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認知症研究で「不眠症」と「睡眠薬の内服」が多重共線性になる理由

2023年01月08日 | 神経
以前、睡眠薬の使用は認知症を誘発しないで、睡眠薬を内服しすぎると認知症になりやすくなるのかどうかは、多重共線性のために正しい結論が出せないということをお伝えしました。

糖尿病の人は認知症になりやすいということは病理学的な研究で示されていましたが、それでは糖尿病薬を内服していると認知症になりやすいのか?(そうではないと推測できますが)も同様に多重共線性のために正しい結論が出せません。

上の図はその理由をわかりやすく示したものです。
よく眠れなくて医療機関を受診し、「睡眠薬」は処方されずに「午前中に明るい光を浴びて下さい。夕方以降カフェインを含んだ飲物を飲まないで下さい。就寝の食前には熱い風呂には入らないで下さい」という助言だけで、「睡眠薬」を処方されない場合はどれくらいあるでしょうか。百歩譲って2割ぐらいはあるとしても、80%のケースは「不眠症の病名」=「睡眠薬の処方」ではないでしょうか。
また糖尿病と診断されて、運動・カロリー制限で投薬なしの場合も20%もないでしょう(糖尿病の場合はもう少しあるかもしれません)。

上の図ではそれを80対20で表しています。ここでお気づきと思いますが、不眠症でないのに睡眠薬を内服する場合や、糖尿病でないのに糖尿病薬を内服する場合がないのです。
そして、不眠症と診断されてずっと投薬なしで治療されている人が、統計解析するには少なすぎるのです。

不眠症でないのに睡眠薬を内服する人を調査に組み込むことなど、現実世界では不可能です。
これが睡眠薬を内服しすぎると認知症になりやすくなるのかどうかは、多重共線性のために正しい結論が出せない理由です。

米国ではラジオなどで「○○の被検者を募集中です。年間1,000ドルの研究協力金が5年間支払われます。希望者はマサチューセッツ総合病院、617-○○○-○○○○まで」という募集が行われることがあります。参加してくれる人は貧しい人が多く、ボランティア精神というよりお金がほしい人が多いのです。

比較対象者を組み込まないと、睡眠薬を内服しすぎると認知症になりやすくなるのかどうかは、多重共線性のために正しい結論が出せません。しかし、不眠症でないのに睡眠薬を内服してくれる人などいないでしょう。


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