ぼくの近代建築コレクション
東京の都心と下町を中心に、戦前に建てられた古い建物の写真を投稿していきます。
 





日本不動産。中央区湊1-14
上:2004(平成16)年4月17日
左:1987(昭和62)年10月11日

湊1・2丁目の隅田川に沿った通りの隅田川の側には、かつては倉庫が立ち並んでいた。それらは今は、1丁目ではマンションやオフィスビルに建て替わり、2丁目は再開発が進んでいる。今残っている倉庫は日本不動産の建物を除けば、その北に2棟並んでいるだけになってしまったようだ。その倉庫(日昇印刷)も正面からでは倉庫とは判らず、また倉庫としては使われていないと思う。
日本不動産の銅板貼りの建物は、1階の庇や屋根の先端が壁より前に出ていて看板建築とは言いにくいが、そう言っても特に異論をはさむほどのこともない。建物を後ろから見ると分かるが、事務所の建物と小さな倉庫の2棟がくっついている構造である。
昭和10年頃の火保図に「中元」、昭和25年頃の火保図には「中元産業KK」とあるから、中元(なかもと?)産業という会社が建てたものらしい。1987年に撮った写真には、建物の2階、横の角の壁に「中」の金文字が残っていて、その下にとれてしまっていたが「元」の字の跡が読める。
2枚目の写真では場所によって銅板の貼り方が異なるのが分かる。事務所棟の左端に「中央区湊町一丁目一番地」の古い住所表示板が貼られている。「町」がとれてしまったのは、1971(昭和46)年1月の住居表示の変更から。番地も振りなおされた。


日本不動産の裏側。湊1-14。2004(平成16)年4月17日

日本不動産の横の路地を入ると小さな祠があり、日昇印刷の倉庫も眺められる。路地の奥は隅田川の堤防で、階段があるので隅田川のテラスへも降りられる。この路地はストリートビューで見ることができる。

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