橡の木の下で

俳句と共に

平成24年「橡」1月号より

2011-12-28 10:32:02 | 俳句とエッセイ

  霜月    亜紀子

 

葛枯るる幾谷越えてクルス山

秋水を盾とめぐらし耶蘇の谷

身にしむや小さきイエスに釘著く

独活苗に新藁厚き耶蘇の邑

クルス山落葉つもりてやはらかし

蛇瓜の身ののびきつてぶらさがる

白鳥の桂もみぢの香に寝まる

武蔵野やブロンズ像も朽葉色

槻落葉昭和と共に象老いて

暖かき冬に入りけり吉祥寺

コーラスの一音はづす風邪心地

果てし頃晴るる夜学の文化祭

霜月の愚かにぬくく過ぎにけり

青き実に鵯籠城の楠大樹

商戦のちらし戸ごとに時雨けり

秋夕焼け我が影のかく老いにける

真綿被て遠には行かぬ雪ばんば

 

 

 

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