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ぼくの近代建築コレクション
東京の都心と下町を中心に、戦前に建てられた古い建物の写真を投稿していきます。
 



香蘭社。中央区銀座5-12
1986(昭和61)年8月31日

みゆき通りが昭和通りに出る手前の四つ角にあったビル。本州ビル(本州製紙、三井生命、清水銀行)の角に入り込むように収まっている。2000年に解体された。
『総覧』に「香蘭社K.K.、銀座5-12、建築年=1927(昭和2)年頃、備考=デ・スティル風」と記載されている。建築年は大正15年としているサイトも多い。大正15年から1週間して昭和2年だから、どの時点で完成したとみるかで建築年が数年異なるような印象になる。外観はスクラッチタイル貼り、アールデコのデザインを取り入れている。
「デ・ステイル」とは『OCNアート>現代美術用語辞典』によると、「オランダ語で「様式」の意。1917年、P・モンドリアン、T・ファン・ドゥースブルフ、J・アウトらがオランダのレイデンで創刊した美術雑誌名、または同誌を拠点とした画家、建築家、デザイナーらによる国際的活動を指す……」。建築ではリートフェルトのシュレーダー邸(1924年、2000年に世界遺産)が代表的なものという。香蘭社のビルのデザインと関連させるのはちょっと強引のように思うが、ひとつ知識が増えた。

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直井整骨療院。中央区八丁堀2-22。1984(昭和59)年6月17日

第一田村ビルの四つ角の北側。奥に新大橋通り沿いのトヨタ八丁堀ビルが見えている。写真左端が野沢天祐堂の野沢ビル。1986年の住宅地図では角の「直井整骨」から奥へ、「杉山ビル、テクニカルサービス、内外印刷(株)、東栄(有)・玉野製作所、巻渕ビル、高野ビル」であるが、撮影時には巻渕ビルと高野ビルはまだ建っていない。新大橋通りとの角は「ヨンゴー」(配管部品、材料)である。
野沢天祐堂は1925年創業の漢方専門薬局。昭和30年より前の、まだ木造の家だった頃、ショーウインドウに置いてあったアルコール浸のビンに入った蛇をしげしげと眺めた憶えある。
現在では直井整骨療院が「鈴らんビル」(1・2階は「ゆめ乃」)になり、以下、宮地ビル、東京テクニカルサービス、内外ビル(1985年10月竣工、1階は 珈琲屋めいぷる)、日本フィッシング会館(1998年竣工)、高野ビル(1階は写真屋さん45)。



トミヤ。八丁堀2-16。1984(昭和59)年6月17日

1枚目の写真の横丁の反対側、平成通りのほうを見ている。角が三菱製紙販売と加賀屋(戦前から続く靴店)でそこから少し入ったところ。1986年の住宅地図では写真左から奥へ、「藤川商店(食料品卸)、トミヤ(食器)、林レフ、東光商事不動産、トミヤ(たばこ)、料理殿長、(株)ヤカ(印刷)、池田商店、新高屋食料品(べったら漬の看板)、中央ドライ、榎本(豆腐、平成通りの裏道の角)」。
ここの町並みは現在も意外と残っている。藤川商店、殿長、ヤカ、榎本豆腐店は建物もそのままで商売も続けている。榎本豆腐店はかつてはこの辺りでいくらでも見られた木造モルタル壁で和風の住居のような造り。今ではけっこう貴重な存在である。その向かいのまりっぺ(おにぎり)も写真に看板が写っているが、榎本豆腐店に似た家。この一角は八丁堀がビル街になる以前の姿がまだ見られる。

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第一田村ビル。中央区八丁堀2-21。1984(昭和59)年6月17日

八丁堀鈴らん通りの サンケイ新聞専売所の北隣が第一田村ビル。写真右の建物で東西方向の横丁の角にある。ビルの横町側に「卯女(うめ?)」という小料理お好み焼きの店がある。そこから奥に、「紅ばら(サントリーバー)」「杉村ビル」(看板は日本ビジネス営業本部、手打讃岐うどん)、「みやこ印房」「ミラクル」「中央ファリ」「割烹山ぎし」、新大橋通り沿いの「西勘ビル」。西勘ビルは古い地図では「大谷工具店」「西勘商事」などと見える。西勘ビルは1983年11月竣工だから撮影時では建ったばかりだ。
昭和27年頃の火保図には「紅バラ」と「のみや山ぎし」が載っている。
現在は西勘ビルは替わらないが、第一田村ビルが「京橋白木屋ビル」(1988年竣工)に、その他はまとめて「京橋第9長岡ビル」(1998年竣工)に替わって、そこにあった店や工場は廃業したと思える。


紅ばら
1985(昭和60)年9月8日

看板には「サントリーバー」と書いてあるがサントリーのチェーン店かどうかは知らない。いわゆるトリスバーなのかもしれない。

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協立商事。中央区八丁堀2-21。1987(昭和62)年10月25日

八丁堀二丁目、鈴らん通り東側の街並み。右から、昭林堂書店(裏にコーヒー・レストランの椰子の実)、新大橋通りへ抜ける路地があって協立商事有限会社、東京柴田商事株式会社、サンケイ新聞京橋専販所。協立商事の看板にある取扱商品が読めそうで読めない。「掃除用具・日用雑貨」などだろうか。
現在は協和商事が「日用品雑貨卸売業」として電話帳に載っていて、ストリートビューでは工事用フェンスで囲まれた形であるが建物も残っている。その他はビルに替わった。本屋は「藤和八丁堀ビル」(1991竣工、1階はファミリーマート)、東京柴田商事は「八丁堀鈴らん通りビル」(1990年12月竣工)、サンケイ新聞は「産経新聞京橋販売所」のビル。協立商事が最後まで残るとは以外だった。


サンケイ新聞京橋専売所
1986(昭和61)年6月15日

軒の上のL字形の飾り、2階の丸窓などが見られて、戦後に建てられた看板建築としてはデザインに凝っているほうだろう。
「サンケイ新聞」は1988(昭和63)年5月に「産経新聞」と昔の題号に戻している。

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珈琲ロイ。中央区八丁堀2-19。1987(昭和62)年10月25日

写真右の交差点は秋山三五郎商店のある四つ角。右奥へ行くと新大橋通りに出る。戦前に建った看板建築にも見えるが戦後のものである。
左から河合タバコ店、珈琲ロイ、花鳥堂パン店。交差点に向いているビルはベル(喫茶店)、その向かいはパンダ・イン(中華パブ)。
昭和27年頃の火保図では、それぞれ「松岡タバコ、花鳥堂パン、斉藤鉄工所、福利軒」。



鈴らん通り。中央区八丁堀2-17・18。1996(昭和61)年6月15日

左上に蔦に覆われた秋山三五郎商店が見える。その右から右下へ、ベル(喫茶)、菱田洋品店(路地)麻雀淳、ヤマグチ文具店(路地)マツモト靴店、双葉洋品店、石橋印刷(路地)鶴田電気店。
昭和27年頃の火保図では、それぞれ「斉藤鉄工所、菱田洋品店(路地)関口洋品店、フランス化粧品・洋裁店(路地)松本靴店、双葉屋洋品、石橋菓子店(路地)鶴田デンキ店」。建物はベルのビル以外は昭和27年当時のままだろう。商売もあまり変わっていない印象だ。
現在では(ストリートビューでは)、ベル、菱田洋品店、麻雀淳の建物がそのままでしかも商売も続いているようだ。ヤマグチ文具店はビルになった。そこから鶴田電気店まで建物がなくて駐車場になってしまっている。今頃はビルが建ったかもしれない。

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秋山三五郎商店。中央区八丁堀3-14。1984(昭和59)年6月17日(2枚とも)

新大橋通りから平成通り、鍛冶橋通りから八重洲通りへ抜ける2本の横丁の交差点。八丁堀は平成になってから急激にビル化が進み、今では空襲で焼けた後に建った木造家屋は珍しくなった。角の蔦に覆われた秋山商店の建物はまだ残っていると思う。
祭りは日枝神社の山王祭である。秋山商店は神具仏具の店で神輿の製作もする。終戦後じきに建てられたと思われる古い家だから神酒所にはぴったりだ。「清水園」については不明。
写真中央には戦前の看板建築かと見える建物があるが、これも戦後のもの。昭和27年頃の火保図に「工事中」の記載があるからその頃に建ったものだ。秋山商店から写真右奥へ、「藤ビル」(看板は「コジマ」)、「直平ビル」(看板は「防火用品・冷暖房機器 株式会社トーワ」と「マキタ電動工具 八丁堀直平」)、「㈱直平」、「そば 永盛(ながもり)」、「一ふじ」、「花沢」、「ヤマグチ(事務機・文具)」・・・。
直平(なおへい)金物店のところは戦前には「吉兵衛(きちべい)金物ヤ」。この2店は大工道具の店として有名だったらしい。永盛はかなり古くからあるそばやらしいが現在もほぼ同じ場所、「東八重洲シティビル」の1階に店がある。




今は書き換えられているが、角の飾り窓には「神佛師/秋山三五郎商店/神具・佛具」と書かれたシャッターが下りる。2基のお狐様は固定されているわけでもないと思うがいつも外に出ている。
秋山商店の初代・秋山三五郎が製作した神田多町の神輿は上野の国立博物館に重要文化財として保存されている。当然、八丁堀の神輿は全部秋山製。深川にも2基あるという。『 多町と神田祭』によると、鉄砲洲稲荷の大正6年製作の神輿も代表作だという。このサイトに大正15年撮影の神輿を中心にした記念写真が載っていて、秋山三五郎もそこに収まっている。『 わが町・八丁堀 八丁堀三丁目西町会『わが町のあゆみ』から』の「昭和初期の鈴らん通り」の章に「秋山三五郎商店のジイさんは切れ長の腫れぼったい目を光らせて神輿細工に余念がない。貫禄たっぷりで近付きがたい感じ。」という文があった。

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