医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

ゼチーアの効果について間違った解釈

2011年05月03日 | 生活習慣病

国の方向性を決定する重大な結論を下す者は、それなりの覚悟と責任を持たなければなりません。近年、日本は「ゆとり教育」で多くの時間と学力を失い、その反省から最近やっと方向転換をしようとしていますが、「ゆとり教育」は誰が推進したのかはっきりせず、責任の所在がうやむやになったままです。

この度の福島原発事故でも、多額の研究寄付金を東京電力からもらっている東京大学工学部教授は、東京電力が不利になることはテレビで言えず、素人でも間違いと分かる「健康に被害をもたらすことはない」というコメントを繰り返すばかりでしたが、1か月も経過するとそのコメントは間違いだったことは誰にでもわかります。やはりあの時、東京大学工学部教授は「健康被害がでる恐れがある」と正しいことを言うべきだったのでしょう。東京電力に研究者の魂を売ったと言われても仕方がありません。

2007年7月に発生した新潟中越沖地震で東京電力の柏崎刈羽原発は緊急停止し、それほどの地震に見舞われる土地になぜ原発が建てられたのかが大きな問題となりました。その設置申請時に周辺海域の断層評価でミスを犯し、その失態を見抜けなかった安全審査の議事録はないと国は主張しています。ないはずはありません。原子力安全委員会は「なぜないのかわからない」と繰り返すばかりで、原告の弁護団は「後のチェックを逃れるため議事録がないことにしたのではないか。審査に問題があっても証拠がなければ批判されないから」とコメントしています。

↓この本に詳しく載っています。東京電力って、姑息なことをいっぱいしています。
原発と地震―柏崎刈羽「震度7」の警告


つまり、「ゆとり教育」で誤った判断をした文部科学省の者も、福島原発事故で誤ったコメントをした東京大学工学部教授も、柏崎刈羽原発建設で誤った審査をした原子力安全委員会の者も、どうせ証拠が残らないから、あるいは国民はその証拠を捜し出せないからと、恣意的にしても無意識にしても、当初から責任など感じていないのではないかと思えます。

さて話は変わって、上の図左は交通死亡事故の減少に多賀大社のお守りが有効かを示したものです。「シートベルト」と「お守り」のどちらも使用しない群と比較して、「シートベルト」と「お守り」を使用した群では交通死亡事故は減少しており、「お守り」の効果があるということです。

そんな解釈は成り立ちませんね。

「お守り」の有用性を確かめたいなら、「お守り」を使用しない群と「お守り」だけを使用する群を比較するか、「シートベルト」だけを使用する群と「シートベルト」と「お守り」の両方を使用する群を比較するべきで、どちらも使用しない群と「シートベルト」と「お守り」を使用した群を比較して、「シートベルト」と「お守り」を使用した群で交通死亡事故は減少していたからといって、それが「お守り」のためであるとはいえません。交通死亡事故が減少したのは「シートベルト」だけのためである可能性が否定できないからです。

何かの有効性を検証しようとするなら、検証したいものの「ある」「ない」だけを変え、あとの条件は全て統一しなければいけないことは、中学生でも分かります。

上の図右は「シンバスタチンという悪玉コレステロール低下薬」と「ゼチーア」を使用すると、そのどちらも使用しなかった群と比較して、心筋梗塞などの発症が減少したので、「ゼチーア」は有効だといっているデータです。

大阪大学 森下竜一 教授は「ゼチーア併用療法の予後改善が証明されたことで、ゼチーア投与の意義がより明らかになった」と、一字一句間違いなくこのようにコメントしていますが、この比較でゼチーア投与の意義が明らかになりますか?私には理解できません。

恣意的にしても無意識にしても、どうせ証拠が残らないから、あるいは国民はその証拠を捜し出せないからと、国民に不利益になる(効果のない薬を買わされる)コメントが間違って公言されることがあれば、それは大問題だと思いますし、その証拠はしっかりと残したいものです。


そういう訳で、公共の利益が害されることがないように公益目的で、このブログに証拠を残しておきます。


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1 コメント

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Unknown (PIGS)
2011-07-25 02:41:35
スタチン剤の単剤投与では、既にいくつかの試験が行われており、CKDの進行状況によってポジティブであったりネガティブであったり、結果にバラつきがあるのが現状でした。(筋融解を否定できませんでした。)

今回の併用投与について、ポジティブの結果がでたのであれば、なにも問題ないと思うのですが、いかがでしょうか?
併用が認められている薬剤ですし。
貴殿の文章はいつも参考にさせていただいておりますが、たまに恣意的すぎることがあるような気がしております。

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