主にオートバイ。時々クルマ。
なんだかんだと永年のブログです。
風に向かう刻
40秒で支度しな
昨夜は11年ぶりの皆既月蝕。
前日こそはサケなんぞを嗜んでみたものの、
『やっぱりオートバイでしょ』ということでございます(笑
とはいえ我が家は東京湾岸エリアに位置する為に、
港湾地帯・工業地帯特有の人工の明かりが眩しく、
とても観測という条件では御座いません。
ここは田舎と都会に挟まれた土地の特権ということで、
ちょっと千葉の内陸方面に向かうだけですっかり真っ暗という側面も。
当初は完全ソロの予定だったのですが、
(寒いですし時間も長くなることが予想されたもので)
出発前に職場仲間3人と朝からツーリングしに千葉に来ていたNSR氏と
連絡を取った際、氏は友人と既に別れたとの事でご一緒する事に。
「40秒で支度しな!!」などと前夜のラピュタの影響も残しつつ。
既に真っ暗になった冬空の下、
ヘッドセットで「さむいねー」などと会話しながら、
途中のセブンイレブンで買いだしをしつつ。
養老渓谷の先あたりの山中へと、レーサータイプのバイク2台で入ってゆきます。
ここには民家もなければ、街灯もなく、
誰の迷惑にもならないので落ち着いてお月様を堪能することができます。
こういう時が、ナビ任せではなくそこら中を走りまわっている強みですね。
そしていよいよ。
到着して少し暖を取り始めた頃に月蝕が始まりました。
千葉県エリアの予報は【 曇り 】空には薄い雲が絶えず流れているという条件。
半分以上が地球の影に入ってしまいました。
ここで、肉眼で見えるような感じにカメラの設定を変えてみました。
赤銅色の月蝕。
見ている時には、お月様の魔力にただただ魅入られていましたが・・・
自宅に戻って家人に「なんで赤く見えるの?」と問われまして。
「地球の裏に光源が行く形になるわけだから、
夕日と一緒で大気への入射角が浅くなる分、青が散乱して赤く残るんじゃないかなあ」
と、なんとなく原理を思考して答えてみたり。合ってるか確認はしてません(笑
皆既月蝕になって暫く経ってから。
雲がなければもう少々鮮明に撮れるかもしれませんが、
もともとが曇りの予報だったのですから見えるだけで僥倖というものです。
月が陰ると、応ずるように星々がその煌めきを増します。
「あれは何座だ」などと携帯に入っている星座盤を頼りに盛り上がってみたり。
天体観測なんて構えなければ普段はできませんから、
昔憶えた、どこが何座かはすっかり記憶の彼方に過ぎ去っております。
途中、寒さを和らげる為に暖かいものを摂るように心がけます。
夕食がてらのカップヌードルに始まり、
沸かしたお茶やコーヒーなどを「うまいなぁ」としみじみ。
世のライダーさん達には”ラーメンツーリング”などという、
出先でカップラーメンを食べるタイプの遊びもあるようですが、
こういう環境で食べるものはどれもとっても美味しいものです。
いつもと同じ物を、いつもとちょっと違う捉え方で愉しむ。
これこそが人生を楽しむ秘訣ですね。
都合3時間程居たでしょうか。
左端から、お月様本来の光が戻り始めました。
この直後あたりから、空は西からの厚い雲に覆われ始めました。
時計を見ると0時を回っていますので、
暖かい飲み物も尽きた事ですしそろそろ引き上げることに。
走り出すとそこはやはり冬。
さっきまでの快適さに代わって、顔面を硬くする冷気が襲ってきます。
それでも月蝕観測の充足感に満たされながら、
大きな神社の前で友人と別れて帰宅と相成りました。
11年ぶりの天体ショー。
この時もまた『オートバイに乗っていてよかった』と思う瞬間でした。
山に分け入って路肩でのんびり星空を眺めることも、
潔く生身で空を見上げ続けることも、当然のように楽しめるものです。
いい夜だったなぁ。