とぎれとぎれの物語

瀬本あきらのHP「風の言葉」をここで復活させました。小説・エッセイをとぎれとぎれに連載します。

合同会議の夜

2012-09-11 23:32:51 | 日記
合同会議の夜



 古賀画伯の提唱で、合同の打ち合わせ会が開催される運びとなりました。開催時刻は夜の8時。場所は小学校。参加者は町興しに携わるすべての該当者。私は長柄さんと二人で出かけました。学校の跡地が近くなると、無数の照明が目に飛び込んできました。

 長柄さん、あの照明はすごいですね。だれの発案ですか。

 それがよく分からないそうです。自動点灯のようで、日が落ちるとぱっと一斉に点く仕掛けになっているそうです。

 きれいだ。すごい、すごい。これにニケの像が加わればいっそうすごいことになりそうですね。

 ええ、地元の方は勿論、他からも聞きつけて見物客が増えてきたそうです。・・・ああ、ほら、ちらほら人影が見えますね。

 ほんとだ。そう言いながら私は小学校の坂道を登っていまきした。会議室に入ると、たくさんの参加者が席について何か話し合っていました。古賀さんが大声で前に詰めてくださいと何度も叫んでいました。私たち二人は後ろの座席に座り、周りをきょろきょろ眺め回していました。よく知っているお方がほとんどでしたが、あまり見かけないお方も数名いるようでした。私は、岡田さんの関係のお方だと想像していました。すると、その岡田さんが急に後ろから話しかけました。

 たくさん集まりましたね。驚きました。

 あっ、岡田さん、どうも・・・。今日は岡田さんのお仲間も来ておられるようですね。私は尋ねました。

 そうです。5名だけ代表者が来ています。

 照明、もしかして、岡田さんが・・・。

 ああ、照明ですか。あのー、この前お話しした娘さんが仲間と一緒に取り付けたそうです。

 えっ、そうですか。で、その方来ておられますか。

 来てます。・・・あの前の入り口に立っているのがそうです。そう言われて、私はその女性を見ました。とても地味な服装でしたが、顔立ちが整った美しい方でした。冴子さんに似ているような気もしました。

 それで、岡田さん、あんなにたくさんの照明、相当なお金が・・・。

 いや、そうなんです。私の想像ですが、あの出雲画廊さんが出されんじゃないかと・・・。

 冴子さんが・・・。

 じゃないかと・・・。

 そうですか。私はそう言いながら、冴子さんと娘さんの関係に強い関心を持ち始めました。


 

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