表現をされたかということです。
 「魚」でも意味は同じだったのに、「鯛」といことばを使われたので、私は『腐ってもタイ』という諺を思い浮かべました。
これは、“タイは魚の王様”というような意味を含んだ諺なので、最近の自民党なり安倍政権に対等に対応できない野党の状況を脳裏に置かれたのかと思いました。
正論なら、卑屈にならずに堂々とされていてもいいのではないでしょうか。

◆もう一つ思い浮かべたのは、『鰯の頭も信心から』という諺です。
 これは、“たとえどんなつまらないものでも信心のしかたしだいで、尊くありがたいものになるという”宗教的な意味を持つ諺ですが、今の自民党や官僚を見ているとみていると、その不甲斐なさにびっくりします。
まさに、人事権を持てば、鰯でもタイを超えることができるのでしょう。
(まさ)