
大阪府立中之島図書館。大阪市北区中之島1-2
1992(平成4)年8月4日
大阪府立中之島図書館の設計者は住友臨時建築部技師長の野口孫市で、1904(明治37)年2月竣工、石造・煉瓦造3階建。外観は、正面の階段を上った基壇上に四本のコリント式円柱、それに支えられた三角形のペディメント、その奥の建物の中央にドーム屋根がある中央ホール、という新古典主義である。
『日建設計>2-5 大阪図書館』には、「野口孫市は、西洋古典様式建築の核心を捉え、この図書館の設計にはパッラーディオ様式で取り組みました」として解説されている。16世紀にパッラーディオという人がイタリア北東部のヴィチェンツァに建てた「ヴィラ・ロトンダ」という建物を指す。欧米でそれが、「智恵の殿堂」という意味が込められた建築様式となり、図書館や大学などの「理想の原形」となっていた、という。
アメリカでもパッラーディオ様式の大学や図書館が建てられた。野口孫市はそれらを見ていて、その影響が指摘されている。
『アメリカ建築案内』(東京大学建築学科 香山研究室編、工業調査会発行、平成元年、1980円)で、どんな物かを見てみると、コロンビア大学図書館(ニューヨーク、1897年)は規模が段違いに大きい。第4代大統領トマス・ジェファーソンが設計した「モンティチェロ」という自邸(1809年)は壁が茶色のタイルなのだろうか、古典主義の厳格さが少ないように見える。ニューポートのレッドウッド図書館(ピーター・ハリソン、1750年)が、外観が一番似ているが木造だからこぢんまりしたものらしい。
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