私が中学生の頃、ST管と呼ばれる真空管で並4ラジオと呼ばれるストレートラジオを作ったことがあります。主流のスーパーヘテロダイン方式は高校生になってから作りました。今回、全く音が出ないストレート方式のトランジスタラジオを修理することになりました。このトランジスタラジオの商品名はHomerで、日乃出、プリンス、ACEなどのラジオ製作初心者向けのブランドの一つです。どちらかと言うと、素人用又は教育用のラジオです。私も昔、お世話になりました。
全く音が出ないストレート方式(レフレックス)ラジオ
このラジオは、レフレックス方式のストレートラジオです。高周波と低周波を一つのトランジスタで増幅します。ストレート方式のためAGCが無く、電波の強さがそのまま音に出ます。感度と選択度はスーパーヘテロダイン方式に劣ります。しかし、分かりやすい構成のため、ラジオ製作に興味をもつ人が必ず一度は通過する方式です。
裏蓋を外して中を見る、古いにも関わらず意外と綺麗
裏蓋を外したついでに中の部品を調査しました。レフレックス部に松下製のシリコントランジスタ2SC1329が1個、低周波増幅とP.P部には、松下製のシリコントランジスタ2SC828が3個使われていました。シリコントランジスタが使われていることを見ると昭和50年以降に製造されたようです。珍しいのはレフレックス部に高周波トランスが使われていることです。5mH程度の高周波チョークコイルが使われていることが多いので、久しぶりに見た高周波トランスでした。
バリコンの隣に高周波トランス 低周波増幅はP.P方式
ラジオの故障のうち、断線や電源関連の故障の場合は全く音が出ません。電源関連の故障でない時には、ボリュームを動かすとクリック音やザーザーなど何らかの音が出ます。今回は全く音が出ないので断線か電源関連だと想定していたら全くそのとおりでした。イヤホン端子からスピーカーに繋がる電線が断線していました。見た目には繋がっていましたが、手で持つと簡単に離れてしまいました。
イヤホン端子に繋がる電線 白丸は断線していた電線
断線していた電線を半田ごてで繋ぎました。そして、電源の9V(006P)電池を入れてスイッチを入れるとちゃんと音が出ました。驚いたのはとても音がクリアなことです。ストレート方式のラジオは電波にのった音がそのままスピーカーに出力されるためだと思います。スーパー方式のラジオは、中間周波の帯域幅の制限などによって高域が出にくいことがあります。しかし、ストレート方式のラジオは感度と選択度はスーパー方式にかなわないものの、音の再現度や忠実度は勝っていると思います。
断線した電線を半田ごてで繋ぐ、修理完了
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