ぼくの近代建築コレクション
東京の都心と下町を中心に、戦前に建てられた古い建物の写真を投稿していきます。
 




馬場歯科医院。台東区鳥越1-24。1987(昭和62)年6月7日

鳥越のおかず横町の中心辺りを北へ行ったところ。写真では看板建築の二軒長屋が3棟ほど並んでいるように見える。それがGoogle古地図の昭和22年の航空写真では1棟の六軒長屋に見える。現在は「クレストサカガミ」(1999年10月築、7階建て)というマンションに建て替わっている。
写真手前の角が馬場歯科医院。『下町残照』(村岡秀男、朝日新聞社、1988年、1500円)に昭和62年4月に撮影した写真と、馬場医師に取材した記事が載っている。治療中の写真もあって、上の写真を撮ったときも開業していただろう。昭和7年の開業だから昭和62年では馬場氏は75歳くらいかと思われる。
驚いたのは、開業時の施設がそのまま使われていることだ。椅子が95円、日立の機械が380円したそうだが、歯科医院の施設はなるべくなら新しいものが望ましいと誰もが思うのではないか。どんなに便利な道具ができても、使い慣れた道具を離さない人はどこにでもいる、ということなのだろう。とにかく『下町残照』にある診療室の写真は歴史博物館の特設コーナーをみるような感じである。そこに、2つの棚に、拳から頭くらいの大きさの石がごろごろと積まれているのが写っている。趣味のコレクションなのだろうか?



鳥越バーバー。1989(平成1)年2月12日

馬場歯科医院の二軒長屋の片方は「鳥越バーバー」。これも『下町残照』に取り上げられている。昭和4年に月島から移ってきたという。洋風のレリーフを施した黒い壁板などの内部は当時のまま。現在、18番地に同名の店があるから、そこへ移ったのだろう。

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