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心に映りゆくよしなしごと書きとめどころ

日本海の幸をその日の夕食にいただける至福!

2020-12-10 11:46:34 | フォトエッセイ

 日本海で泳いでいた魚を、その日の夕方には口にできる。とりわけ海なし県の岐阜に住まいする者にとってはありがたいことこの上ない話である。
 決して物流の進歩を讃えているわけではない。釣り人の好意への感謝を伝えたいのだ。しかも、愛知県に帰る経路からみると、わざわざ高速を降りて遠回りになるのに、それを届けていただいたその厚意に対してである。

         

 頂いたのは真鯛とハマチ。この光沢は、この辺りではめったに見られないものだ。とりわけ真鯛のこの色合いの美しさはまれに見るものだ。この赤さがひときわ美しく映える色合いは季節によるものだろうか。

         

 真鯛は、早速この日の夕餉に刺し身にした。普通、お造りは、白身は薄く、赤身は厚く切るなどというが、じゅうぶんな身の量があったので、思い切ってやや厚めに切ってみた。
 この歳にしては歯が丈夫なせいで、その跳ね返すような弾力、口腔に広がる天然の甘み、微かな潮の香、などなどをじゅうぶん楽しむことができた。

         

 鯛のアラはもちろん捨てたりしない。兜煮にするつもりで保存した。

         

 ハマチは三枚卸しにして、片身は翌日の夕食時に刺し身と照り焼きにした。
 この濃い身の色合いこそ天然物の特徴で、養殖や鮮度の落ちたものの白茶けた色相とはまったく違う。
 その翌日に回した刺し身であったが、冊にしてキッチンペーパーとサランラップに包んでおいただけなのに、まったく鮮度を失なわず、しっかりした歯ごたえを残していて、流石に身が締まった天然物と感服した。

         

 数十年前、漁港の民宿で口にした、それまでのフニャッとした柔らかな食感とはまったく違ったハマチの美味さに感嘆した覚えがあるが、その折の感動を彷彿とさせるものがあった。

 これも、アラはブリ大根を作るつもりで、もう半身も適宜使用するつもりで保存してある。

 日本酒との取り合わせをじゅうぶん堪能しながら、早朝から日没近くまで、寒い日本海で竿を操作し続けたでろう釣り人のことを思い、その釣果を、こんなにぬくぬく味あわせていただいていいものかと、なんだか申し訳ないような気もしてきて、改めて感謝を込めながら味合わせていただいた次第。多謝あるのみ!

コメント
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