ぼくの近代建築コレクション
東京の都心と下町を中心に、戦前に建てられた古い建物の写真を投稿していきます。
 





岩井つづら店。中央区日本橋人形町2-10
上:2010年10月19日、左:1985(昭和60)年8月3日

岩井つづら店は甘酒横丁と人形町通りの裏通りとの角にある。テレビの人形町を散歩する番組でよく登場する。地下鉄人形町駅から明治座への往復で甘酒横丁を通る人は多いから、小さな店ながら目にした人は多いと思う。最近(2014年)、写真の建物が建て替わって3階建のビルになったので、旧店舗を記録しておく。
この周辺は空襲から免れているが、つづら店の建物は戦後のものと見当が付く。1947(昭和22)年の航空写真を見ると、甘酒横丁の北側が一列に白っぽく写っている。どうも、建物疎開で甘酒横丁が広げられて、戦後にまた建てられた家が写っていると思われる。

『東京路上細見2』(林順信著、平凡社、1987年、1900円)から岩井つづら店を記述した箇所を紹介する。

 角の「岩井つづら店」。ここのようにすべて手作業でつづらをつくる店は東京全体でも2、3軒のこるだけという。つづらは、竹で組んだかごに和紙を貼り、漆で上塗りをし、家紋を入れる。軽くて通気性のあるつづらであるが、庶民のものであった柳行李(やなぎごうり)と比べると高級品であり、昔は歌舞伎などの役者の衣装入れに用いられた。今では5000円ほどの小箱が、ネクタイ入れ用に結婚祝いとして贈られることもあるとか。店の中には黒と赤のつづらが天井まで積み上げられ、和紙を貼ったかごは店先の歩道で乾かされている。4代目の当主、奥さん、息子さんが、ここで和紙貼り以降の作業をする。竹の目をきれいに出すように和紙を貼るのがポイントで、漆塗りにほこりは大敵と岩井さんは言う。アンティーク好きの若い人や外国人の注文や、全国からの注文があって、手に入れるには半年待たねばならないそうだ。



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