3.11以後の日本

混迷する日本のゆくえを多面的に考える

宮本亜門の魔笛(二期会)

2015-07-17 10:56:04 | 音楽ノート
2015.7.16、東京文化会館で二期会の魔笛を観に行った。

宮本亜門の演習ということで話題を呼び、また、リンツ州立劇場との共同制作とのことで、平日の夜にもかかわらず満席に近い状態だった。

亜門さんの演出。

宮本亜門はバリバラ(NHK)に出演していて、発達障害のテーマなどに対しても興味深いコメントしていて、本当に自由奔放で面白いキャラクターだとおもっていたのだが、魔笛の最初の出だしの演出、序曲の部分の演出は、一つの精神的な妄想の世界から始まるようで、バリバラの世界とダブって妙に納得した。

映像を駆使した演出であり、これからはこういうオペラが主流になるかもしれないと思う。
また、オーデションを経て集められた歌手だけあってそれぞれが高レベルだった。

ドイツ語がドイツ語らしく聞こえる歌だった。
プロフィールをみればみなそれぞれヨーロッパで活躍しているような歌手であるのだから当然と言えば当然。
しかし、かつて、二期会のオペラなどは合唱もふくめ、ドイツ語が???な場合も多々あり、友人のドイツ人が「何言っているかわからないドイツ語」といっていたことがあるので、それに比して、今回の魔笛のドイツ語は素晴らしい発音だった。

夜の女王の森谷さんの声が特に素晴らしかった。
幸田さんのパミーナは期待通りの可憐で上品、声の張りもすばらしく、会場いっぱいに広がるその声には魅了された。
3人の侍女の衣装は衝撃的であったが、この衣装もまたこのオペラの演出に花を添えていた。あのカラフルなかつらは、ロッシーニのオペラでも見たことがあり、楽しい演出だと思う。
ザラストロ一味の大きな脳みそが印象的でこの演出も面白いと思う。

細部にわたって、計算された演出で、高いドイツ語力をベースにした日本人離れした高水準のオペラに仕上がったという感じである。

女は巨乳で、情で動き、男は脳みそで考える常に理性的な存在?
酒と女がいれば満足という普通の庶民に対して、試練を乗り越え英知を身に着けることが素晴らしいとするフリーメイスンの特権階級を意識させる宗教的な儀式にちょっと?とは思うが、時代的制約を考えれば仕方のないこと。

モーツアルトの台詞は、かなりジェンダーバイアスを感じさせるものではあるが、それはさておき、日本人が演出し、読響が演奏し、日本人歌手のみで構成されたオペラ。
ここまで高いレベルのオペラができるようになった日本のクラシック力、感慨深いものである。

最初から最後までスーツでやるオペラなどがバイロイトなどでもあり、ちょっとつまらなさを感じていたが、宮本演出はそうではなかった。
期待以上の出来栄えだったと思う。



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