3.11以後の日本

混迷する日本のゆくえを多面的に考える

閖上保育所佐竹悦子所長の決断力(宮城県名取市):3.11でたびたび語られる奇跡の一つ

2019-04-08 14:33:41 | 現代社会論
このブログでも2011年3月当時取り上げた記憶があるが、何度思い返してもすばらしい宮城県名取市閖上保育所と佐竹悦子所長の神業ともいれる取り組みに涙が出るほど感動してしまうのである。
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朝日新聞「責任はとる、行って!」 子ども54人守った保育所長
編集委員・石橋英昭 2019年4月7日10時32分

この春8年ぶりに再建され、幼い声が戻ってきた宮城県名取市の閖上保育所。震災の日、11人の職員は、54人の1~5歳児全員を海のそばから避難させることができた。・・・・

 車で引き返すと、建物は無事だった。園庭にブルーシートを敷き、パジャマ姿の子どもと職員が集まっている。全員が一斉に佐竹さんの顔を見た。

 2時55分。三つのことを簡潔に告げた。迷いはなかった。

 1 逃げます。

 2 車を持ってきてください。

 3 (閖上)小学校で会いましょう。

 佐竹さんは子どもたちの上着をかき集め、パジャマの上から着させた。職員5人が駐車場から自家用車をつけ、クラスごとに乗り込む。1台に大人2人と子ども数人、大きなバンには十数人。ひざの上に別の子が乗り、その前にも立つ。

 ぎゅうぎゅう詰めの車を駐在所でとがめられたらどうする? 「あとで所長先生が責任をとる、って言いなさい」。津波が来なかったら笑い話にすればいい。

 「行って!」

 出発を見届けた佐竹さんは、児童の個人情報ファイルを、ゆがんだ棚からなんとか取り出した。迎えに来る保護者のため、「小学校にいます」と油性ペンで書いた紙を貼り、1・5キロ内陸の閖上小へ。

 3時20分、全員が集まった。・・・・
 
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この話の詳細は色々なところで読める。佐竹さんは保育士向けの防災研修で度々語っている。多くの人がこの話を聞いてほしいと思う。杉並区で話した内容がとてもリアルでよいと思うので、検索してほしい。

この保育所の所長、佐竹さんの決断力と実行力こそ、管理職としてもっとも求められる力だと思う。
責任はとる、行け、といいきることができる長が何人いるだろうか。
事前に自分たちで安全確保のルートと手法を検討していたことも功を奏した。これらの取り組みは保育士の底力を見せ付けるものである。
この記事を読むたびに日本の保育士の力を心底信じようと思うのである。こういう保育の取り組みを応援したい。日本の保育の歴史の積み重ねの結果なのだと思うのである。なにより「子どもの命を守る」を中心に考えること、この当たり前のようなことだが、どれだけの保育園や幼稚園や小学校の先生方が本当の意味で考えられ、行動できるだろうかと思うのである。佐竹さんに会いたいと思うのである。


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