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アリセプトの効果 アルツハイマー病の臨床研究問題

2014年01月11日 | 神経
アルツハイマー病の臨床研究に問題があることが明るみになりました。ご存じのように最近ノバルティスファーマ社が行った臨床研究がインチキであったことが明らかになった直後なので、昔ならこのまま内緒にしていたのかもしれませんが、筑波大学の教授が問題を指摘して、東京大学の主任責任者が「条件に合わないという患者については代表としての責任で例外として承認したはずで大きな問題ではないと考えている」とコメントしました。せっかく自分の名声が上がると思っていたのに、最悪の場合、自分がクビになってしまうと思い、公表したのでしょう。また東京大学ですか、トホホですね。

そもそも、認知症の薬って本当に効くのでしょうか?そこで認知症治療薬の1つであるアリセプトの効果を調べた臨床研究の論文をご紹介いたします。

Vitamin E and Donepezil for the Treatment of Mild Cognitive Impairment
N Engl J Med 2005;352:2379
↑(インパクトファクター★★★★★、研究対象人数★★★☆☆)
↑医学の分野で最も信頼性が高い医学雑誌に掲載されている研究成果です。

この調査では、軽度のアルツハイマー型認知症の患者が偽薬投与群259名と アリセプト10mg/日投与群253名に割り付けられ、3年間の認知症の程度が評価されました。

結果は、左図のように、偽薬群、アリセプト投与群でアルツハイマー型認知症の進行は3年後で差はありませんでした。

アリセプトの副作用は、承認時、及び市販後調査では発現頻度1%以上のものは、悪心(2.66%)、食欲不振(1.94%)、嘔吐(1.42%)、下痢(1.31%)と報告されていますが、この調査では下痢16.7%、嘔気8.4%、悪夢6.8%、嘔吐6.0%、関節痛5.2%と頻度が高くなりました。

つまり、アリセプトは軽度のアルツハイマー型認知症にはほとんど効果がなく、副作用はかなりの頻度で出現するということです。

既にお気づきかと思いますが、悪玉コレステロール低下薬、禁煙補助薬、認知症治療薬など、ファイザー社はほんの一部の患者にしか効果がない薬を、ほとんどの人に効果があるように見せかけて販売するのが、常套手段のようです。

アリセプトの10 mgは1錠636円、1か月約1万9千円かかります。藁にもすがりたい患者たちを獲物にして、またしてもここで製薬会社はボロもうけですね。

一方、動脈硬化が原因の認知症に対する効果は、次の論文で報告されています。
Efficacy and Tolerability of Donepezil in Vascular Dementia
Positive Results of a 24-Week, Multicenter, International, Randomized, Placebo-Controlled Clinical Trial
Stroke. 2003;34:2323-2332
(インパクトファクター★★★☆☆、研究対象人数★★★☆☆)

この調査では、動脈硬化が原因の認知症の患者が偽薬投与群199名と アリセプト5mg/日投与群197名、アリセプト10mg/日投与群206名に割り付けられ、2年間の認知症の程度が評価されました。

結果は、右図のように、偽薬群、アリセプト投与群を比較すると、動脈硬化が原因の認知症の2年後の進行は投与群で進行が抑えられていました。

認知症は長谷川式スケールで評価できます。

軽度の痴呆症を鑑別する場合は、かなひろいテストが有用です。

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1 コメント

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マダラボケ (きらきら星)
2014-01-13 14:52:12
初期の認知症で、”まだらボケ”の時期があり、この時に飲むと周りの人にも正気に戻ったように見えます。本人も当然薬が効いたと大喜び。”まだらボケ”は時々正気に戻ることを医者はもっとしっかり言わなきゃー、自分が”ぼけ医者”の烙印を押されちまうよ。
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