3.11以後の日本

混迷する日本のゆくえを多面的に考える

詩人の恋を歌う―麗しい五月に

2011-05-09 13:34:32 | 音楽ノート
3.11以後、いろいろ忙しくて歌っていなかったが、このところ連休で少し時間もあるので、歌ってみた。
大震災があったので、大きな声を出して歌うのは自粛していたせいもあり、声がうまく出ずストレスを感じる。

ドイツ歌曲好きの私が5月に歌う歌といえば、「詩人の恋」だろう。
1から16までとりあえず、全曲歌っているうちに、少しずつ声が出てきた。

デュッセルドルフにハイネ研究所なるものがあり、そこでは、ハイネの詩が朗読され、シューマンの音楽が流れる。
小さな研究所だ。重い扉を押して入ると、ハイネの世界が広がる。
繊細で泣き虫で皮肉屋のハイネ。
ハイネの詩にシューマンは美しいピアノ伴奏をつけて歌曲をつくった。クララと結婚した記念すべき1840年「歌の年」だった。
歌い手は詩をささやくように歌わなければならない。ピアノは単なる伴奏ではない。ある時は雄弁に主役を果たす。ピアニスト泣かせの難曲つづき。

この研究所のお向かいはシューマンの家だ。シューマンは精神を病み、最後にライン川に身投げして自殺未遂を起こすが、その時住んでいた家。
そして、ちょっと離れたところに、ハイネ生誕の家がある。今はそこは本屋になっているが、その奥に小さな音楽ホールがある。
小さいけれど非常に上質な音楽空間がひろがる。

そこには、アキバのような浮ついた雰囲気はない。

静かにライン川の流れる音に耳を傾け、人生の喜びと悲哀を、そして自然への畏敬の念を、芸術を通して共有する文化がある。

東京にもこんな小さな音楽ホールがあったらなあ。
本屋にいったついでにシューマン、シューベルト、ブラームス・・・のミニ歌曲コンサート、素敵だ。




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