医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

医療従事者のネクタイについて

2009年03月29日 | 総合
昨日は医師国家試験の合格発表でした。受験生の皆さん、試験勉強お疲れ様でした。

4月1日より新しい研修医が研修を始めます。

さて、今から20年ほど前、私が研修医の時の病棟医長は男性の医者に全員ネクタイを着用するように命じていました。理由は「ネクタイ着用はキチンとした服装だから。患者の前ではキチンとした服装をしなければならないから」だそうです。しかし、三段論法で考えますと、この2つの前提から「患者の前ではネクタイを着用しなければならない」という結論が必ずしも導き出されるとは限りません。

この論法は少し考えると間違っている事がわかります。それは、ネクタイ着用だけがキチンとした服装ではないからです。それに当時の私には、「はたして患者は医者がネクタイをする事を本当に望んでいるのだろうか」という疑問がありました。


さて、前置きはこれぐらいにして、2007年に英国保険省から根拠に基づいた医療従事者の望ましい服装が発表されています。

それによりますと、ネクタイは毎日着用されるにもかかわらず洗濯される頻度が少なく、患者の診察に際し何の利益もないだけでなく、細菌の温床になるため、着用すべきではないと書かれています。

20年前の病棟医長の感覚や感情に基づいた判断がいかに危ういか、不安定かを表した典型的な例だと思います。皆さんの中でネクタイを1ヶ月に1度以上洗濯する人がどれくらいいるでしょう。診察中に咳をした患者の飛沫をもろに受けたネクタイが1ヶ月以上洗濯されずに使用され続けるのです。


その他、ユニークな項目としては、

「患者のケアの際は半袖の衣服を着用し、長袖の白衣を避ける」
袖口は患者と接する可能性が高く、細菌の温床になりやすいからだそうです。なるほどごもっともです。でもアメリカの病院のように、冬場でも汗がでるほどガンガン暖房をしている所では可能でしょうが、日本の病院では冬場は少し辛いものがあります。

「固底の靴、つま先が開いた靴は避ける」
つま先が開いた靴は(血液が付着するなど)医者の安全が確保できないため、底が固い靴は患者からすれば「うるさい」からだそうです。

「病院外を移動する際はユニフォームが見えないように覆う」
ユニフォームで外出したからといって感染の危険が高まる根拠はないが、患者の信頼感に影響を与える根拠があるそうです。すこし意味不明なところがありますが、白衣のまま病院の隣のコンビニで自分の主治医が「週間アサヒ芸能」の「原紗央莉無上SEX/激撮出水麻衣魅惑のパンチラ」という記事などを読んでいるのを患者が目撃すると(すみません、週間アサヒ芸能を特別視しているわけではありません)、ちょっと信頼感が薄れるということなのでしょう。

しかしアメリカでは、特にパラメディカルの人は術着のまま出勤したり、近くのベーグル屋で朝食を摂っていたりするのを良くみかけます。

原文はこちらをご覧下さい。


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成人後のファストフード好みは10代のテレビの見過ぎが原因

2009年02月14日 | 総合
Does television viewing predict dietary intake five years later in high school students and young adults?
International Journal of Behavioral Nutrition and Physical Activity 2009
(インパクトファクター★★☆☆☆、研究対象人数★★★★★)

この研究では、中学生564人と高校生1,366人を対象に1日あたりのテレビ視聴時間と5年後の食生活が検討されました。

その結果、1日5時間以上テレビを見ていた高校生は1日2時間以下の高校生と比較して、5年後、果物や野菜、全粒穀物、カルシウムの豊富な食品はあまり摂らず、スナックや揚げ物、甘味飲料、トランス脂肪酸を含む食品を多く摂取していました。

また、テレビを見る時間が長い思春期の若者の1日のカロリー摂取量は、適度な時間しか見ない若者に比べて、平均で約200kcal多いことが明らかになりました。


著者らは
(1)結果の原因として、ファストフードレストラン、スナックやその他の不健康な食品のコマーシャルを見る時間が長すぎることが関与している。テレビを見ながらの食事は、コマーシャルで見る食品を摂取する可能性を高めていると言える。

(2)子どもの食生活を健康的にするには、親がテレビを見る時間を制限し、健康的な食習慣を身につけさせることが必要。

(3)不健康な食品のコマーシャルと四六時中テレビの前に座り間食するライフスタイルのどちらが、あるいは両方が悪い食生活の原因となっているのかは明らかではないが、いずれにしてもテレビは1日2時間以内にすべきである。

と結論づけています。

原文はこちらです


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軽症なのに救急外来…123病院で「加算金」徴収

2008年12月27日 | 総合
緊急性がないのに夜間・休日に救急外来を受診する軽症患者から、全額自費の時間外加算金を徴収することを地方厚生局に届け出ている病院が、123施設に上ることが読売新聞の調査で分かった。

制度は1992年に始まったが、最近5年間で76施設も増加。このうち最も多かった理由は軽症患者の抑制で、44施設と6割近くに上る。

医師不足などで患者の「たらい回し」が相次いでいるほか、軽症患者が安易に病院に行く「コンビニ受診」が問題になっているが、勤務医の負担を軽減するための“自衛策”が広まりつつある。

時間外加算金は、例外として保険適用外が認められた制度。医療機関は、管轄の地方厚生局に届け出れば、緊急性がないと判断した患者から徴収できる。

本社が12月1日時点で調べた。過去5年間に届け出た病院の設定額は8400円~300円。7施設は徴収を始めていない。

夜間・休日の軽症患者の受け皿としては、地域の夜間診療所や当番医がある。時間外加算金を徴収している複数の病院によると、軽症患者が「病院の方が安心でき、夜だと待ち時間が短い」「当番医は毎日変わるので、分かりにくい」などとして、病院に来るという。

最高額8400円を徴収しているのは、山形大医学部付属病院(山形市)。今年5月には840人いた時間外の患者は、徴収を始めた6月以降、毎月600人台に減少。一方で、このうち入院した重症患者は、5月の119人から128~156人と増加した。

同大は「金額は、大学病院としての役割、医師の人件費などを勘案した。入院患者が増えたのは、医師に余力が生まれたからではないか」(医事課)としている。

静岡県の志太榛原(しだはいばら)地域では、焼津市立総合病院など4自治体病院が、足並みをそろえて今年4~6月にかけて導入。いずれの病院も時間外の受診者数が前年比で1~3割減った。
(読売新聞より引用)


やっとこういうことに市民権が与えられようとしています。10年以上前、私が勤めていた私立の三次救急病院でも、夜中に軽症のカゼなどの患者が30分おきに来院し、重症患者の治療に時間がとれなくなることに医者たちが疲弊・憤慨し、軽症の患者が夜間受診した場合は、診察料金にある金額を上乗せして徴収することを医者たちが事務と交渉し決定させました。

重症か軽症(例えば、熱が37.4度のカゼの患者で、明日は仕事を休めないからと夜中の3時に来院)かは医者が決めカルテに記載していました。しかし病院側は、患者の負担増で来院数が減るのを嫌って、医者が「軽症」とカルテに書いても事務員が上乗せ分を徴収していないことが発覚し、形骸化していきました。当然、当直の次の日も夜遅くまで仕事が続きます。医者は事務員に雇われる奴隷のようでした。


先日、私の外来に「先生、三次救急病院に血圧の薬だけをもらいに来る私のような患者が受診していてもいいのですか?先生たちも忙しいのでしょう?なんだかお気の毒で・・」とおっしゃった患者さんがいました。

こういう患者さんもいるのだなぁと、少しだけ救われた気分になりました。



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割りばし事故で医師に無罪 「気付いても救えず」

2008年09月07日 | 総合
大野病院の件に関連して、もう一度「わりばし死亡事故」の記事をアップしました。


園児割りばし死亡事故
1999年7月10日、高校教諭の三男の保育園児が、盆踊り会場で転倒し綿菓子の割りばしがのどに突き刺ささり、病院で医師から消毒薬の塗布などの治療を受けたが、帰宅後に容体が変わり、翌日死亡。司法解剖で頭蓋内に残った7.6cmの割りばしが見つかった。警視庁は2000年7月、不十分な診察だったとして業務上過失致死容疑で診察した医師を書類送検、東京地検は2002年8月に在宅起訴し、検察側が被告に禁固1年を求刑していた。公判で被告側は、「前例のない事故で、頭蓋内に割りばしが刺さっているとは想定できなかった」と、過失はなかったとして無罪を主張。両親は被告ら病院側に約9,000万円の損害賠償を求める民事訴訟も起こした。

(以下、引用)
東京都杉並区で1999年、割りばしがのどに刺さった保育園児が病院を受診した後に死亡した事故で、業務上過失致死罪に問われた当時の担当医被告に対し、東京地裁は3月28日、無罪(求刑禁固1年)の判決を言い渡した。

判決理由で裁判長は、頭の中まで割りばしが刺さっていることを想定せず、十分な診察や検査をしなかった過失を認定したが「気付いて直ちに脳神経外科医に引き継いだとしても、救えた可能性は極めて低かった」と述べ、過失と死亡との因果関係を否定した。さらにカルテの中の「髄膜炎の可能性もある」などの記載について「急逝を知った被告が落ち度を自覚し、取り繕おうとして、後から書き加えた」と、検察側も被告側も主張していない認定をし、診察当時は深刻な事態に気付いていなかったとした。

一方で裁判長は、被告に向けて「基本的かつ初歩的な作業を怠ったとの批判に謙虚に耳を傾けるべきだ」と述べた上で「本件が残したものは、医師には専門性にとらわれることなく、患者に適切な治療の機会を提供することが求められている、という基本的なことだ」と異例の付言をした。
(共同通信社)

これを「薬物療法」と「風船療法」の件、日本のブレイキングニュースで思うこと、にあてはめると、「重症でない」狭心症患者さんが薬物のみで経過をみている間に死亡し、患者さんの家族が風船治療をしてくれていたら死ななかったとして、医師を訴えた場合、裁判所は「風船療法でも救えた可能性は薬物療法と同じであった」と無罪判決をするのが正しいという事です。しかし、裁判官が「患者に適切な治療の機会を提供することが求められている」と付言するのであれば、医師は、たとえ死亡率が同じでお金がかかっても「風船療法」の方を選ばざるをえないという事です。医師は最近、医学における正しい情報に基づいて治療する事よりも、訴訟問題に基づいて治療せざるをえない事にストレスと失望を抱えていると思います。

両親、御遺族の痛みには心から哀悼の意を表したいのですが、少し疑問なのは、親の責任は問われないのかという問題です。もしも死亡した園児が他人の子供であったら、綿菓子の割りばしを口にくわえさせたまま事故に遭わせた親の監督責任が問われるでしょう。それは自分の子供であっても同じはずです。

そして、たとえ無罪判決をうけたとはいえ、何度も裁判所に足を運ぶ時間的な損失に加え、この医師が精神的に被った損失はどうなるのでしょう。

アメリカでは「不健康な食品で太った」などとして大手ファストフードチェーンが訴訟されたりしていますが、最近下院はやっとこのような馬鹿げた訴訟を禁じる通称「チーズバーガー法案」を可決しました。提案者の一人、リック・ケラー議員は「我々は個人の責任、良識といった昔ながらの考え方に立ち戻る必要がある。すべての人が犠牲者のごとく振る舞い、自分の責任を他人に押しつける今の風潮から脱しなければならない」と強調しました。


この事故について法律の専門家「みそしる」様からトラックバックをいただきました。とても参考になります。もともと刑事法というのは、「わざと」やったことを処罰するための決まりごとであって、そうでないことを処罰する法律ではないそうです。
割りばし事故 【医師無罪】を、ちょびっと分析

長政の呟き


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出産はかつてないほど安全になっているが、産科医であることはかつてないほど危険になっている

2008年09月04日 | 総合
大野病院の件で、原告側は控訴を断念し主治医の無罪が確定しました。
おめでとうございます。


アメリカの弁護士数は約90万人で、日本の弁護士数が約2万人ですから、その数は日本の45倍です。医師数が75万人ですから医者よりも多いわけです。約90万人ということは人口が2億8千万人とすれば約310人に1人が弁護士ということになります。アメリカでは、司法試験の合格率は90%以上で、310人に1人が弁護士になれる割に初任給が約1,000万円ですから、大学進学者は、一度は弁護士を夢見るといっても過言ではありません。


アメリカにはこんな論文があります。

Journal of American Medical Association. 2005;294:1688.
(インパクトファクター★★★★☆、研究対象人数★★★★★)

Who Will Deliver Our Grandchildren?

米国では76%の産科医が訴訟を経験しており、その大部分は新生児に脳性麻痺を来したとの申し立てであったそうです。この傾向はオーストラリアでも同様で、医師全体の2%でしかない産科医で、医療訴訟の申し立て賠償額の18%を占めています。米国での新生児に関する賠償額の平均は2億8,000万円で、米国の産科医のうち15%が医療訴訟を理由に廃業し、22%が開業規模を縮小しました。最近では、最高年額2,000万円の医療訴訟保険の掛け金を支払う産科医も出現しはじめました。

アメリカの産科医の年収は約3,000万円(NEWSWEEK 2000 Sep 25)ですから、訴訟のためにそのうちの3分の2を使うことになっているのです。

電子的な胎児モニタリングが確立した前後で、脳性麻痺の発生率がいずれも500例に1回と変わっていないことを根拠に、著者は「脳性麻痺の原因は医師の過誤であるという考えは、おもに間違った仮説と時代遅れの科学に基づいている」と主張すると同時に、「出産はかつてないほど安全になっているが、産科医であることはかつてないほど危険になっている」と言っています。

論文のタイトルどおり「だれが孫を取り上げてくれるのか?」という問題を解決するために、以下の事項をあげています。

1,研究者が脳性麻痺発生の原因を明確にする。
2,医学知識を持つ裁判官の養成を進める。
3,政府が小児麻痺に対して社会的補償をする。
4,新生児に脳障害の兆候が見られれば、病院はいつでも調査を行い、親の相談に応じる体制を作る。
5,先天異常の中には避けられないものがあり、医学の進歩にかかわらず、米国では新生児の0.7%が生後まもなく死亡し、3%に重大な異常が認められ、0.2%が脳性麻痺を発症することを伝えるキャンペーンを行う。


日本でも弁護士の数を増やす政策がとられていますが、本来改革が必要な刑事訴訟が利益にならないからと、民事訴訟がターゲットになるのは目に見えています。著者が今回示した解決策はどれも示唆に富んだものであり、日本も是非参考にするべきだと思います。産科医や小児科医が減少しているからと、政府は産科と小児科の診療報酬を数%だけ上げ、それを努力の証としている場合ではないのです。

日本でも「だれが孫を取り上げてくれるのか?」「だれが子供を診てくれるのか?」とならないよう祈りたいと思います。



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<対人関係>「キレる」構造を研究へ 文科省

2008年08月19日 | 総合
引きこもりや「キレる若者」など対人関係の不適応が問題化していることを受け、文部科学省は来年度から、人間の社会行動やコミュニケーションに関係する脳の機能や構造を特定する研究に乗り出す方針を固めた。脳のある部位の変化や個人的特徴が、行動などにどのような影響を与えるかを示す指標を作り、問題行動や社会性障害の予防や治療につなげることを目指す。

文科省や専門家によると、脳の生物学的な特徴と社会行動との関係は、動物では比較的解明が進んでいる。マウスでは、ある種の脳内物質を欠くと自閉的行動を示したり、攻撃性が高まることが分かってきたという。

人間については、脳の計測の難しさなどから心理学的な手法での研究が主だった。今回、文科省は動物での知見を網羅的に結集し、計測技術の開発も進め、人間の社会性を生み出す脳内メカニズムの解明を目指す。文科省がテーマを設定し公募で研究者を選ぶ。さらに、不眠症や摂食障害、うつの増加を踏まえ、ストレス耐性や睡眠リズムをつかさどる脳幹研究も強化する。

このため、今年度から5年計画で始めた脳科学研究戦略推進プログラムを拡充し、今年度の予算17億円から倍増以上の重点投資を計画している。

文科省ライフサイエンス課は「脳科学だけですべての問題に答えることはできないが、問題行動や社会性障害の生物学的なリスク要因がある程度明らかになれば、予防や治療に結びつく可能性がある」と期待する。

東北大で「脳神経科学を社会に還流する教育研究拠点」のリーダーを務める大隅典子教授は「早い段階でリスクが分かれば、育児や教育でケアできる可能性がある。こうした指標が差別につながらないよう、経験や環境によって脳が生物学的に変化することなども社会に説明しながら研究を進める必要がある」と指摘する。
(毎日新聞より引用)


以前の記事でお伝えしたように、私はトランス脂肪酸も原因の1つだと考えています。


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検査の値段

2008年07月18日 | 総合
今回は検査の値段についてお伝えします。

その中でも超音波検査は、体のどの部分であっても侵襲(痛みや身体的負担)が少ないために盛んに行われています。

超音波検査の値段は方法や施行する場所によって異なっています。一番多く行われるのは腹部の検査で、この検査では肝臓、胆嚢、脾臓、膵臓、腸、膀胱など多くの臓器が対象になります。

腹部超音波検査は5,300円で、その他、甲状腺や頚動脈などの頚部や、手足、皮膚などの体表などでは3,500円です。これは昨年と変わっていません。

超音波検査の利点を最大限生かせるのは心臓超音波検査で、レントゲン撮影などと異なり、動いている状態をリアルタイムで表示でき機能を評価できます。従って値段は少し高く7,800円で、最近のほとんどの超音波装置にはパルス・ドプラー法といって血流を検知したり流速を測定できたりするプログラムが搭載されており、その装置で血流や流速を測定すると昨年までは2,000円が加算されていました。

血流は重要な情報ですからパルス・ドプラー法を行わないことはほとんどなく、したがって検査料は合計9,800円でした。3割負担ですと自己負担は約3,000円です。

パルス・ドプラー法に対する検査料の加算はパルス・ドプラー法が搭載されていない装置もあるための措置でした。しかし最近は、ほぼすべての超音波装置にパルス・ドプラー法が搭載されているので、今年からその加算が心臓超音波検査代に組み込まれ、合計で8,800円となりました。実質、1,000円の値下げです。

さらに経食道超音波検査という方法があります。この方法では、胃カメラのようにファイバーのようなものを飲み込んで食道から心臓の裏側や大動脈を観察します。特殊な状況では非常に有益な方法です。

値段は昨年までは8,000円でしたが、心臓超音波検査の値下げによる医療機関の反発を反らそうとするためか、15,000円に値上げされました。しかし、経食道超音波検査の施行数は心臓超音波検査の数パーセント以下ですから、これは医療費を抑制したい厚生労働省の、稚拙なトリックのような改正です。


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外務省の主張

ここも解りやすいです「池上彰のニュースの疑問」

竹島問題・・・これもちょっと考えればわかることです。
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病院・診療所の診察料

2008年07月07日 | 総合
今年度の診療改正で医療費がどのように変わったかお伝えします。

まずは初診料です。
初診料は2,700円で、6歳未満の子供の場合はこれに720円加算されます。もちろん患者さんが支払うのはこのうちの3割です。

深夜(午後10時から午前6時)や休日の場合はこれに次の料金が加算されます。
平日深夜 850円
休日深夜以外 2,500円
休日深夜 4,800円

小児科分野での激務が原因で小児科医の需要と供給のバランスが崩れていることを是正しようと、小児科を標榜している病院や診療所での6歳未満の子供の場合は、上記の料金ではなく次の料金が加算されます。
平日深夜 2,000円
休日深夜以外 3,650円
休日深夜 6,950円

ここまでは前回と同じです。

次は再診料です。
再診料は病院と診療所で料金が違います。どうして病院の再診料が診療所の再診料より安いの?という批判が病院側からでて今回は改正されました。
病院 570円→600円(200床未満)700円(200床以上)
診療所 710円→710円

6歳未満の子供の場合はこれに350円加算されます。

深夜(午後10時から午前6時)や休日の再診の場合はこれに次の料金が加算されます。
平日深夜 650円
休日深夜以外 1,900円
休日深夜 4,200円

初診料の場合と同様に、小児科を標榜している病院や診療所での6歳未満の子供の場合は、次の料金が加算されます。
平日深夜 1,350円
休日深夜以外 2,600円
休日深夜 5,900円


次は処方箋を出した場合の処方箋料です。
処方箋料は調剤料とは異なり処方箋という書類の交付料です。血液検査や画像検査をした場合はこれらの料金以外に検査料がかかりますが、それらについては別の機会にお伝えします。

処方料は、7種類以上の薬の処方箋を発行した場合は400円、7種類未満の場合は680円です。この設定には、多くの薬を処方した場合の病院や診療所のもうけを少なくすることで、多くの薬を処方することを抑制しようとする厚生労働省のねらいがあります。さらに診療所と200床未満の病院では、「特定疾患処方管理料」として28日以上の処方に対して月1回に限り650円を加算することができます。月2回処方箋を発行した場合は1回分が180円、2回では360円となり月1回の650円よりも安くなります。これは長期処方を推進して再診料など医療機関に入る医療費を抑制するためです。

診療所で月2回の再診を受け4種類の薬を処方してもらう場合は{710円(再診料)+680円(処方箋料)+180円(加算料)}×2=3,140円であるのに対して、月1回の再診を受け4種類の薬を28日処方してもらう場合は710円(再診料)+680円(処方箋料)+650円(加算料)=2,040円と(国からみれば)医療費を抑制、(診療所からみれば)利益減少となります。

これらに加えて3歳未満の子供への処方では30円が加算されます。

これらの料金体系を知れば、どのように診療所・病院にかかれば経済的(効率的)かがおわかりになるかと思います。


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論文とちがって「医科診療報酬点数表」は複雑です。間違いがあればご指摘下さいませ



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救急車有料化に関する自己負担額の調査

2008年06月23日 | 総合
「足代わり119番、救急車「予約」…非常識な要請広がる」
救急車を病院までのタクシー代わりに利用しようとする119番が、全国各地で相次いでいることが、主要51都市の消防本部を対象にした読売新聞の調査で明らかになった。

急病でないにもかかわらず、「病院での診察の順番を早めたい」という理由で、救急車を呼ぶケースも目立つ。昨年1年間の救急出動件数の5割は軽症者の搬送で、110番に続き119番でも、非常識な要請が広がっている傾向が裏付けられた形だ。

都道府県庁所在地と政令市にある計51の消防本部(東京は東京消防庁)を対象に、最近の119番の内容を尋ねたところ、37消防本部がタクシー代わりの利用など、明らかに緊急性のない要請があると回答。大都市、地方都市とも同じ傾向がみられた。

例えば、「119番でかけつけると、入院用の荷物を持った女性が自ら乗り込んできた」(甲信越地方)ケースや、「119番で『○月○日の○時に来てほしい』と救急車を予約しようとする」(関西地方)事例が多い。症状を偽る人もおり、甲信越地方の60歳代の男性は「具合が悪くて動けない」と救急車を呼びながら、実際は緊急の症状はなく、あらかじめ病院に診察の予約を入れていた。

風邪程度なのに、「救急車で行けば、早く診てもらえる」と思って119番する事例も、28消防本部で確認された。

病院では救急外来の患者の重症度をまず看護師が判断する場合が多い。しかし、山陽地方では、切り傷で搬送された患者と家族が、診察の順番を待つよう告げられ、「救急車で来たのだから、優先的に診察するのが当然だろう」と詰め寄った。

診察待ちをしている人が、病院を抜け出して119番するケースも7消防本部であった。

関東地方では、50歳の男性を病院に搬送すると、先ほどまで待合室にいたことが判明。男性は「順番が来ずにイライラし、救急車で運ばれれば早まると思った」と語った。

51消防本部で昨年1年間に救急車が出動した約232万件のうち、安易な要請も含めた軽症者の搬送は約117万件。厳しい財政事情から救急隊の増員が進まず、重症者への対応が遅れるなど支障も出ている。
(読売新聞より引用)


日本では救急車出動1件につき4万円の経費がかかるのですが、高齢化や軽症に対する利用により、救急車の出動回数は近年増加傾向にあり、救急車有料化についての議論が高まっています。そこで横浜市立大学公衆衛生学教室がこのような調査を行っています。

調査対象は20歳以上の横浜市在住の3,600人で消防署職員が調査票を配布できた3,363通のうち2,029通が回収されました。回答者の半数以上が過去に救急車を要請したことがあり、同様に半数以上が救急車を呼ぶのにためらいがあると答えました。

救急車出動1件につき4万円の経費がかかる事を情報として与えたうえでの回答として、「利用者が一部負担すべき」と回答した割合は63.2%でした。適当とする負担額は、半数以上が3,000円または5,000円でした。

年齢別では80歳以上の群で負担額を低く、世帯年収が高い方が負担を高く回答する傾向が見られました。

さらに、軽症での利用を抑制し重症での利用を抑制しない金額の調査では、本人が重症の場合は3万円までは利用の抑制がかからず、本人が軽症では2万円から利用抑制がかかる事が明らかになりました。また世帯年収が200万円未満でも3万円までは利用の抑制がかかりませんでした。同居している子供が重症の場合は利用料がいくらであっても利用抑制はかかりませんでしたが、同居している高齢者が重症の場合は5,000円で抑制がかかりました。

また、救急車を要請することにためらいを感じている人は、1万円以下の自己負担があれば救急車を要請するという結果が明らかになりました。

つまり、救急車を要請することにためらいを感じている人は1万円を自己負担することでそのためらいがなくなるという事です。

その結果、1万円以下の自己負担金額の設定では、要請に対するためらいを取り去る効果が料金負担による利用抑制効果を上回るため、救急車の要請が逆に増加する可能性も示唆されました。

「軽症での要請を抑制するためには2万円以上の料金設定が必要であるが、自分以外の人のために要請する場合、この料金では重症での要請を抑制する可能性がある」と結論づけています。




この調査結果からは1万5千円ぐらいというところでしょうか

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CTスキャンの急激な増加はガンの増加をもたらす可能性がある

2007年12月11日 | 総合
以前CTスキャンの被ばく量についてお伝えしました。CTスキャンでは従来のX線よりもはるかに多量の放射線が照射されるため、被ばくによるガン発生のリスクが懸念されていました。アメリカでは1980年当時は年間300万件にすぎなかったCTスキャンは、現在6200万件以上実施されています。そこで先月末、被ばくによるガン発生のリスクに関して論文がまとめられました。

Computed tomography--an increasing source of radiation exposure.
N Engl J Med. 2007;357:2277.
(インパクトファクター★★★★★、研究対象人数★★★★★)

1年2回のCTスキャンで被曝する線量は、日本の原爆投下時の爆心地から2マイル(約3.2km)離れた場所にいた生存被爆者が被曝した線量とほぼ同等であるそうです。その生存被爆者のその後のガンの発生状況を、日本人とアメリカ人のガン発生率の違いで補正したBiological Effect of Ionizing Radiation 7th Report (BEIR VII)というレポートを基にガン発生のリスクが計算されました。

現在のCTスキャン1回の被ばく量は10~20ミリシーベルトで、上の図は10ミリグレイ被ばくした時の年齢と肺ガンと大腸ガンの発生率です。横軸は年齢、縦軸は100万人あたりの発生人数です。(青線:肺ガン、赤線:大腸ガン)

グレイというのは照射側の放射線量を表わす単位で、シーベルトというのは臓器側の吸収量の単位です。同じ量の被ばくを受けても臓器により吸収量が異なるため厳密にはシーベルトとグレイは若干違ってきますが、便宜的に10ミリシーベルト=10ミリグレイとすると、40歳で10ミリシーベルトのCTスキャンを1回受けると100万分の180、すなわち1万分の1.8の確率で肺ガンが発症するリスクを負うことになります。20歳であれば100万分の250、すなわち4000分の1の確率となり、CTスキャンを受ける年齢が若いほど影響は大きいことがわかります。

論文の中で著者らは、現在のペースでCTスキャンを続けるとアメリカ合衆国の中で発生するガンの1.5~2.0%がCTスキャンを原因とする事になると、「腹痛や慢性的な頭痛で救急治療室を受診したら、医師の診察を受ける前にほぼ間違いなくCTスキャンを受けることになる」現実に警鐘を鳴らしています。

また、医師や病院が変わるたびに、同じ疾患に対して重複してCTスキャンを受ける患者も多いこともCTスキャンを増加させる原因の1つであり、このことを解決する1つの方策は、患者にCTスキャンのDVDを提供し、転院時にそれを持参させることであると述べています。

この報告は決してCTスキャンを非難するものではなく、CTスキャンが必要な場合に、怖がってCTから逃げることがないようにすることも重要で 「症状がある患者にとって、CTスキャンが素晴らしい診断ツールであることは間違いない」であり「われわれが推進していることは、CTの使用を本当に必要な状況に制限することであると結論づけています。


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出産10万件に対し4-7人が死亡する

2007年03月26日 | 総合
出産時の大量出血などで、一時でも「生命に危険がある」と判断される重篤な状態に陥った妊産婦は、実際の死亡者数の70倍以上、出産約250件に1人の割合に上るとみられることが、厚生労働省研究班(主任研究者・中林正雄(なかばやし・まさお)愛育病院院長)などの全国調査で20日までに分かった。

2000-05年の国内の妊産婦死亡は出産10万件当たり4-7人程度で、一般には比較的まれな現象と受け止められてきたが、死に至る危険は多くの妊婦にあった実態が明らかになった。

調査に参加した専門家は「妊娠・出産の本当のリスクは、これまで考えられていたより高い」と指摘。産科医の減少が懸念される中、母親と新生児を守る周産期医療体制の充実を訴えている。研究班は日本産科婦人科学会周産期委員会と共同で昨年、全国の産婦人科病院など998施設を対象にアンケートを実施。333施設から、04年の実績で国全体の11%に当たる約12万5000件の出産について回答を得た。

それによると、大量出血や常位胎盤早期はく離、頭蓋(ずがい)内出血などで死亡したのは計32人。だが、血管内凝固症候群などで一時でも生命に危険があると判断された妊産婦を含めると計2325人で、実際の死亡数の約73倍だった。この割合を、全国で62人が死亡した05年に当てはめて推計したところ「生命の危険あり」は約4500人となり、出産約250件に1人の割合であることが明らかになった。

妊産婦死亡 妊娠・出産が原因になった女性の死亡。国内の2000-05年の統計では、年間49-84人が死亡しており、出産10万件に対し4-7人が死亡した計算になる。06年版世界人口白書に掲載された推定値によると、妊産婦死亡はアフリカでは出産10万件当たり1,000人を超える国も多い。日本は同17人の米国より少ないが、同2人のスウェーデンよりは多い。世界平均は同約400人(約250件に1人)といわれ、日本で重篤な状態に陥った妊産婦とほぼ同じ割合になる。
(共同通信、m3.comより引用)

つまり、現在の先進国の医療レベルでも医者がどんなに注意を払ったところで出産10万件に対し4-7人の死亡は避けられないということです。こういう重要な情報はm3.comを読む医者だけでなく、学会などが新聞広告などで世間に広く知らせるべきです。こういう情報を新聞広告しないのは学会の怠慢です。

そうすれば、出産で妊婦が死んだからと医者が訴えられるような事も少しは減るのではないでしょうか。

運が悪ければ人は死ぬのです。「運が悪い」のと「医者が悪い」のは違います。


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「休日に寝だめ」は逆効果=平日差大きいほど不眠、抑うつ-働く人の睡眠調査

2007年03月17日 | 総合
普段の寝不足、休日に補えません-。休みの日に遅くまで寝ている人ほど、不眠や抑うつを訴える割合の高いことが17日、働く人を対象とする内村直尚久留米大助教授(精神神経学)の調査で分かった。

平日の睡眠時間の短さは、抑うつと強く関連していた。同助教授は「時間が不規則だと熟睡感が得られない。良い睡眠のためにはできるだけいつも同じ時間に起きることが重要」としている。

調査は昨年12月、首都圏の35~59歳の勤労者約9000人を対象にインターネットで実施、約6000人から有効回答を得た。それによると、平均睡眠時間は平日6.1時間、休日7.3時間。休日の起床時間が平日より2時間未満遅い人が不眠を自覚する割合は25.9%なのに対し、2~3時間で29.4%、3時間以上で33.3%と、平日との差が大きいほど不眠の人が多かった。抑うつ経験も、2時間未満4.3%、2~3時間5.2%、3時間以上6.2%となった。
(時事通信より引用)


この内容と類似のことはすでに2年前の米国睡眠関連連合学会で朝寝坊は夜更かしよりも日内リズムに有意に大きな位相変位を起こさせるとして報告されており、私のブログでもお伝えしていました。米国睡眠関連連合学会での報告よりも調査人数は多いとはいえ、研究のアイデア自体は過去のものの焼き直しと言わざるをえません。


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企業が支援するメタアナリシスは信頼できない

2006年12月27日 | 総合
Cochrane reviews compared with industory supported meta-analyses and other meta-analyses of the same drugs.
BMJ. 2006;333:782.
(インパクトファクター★★★★★、研究対象人数★★★★★)

各種薬剤の効果を調べた研究論文がまとまった数になってくると、それらの結果をまとめたメタアナリシスが書かれることが多いです。

メタアナリシスにはその薬剤を開発・販売している企業が支援して行われるものがあります。そこで、そのメタアナリシスには「手前味噌」的なことが書かれてないかを調査した論文が最近発表されました。

医学論文データベースから、2003年に発表された1,596編のメタアナリシスのうち薬剤についてではないもの(1,209編)、適切なメタアナリシスではないもの(171編)などが除外され、相互が2年以内に同じ薬剤を比較したメタアナリシス(24編)が調査対象とされました。

これら24編は企業が支援してまとめられたメタアナリシスと、大学や研究期間によって独自に行われたものに分けられました。

結果は、企業が支援してまとめられたメタアナリシスは大学や研究期間によって独自に行われたメタアナリシスに比較して

1、 薬剤に不利な結果であった研究を分析から除外した明らかな理由が示されていない。
2、薬剤の効果に不利になる患者を除外した明らかな理由が示されていない。

などにより、同じ薬剤についてそれぞれが2年以内に行われたメタアナリシスであるにもかかわらず、企業が支援してまとめられたメタアナリシスでは、薬剤の効果が同等(P=0.64)であっても躊躇なくその薬剤の有用性を推薦する結果となっていることが明らかになりました(P=0.02)。

結論として、企業が支援してまとめられたメタアナリシスには、方法における不備や限界があっても薬剤に有利な結果が示されるので、注意して解釈する必要があるとしています。


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チキンから発がん物質 マクドナルドなどを提訴

2006年09月30日 | 総合
肉や魚の焼け焦げに含まれる発ガン物質が、ファストフードの焼いたチキンから検出されたとして、米国の約6,000人の医師でつくる「責任ある医療のための医師委員会」が28日、マクドナルドなど食品チェーン7社を相手に危険性の表示を求め、カリフォルニア州地裁に提訴したと発表した。

訴状などによると、カリフォルニア州に店舗があるマクドナルドなど全国チェーン7社の店で販売している焼いたチキンや、チキンを含むサラダなど100点を外部の検査機関で分析したところ、すべてから発ガン物質ヘテロサイクリックアミンの一種PhIPが検出された。量は1グラム当たり43.2-0.08ナノグラム(ナノは10億分の1)だった。

ヘテロサイクリックアミンは肉や魚を加熱調理すると発生し、米厚生省が2005年に発がん物質に指定。PhIPについては、カリフォルニア州でもガンを引き起こす化学物質として10年以上前からリストアップされているという。

医師委員会は、発ガンの危険性を客に警告することなしに販売するのは違法だとしている。一方、マクドナルドは取材に対し「訴状を見ていないのでコメントできない」と回答している。
(共同通信より引用)


以前から、肉や魚の焦げた部分には発癌物質が含まれることは指摘されていましたが、こういう提訴が可能というのであれば、市場で売られる肉や魚にも「注意:焼きすぎると発ガン物質が発生します」という表示が必要になってきます。

そうすると例えば、地球儀を見て旅行距離が短く感じ旅行したが、実際はそれ以上に長く旅費に損害が生じたとすれば、地球儀には「注意:これは実際のサイズではありません」などという表示が必要になってきますね。どこまでが自己責任なのか微妙です。

ところで、中国からの輸入食料品には「注意:この食品には規定以上の農薬が含まれています」という表示はいらないのでしょうか。私は留学中、中国から輸入された食品は一切口にしませんでした。

アメリカでは、日産の乗用車マキシマのヘッドライトは高く売れるので良く盗まれるのですが、「ヘッドライトが泥棒にこれだけ人気があると知っていたら、この車を買わなかった。日産は、ヘッドライトがよく盗まれると消費者に伝えるべきだった」と日産が訴訟されていました。

日本でも最近、シュレッダーで乳児が指を切断した事故で、シュレッダーを製作した会社が訴えられていましたが、乳児をシュレッダーに近づけた親の責任はどうなのでしょう。


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パラシュートは高所からの下降時に死亡を防止するのに有用か

2006年08月19日 | 総合
前回、深夜の運転時にカフェイン入りのコーヒーを飲めば安全運転の割合が増えるという結論を導き出したフランスの研究チームに、パラシュートの有用性を証明する無作為試験をしてもらいたいと書きました。

その理由は、実際にBMJ Journalという有名な雑誌にパラシュートの有用性を証明するパロディー論文が掲載されているからです。この論文ではEvidence based madicine至上主義に問題が提起されています。今回はその論文をご紹介します。

Parachute use to prevent death and major trauma related to gravitational challenge: systematic review of randomised controlled trials.
BMJ Journal. 2003;327:1459.
(インパクトファクター★★★☆☆、研究対象人数?????)

インターネットでパラシュートが高所からの下降時に死亡を防止するのに有用かどうかを調査した無作為比較試験を検索し、高所からの下降時においてパラシュート使用群と非使用群を比較し、死亡と重篤な外傷の割合を比較することが目的とされました。

結果では、パラシュートの有効性をランダム化比較試験を用いて評価した適切な研究を見いだすことは出来ませんでした。ほかの多くの研究と同様に、パラシュートの有用性はランダム化比較試験を用いて厳密に評価されていないのです。

結論では、Evidence based madicine至上主義の立場から試験介入の有効性を観察的研究の結果のみから判定するには問題があり、治療の有効性はランダム化比較試験によってのみ判定されるという立場に立つ人々は、パラシュートの有用性を評価する二重盲検ランダム化比較試験をデザインして積極的に参加するべきであると述べられています。

つまり、パラシュートの有用性はランダム化比較試験を行わなくとも、人間の経験と想像力でわかっていることであり、医学の分野でもそういうことは多く存在するのではないか、と訴えているのです。

でも、例のフランスの研究チームであればこのランダム化比較試験をやってくれそうです。応援していますよDr. Philip!

さて、私は明日から夏休みです。時間があれば更新したいと思います。


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