3.11以後の日本

混迷する日本のゆくえを多面的に考える

人間環境宣言ー産業化と生活破壊

2011-05-05 19:21:26 | 被災地支援
我が国において、公害が激化し始めたのは昭和40年代。そのころから、国連の経済社会理事会でも環境問題が検討されはじめた。昭和43年(1968)同理事会の第44回会議で、スウエーデンが無計画、無制限な開発による人間環境破壊について警告、国連が中心となって国際協調のもと、解決すべき人間環境に関する国際会議の開催を提案したそうだ。同年、「人間環境に関する国連会議」を昭和47年(1972)に開催することが決定、昭和45年3月に第1回準備委員会が開かれたとのこと。ウ・タント国連事務総長(当時)「現在の環境危機の問題ほどあらゆる国にとって一様に関心のある問題はかつてなかった。今こそ国連は憲章精神にのっとって、人間環境問題を解決しようとするすべての国々の行動を調和させるための中心になるべき」と演説のなかで環境問題の国際協力を熱く説いたという。昭和47年の第1回「人間環境に関する国連会議」がスウエーデンで開催、「人間環境宣言」が採択された。


1.宣言-(3)

人は、絶えず経験を生かし、発見、発明、創造及び進歩を続けなければならない。今
日四囲の環境を変革する人間の力は、賢明に用いるならば、すべての人々に開発の恩恵
と生活の質を向上させる機会をもたらすことができる。誤って、又は不注意に用いるな
らば、同じ力は、人間と人間環境に対しはかり知れない害をもたらすことにもなる。我々
は地球上の多くの地域において、人工の害が増大しつつあることを知っている。その害
とは、水、大気、地球、及び生物の危険なレベルに達した汚染、生物圏の生態学的均衡
に対する大きな、かつ望ましくないかく乱、かけがえのない資源の破壊と枯渇及び人工
の環境、特に生活環境、労働環境における人間の肉体的、精神的、社会的健康に害を与
える甚だしい欠陥である。

2.原則-(6)
〔有害物質の排出規制〕
(6)生態系に重大又は回復できない損害を与えないため、有害物質その他の物質の排出及
び熱の放出を、それらを無害にする環境の能力を超えるような量や濃度で行うことは、
停止されなければならない。環境汚染に反対するすべての国の人々の正当な闘争は支持
されなければならない。

われわれはあらためて人間環境宣言を読み返してみるべきだろう。


産業化と生活破壊、そして、それは、産業基盤の脆弱な地域に集中する。
天災地変は原発事故を引き起こした。その環境破壊によって、それは現存する機会の不平等、貧困等と密接にからみながら、生活を破壊させ、生活の問題を深化させていくだろう。

低迷する地方、そこにすでにあった貧困や生活問題、環境破壊がさらに覆いかぶさるように地場産業や農水産業を破壊していく。今回の震災、原発事故はそこから自力では生活再建できない、立ち直れない多くの人々を生み出すはずなのだ。

日銀は日本経済は一時的に落ち込むが秋ごろから復調するという予想をだしたそうだ。しかし、マクロで経済が復調するということと、ひとりひとりの生活が再建するというのは違うのだ。
被災した地域の復興はそこに住む人々の人生、生活が本当の意味で再建できたときなのである。


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