六文錢の部屋へようこそ!

心に映りゆくよしなしごと書きとめどころ

洗濯を三回した!

2024-06-14 16:53:44 | よしなしごと
今日は日差しも強く風もそこそこあるので、三回の洗濯を試みる。
一回目は通常のもの。
二回目は、合物のズボンやシャツ、ベストなど何枚か。自分で洗うのもいくぶんやばいかなというものもあったが、それだけクリーニングに出すのはと、思い切ってエイヤッと洗ってしまう。
三回目は余勢をかって、シーツとフトンカバー、枕カバーなど寝室周りのも
の。
         
布団はもう片付けてタオルケットにする。
三回洗濯といってもそれ自体は洗濯機がやってくれるからいいのだが、汚れたものを二階の寝室から降ろし、乾いたものをまた二階へというのが大変だ。
また洗濯機の在り処から干場までが離れているため、濡れて重いものを運ぶのも大変だ。
持病の腰痛が、「お前大丈夫か」と訊いてくる。
 イラストのような爽やかな洗濯だといいんだけど・・・・。
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それでもカニはカニ、あるいは時期外れは時期外れ?

2024-06-14 02:48:13 | よしなしごと
 昨日、あるSNSで、古くからの友人が、故郷・田原(渥美半島)で、親族の方が獲ってきたワタリガニ(ガザミ)を暴れ食いしているのを羨んでコメントを付けた。
 そんな矢先の今日、いつもゆくスーパーの魚売り場で、セコガニ(勢子ガニあるいはセイコガニ)の足を折りたたんだ状態が25センチほどのものを見かけた。うまそうだがどうせ価格が・・・・と通り過ぎようとして足が止まった。

     


 え、え、え、198円?何度見直してもそうだ。ならばということでゲット。
 湯がくのではなく、せいろで十数分蒸した。

 セコガニはズワイの雌。時期ならば抱卵していてそれもうまいのだが、いまは時期はずれ、それはない。甲羅を外すと、いくばくかのカニ味噌を味わうことができた。

     


 その他、甲羅の肉も、脚のそれも、そこそこ美味かったのだが、やはりこのスリムさ、口中でのボリューム感がもの足りない。

 結局、少しばかりの満足感と、かなりの欲求不満が残るカニとなった。

 

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カエルの歌が 聞こえてくるよ

2024-06-03 00:55:46 | よしなしごと
 何を知らせたいかというと、久々に夜遅く帰宅し、遠く離れたバス停から家まで歩く途中、うちからはとっくに見えなくなってしまった田んぼに、田植え近しと水が張られていて、蛙たちが一斉に鳴き出した風情である。
 
 
 水がなくて田んぼが干からびた状態だった頃、蛙たちはいったいどこにいたのだろう。
 
 半世紀以上前、わが家は周囲四面が田んぼで、エアコンもない時代とてすべての戸や窓を開け放って風を通していたいた。
 で、その全方位から蛙の凄まじい鳴き声に攻められ、ラジオもTVもボリュームを大きくしないと聞こえなかった。
 
 ちょっと玄関など開けておくと、いつの間にかトノサマガエルの来訪があったりと・・・・還らぬものはすべて「いとをかし」である。
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水戸岡鋭治氏デザインの岐阜無人バス(GIFU HEART BUS)

2024-05-22 18:09:31 | よしなしごと

 昨秋より、岐阜市で始まった中心部での無人バス(GIFU HEART BUS)の運行。

 この写真はJR 岐阜駅バスターミナルでのもの。なんか簡単な手続きで乗れるそうだが、私はまだ乗ったことはない。別に怖いからではなく、その機会がないからだ。

      
      
                 

 運行して半年ほどの先月、初めての事故があり、なんとその相手が路線バスだった。そのせいでしばらく運行を中断していた。事故の原因などどう決着がついたのかは知らないが、今月3日からまた運行を再開している。

 なおこの車両のデザインは、鉄道ファンにはおなじみの水戸岡鋭治氏とのこと。

いざ出発
        

こちらへ来るように見えるが、前後が同じなので、これは向こうへ去ってゆくところ
      
 
これを書いたあと調べてわかったのだが、事故の原因、路線バスの方が停留所へ止まる際、自動バスが停まるはずだという判断で、かなり無理をして被せるようにしたためだとのこと。
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デジャヴで不快な体験 ある勧誘の話

2024-05-04 15:51:13 | よしなしごと

 過日の不快な体験である。インターフォンが鳴る音で玄関へ。
 「どちら様ですか?」と私。
 「ちょっと新聞についての調査です」と若い男の声。
 最近の新聞の衰退には関心もあるので、出てみた。
 男はまず「これは調査に協力していただく謝礼です」とティッシュの包を2つほど渡す。会社や組織名はなく白い包装のままのティッシュ。
 
 「今現在、新聞はお取りですか?」との質問に、「ハイ、とっています」と応えると、「偉いですね、私ども新聞業界にとっては全くありがたい方です。これもどうぞ」とまたラップの箱を渡す。「で、どこの新聞を?」との問いに「A紙です」と答えると、「ああ、やはり全国紙ですね。ますます感心するなぁ」とおだてあげる調子。
 おそらく、C紙や県紙ともいえるG紙を指しての発言だろうが、私はそれらを軽んじているわけではない。A紙とG紙をともにとっていた時期もあるのだ。あえてそれは言わない。

           
 この辺で私は相手の正体に気づいていたからだ。昨年か一昨年にもほとんど同じやり取りを経験していた既視感があった。
 「お父さんすごいですね」といつの間にかいっそう砕けた調子。「こんなヘラヘラした男の父親になったおぼえはない」というのは私の心の声。
 
 「新聞ってやはり全国紙ですよね。この辺の人は新聞とっていなかったり、地方紙が多いんですよ。感心だなぁ。さ、さ、これも受け取ってください」と今度は洗剤の容器やラップの包みを私の腕に押し付けてくる。私の両腕のなかは、それらのグッズでいっぱいになる。
 「いや、こんなもの要りませんから」と私。
 
 「実はですね、私この春、Y新聞に入社して記者志望なんですが、最初は現場を回って一定数の読者をとらねばならないんですよ。いえ、お父さんにA紙をやめてうちに移れというんじゃありません。そのままで結構ですから、一応うちをとるという印だけ頂いて、すぐにやめていただけば結構ですから。ほらこれはそこでもらった契約ですが、ここに『すぐやめる』となっているでしょう。これで結構なんですよ。それで私が記者に出世できたら、いい記事を書いて、今度は正面からお父さんにお願いに来ますから。今回は『すぐやめる』という条件付きで一応契約にサインだけしてくださいよ」

 と、立て板に水でかなり強引にサインを迫ってくる。こんなのに長々と付き合ってる暇もないので、「いいや、そんな契約はしません。お帰りください」と私。
 それでも、2,3回、「そうおっしゃらずに、お父さん」と粘ったが、「なんとおっしゃられても要らぬものは要りませんから」と私。

 「あ、そうですか」と、今まで見せなかったふてぶてしい態度で踵を返して立ち去ったのだが、その帰り際が鮮やかで、私の腕いっぱいに押し付けたティッシュ何袋かと洗剤やラップなど、何一つ残さず、あっという間に取り上げて行ったのだ。別にほしいとは思わなかったがその豹変ぶりとグッズ回収のスピードたるや見事であった。

 契約を一定数とったら記者にというのは作り話だろう。いくらY紙でも、あれを記者にはしないだろう。多分、勧誘専門のプロだと思う。
 しかし、「調査」だといい、抱えきれない景品を勝手に押し付け、「すぐやめる」条件付きの契約を迫るなんて、なんかオレオレや還付金詐欺と似たりよったりだとも思った。

これを書いたあと、ネットで調べたら、「新聞はインテリが作ってヤクザが売る」とあった。ヤクザが売るといっても新聞販売店のことではない。「新聞拡張員」という別途の職業集団があって、その人たちが顧客を勧誘し、まとまった契約を販売店に買ってもらうのだという。
 しかし、その勧誘の仕方の評判はあまりよくない。それら勧誘のパターンを四つに分類している元勧誘員の述懐によれば以下のようになる。

 1)喝勧 これは文字通り恐喝を含むもので、「これだけ頼んでもだめですか?こっちにも覚悟がありますよ。あなたの名前も住まいもわかっているんですから」と凄んだりする。もちろんこれ自身が犯罪行為である。
 2)置き勧 これは安物のラップや洗剤などを無理やり置いてきて、申込書にはコンビニで買った三文判を押して契約とするもの。新聞が配達されはじめて気づくが、そのときには置いていったものに手を付けていて、諦めたりする場合もあるという。もちろんこれも契約ではない。
 3)泣き勧 自分の身の上や家族の病気、障害などを訴え、同情を誘うもの。
 4)引っかけ勧 自分の身分などを誤魔化し、「新聞店の経営者だが、この度、〇〇新聞があまりにもひどいので、✕✕新聞に変わったのでよろしく」などと虚偽の情報で契約させるもの。

 私のところへ来たのは、玄関を開けさせるのに4)を用い、やたらものをくれるのに3)を用い、さらに「自分が正社員になるために」と2)及び4)を用いている。あからさまな1)はなかったといってよい。

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最近の食事三題とマルハラの話

2024-03-23 15:19:45 | よしなしごと
      
22日昼 質素に一汁一飯 白菜と揚げ わかめの煮付けのみ

      
22日夜 なんだか気が滅入るので少し奮発 左上から時計回りにごぼうさっぱり煮 わけぎとホタルイカのヌタ モズク酢 ビンチョウマグロ山かけ こりゃあやはり日本酒ですね

      
23日昼 山かけそば 隣のカップはいっちょ前に蕎麦湯を ただし 食べ終わってから薬を飲むのに使ったりしてたんじゃなんとも締まらない

以上 句読点はマルハラだというのでなしで書いてみたが パンツの紐が緩んでいるようで収まりが悪い

結論
 たかが「。」で威圧を感じるとしたら、そのほうがよほどおかしい。句読点がないと理解できないような本格的な文章とは無縁な連中の話ではないかと思う。だから私は、今後とも使う。

 

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ドイツ・ライプチヒからの便り

2024-03-15 15:56:01 | よしなしごと
ライプチヒに住む畏友・K氏に私が参加する同人誌を送ったところ、それへの感想とともに、二枚の写真を送ってくれた。
一枚は彼の最新作の東洋風山水画である。彼には二メートルを超える大作もある。なかなか達者なものである。
もう一枚は、この九日、ベルリンで行われた反原発デモに参加した彼が撮したものである。中央の横断幕には「Fukushima」の文字も見える。
すでに反原発に舵を切ったドイツで、Fukushimaを思いやったデモが挙行されているのに、その本場のこの国はどうであろう。未だ帰還できぬ地域があり、帰還できても生活が成り立たない地域もあるのに・・・・。
壊れた原発の解体やデブリの取り出しも全く進行しないというのに・・・・。
 
 
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雨の大晦日

2023-12-31 10:55:34 | よしなしごと
■大晦日は雨。朝一にしたことは洗濯物を近くのコインランドリーへもっていって乾燥させること。
■うちの洗濯機の乾燥機能はまったくだめで3時間かけてもろくに乾かない。コインランドリーのものだと30分で乾く。

       


■仮設の仏壇に居る亡き連れ合いに正月用の仏花を飾る。
■わが家の墓はない。私が分家であり、わが子たちに子供はいないので墓守りが絶えることになるから。
  
 
■雨の間のナンテンが華やかにゆく年を見つめている。

 

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二日続けての名古屋今池行きと年末の訃報

2023-12-19 11:39:48 | よしなしごと
 名古屋・今池へ二日続けて行くこととなった。
 
 土曜日の一日目は、かつて、「壺」や後の「芦」へ通っていた今池常連メンバーの同窓会。古くは半世紀前から、新しくても三〇年以上の付き合い。話が弾む。
 私と同年輩はみな旅立っていて、おかげで戦中生まれの最年長。
 
 添付写真の銀杏の映るのがその日の帰途、今池からJR千種駅まで歩いた途中の風景。千種駅から、金山経由で岐阜まで帰る。
 
      
 
 
 二日目は私が所属する会の年末の総会、並びに懇親会(=忘年会)でのもの。
 冒頭、この会では割りと古くから言葉をかわし、同人誌を送付して感想をもらうなど親しくしていただいていた方が急逝したというニュースに、浮かれ気分がすっ飛ぶ。
 
 その暗い気分のまま、撮った雪含みの今池の空が後の二枚。いずれも今池ガスビル八階から。
 
  
  
 
 彼は音楽への深い造詣と理解をもっていて、それらを駆使して作っていたその会の会報誌は見事であった。今後、これは不可能ではないだろうか。
 
 今年の一月、その会の年頭の発表会で、その方とともに発表者を努めたことを思い出していた。私がやや柔らかい話を前半に披露し、その方が、専門に裏打ちされた手堅い発表をされた。
 
 ご冥福を!
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何もしないつもりの半日のみの豊橋小旅行

2023-12-15 02:07:12 | よしなしごと

 豊橋へ行った。積極的な理由は何もない。
 消極的なものとしては、この歳にして今年の暮は外出が多い方なのだが、どれも決められたりしたもので、自分で「よしっ、行こう!」というものがない。そこえへたまたま名鉄電車の切符があったので岐阜から一番遠いところということででかけた次第。この動機からだけみると徘徊老人と変わらない。
 前に行ったことがある美術館でなにかやっていたらという気もあったが、予め調べたら改修工事中とのことでそれは断念。

      
             名鉄岐阜駅での連結作業

 としたら、何も慌ててゆくことはないと、昼間の日常の家事を済ませてから夕刻、豊橋に着くように出かける。
 で、薄暮の始まる頃到着。

 駅頭のブリッジではイルミネーションが点灯していて、それを眺めていたらちょっと奥まったところに花飾りに囲まれた白いベンチがあり、どうもそこでカップルなどが自撮りをする場所らしい。

      
                豊橋に到着
 
 その前に差し掛かったら陽気な女性に声をかけられた。彫りの深い表情はどこか日本人離れをしていて、言葉のイントネーションもやや異なる。
 その女性いわく、あの白いベンチにかけるので魅力的に撮って欲しいとスマホを渡された。引き受けてスマホを構え、彼女がベンチに座った途端、悲鳴を上げて飛び上がった。何事が起こったか分からなかったが、私の近くまで水しぶきが飛んできた。

                
               出発待ちの飯田線電車

 わぁ~、わぁ~、わぁ~と彼女の悲鳴は続く。よく見ると彼女のパンツは、おしりから下全体にしずくが垂れるほど濡れているではないか。何が起こったか分からず、ベンチに触れてみて初めてわかった。そのベンチは、座りやすいようにお尻の当たる部分が窪んでいるのだが、そのくぼみに、当日の午前中まで降っていた雨のせいで、2~3センチの深さで水が溜まっていたのだ。

 そこへ彼女はまともにお尻を下ろしてしまったのだ。これは悲鳴を上げるのも無理はない。慰めようもなく立ち尽くす私からスマホを受け取った彼女は何処かへ私にはまったくわからない言語で声高にしかも早口にまくし立てた。
 後で聞いたらタガログ語で彼女はフィッリッピン人だという。

          
                駅頭のトラムカー

 なんか、責任を感じてしまってなにか手助けすることはと尋ねたら、いま電話したのは妹で、やや離れたところからだが車で迎えに来るとのこ、それまで本人は近くの衣料店で着替えが買えたらそれに履き替えるという。あのタガログ語の激しさに比べたら嘘のように笑顔が戻ってきて、かえって心配をかけて済まないといったのには気の毒というかなんというか複雑だった。

          
             駅前へやってくるトラムカー

 彼女と別れてからもモヤモヤしていたがあれは不慮の事故ではなくまったく人為的な不手際だと気づいた。普通ああした形状のベンチにも水が溜まったりはしないはずだ。それはどうしてかというと、一つには普通、短冊状の板で作られていて隙間があること、そして一枚板の場合にはところどころに丸い穴が空いていて決して水があんなに溜まったりはしないのだ。

 ふとみたら、近くのイルミネーションを部分的にいじっている男性がいた。彼に近づき、あなたはこの装置のクリエーターかと尋ねた。いいえ、私はこの部分だけの担当ですと彼氏。
 じゃあ、それはそれとして、ちょっとこちらへとベンチのところへ連れてゆく。そして水が溜まっているさまを示してこれをどう思うかと尋ねた。これはまずいですね。この長さだと3~4箇所に水抜きの穴を設けるべきですねと彼氏。

      
              以下はイルミネーション

 私は、先程の彼女の被害を話し、他にも犠牲者が出る可能性があることを告げ、早速注意書きを用意し、さらにはこの椅子を撤去し、新しいものと取り替えるよう要求した。わかりました、その旨責任を持って処理します、と彼の答え。
 先程の彼女がまだいたら、その被害を弁償させたい思いであった。

 変なアクシデントで時間をとったが、あとは飲食店で酒肴を味わい帰るのみだ。駅前の道路へ降りる。
 ここへ来るといつも気になるのは精文館(Seibunkan)という大型書店が元気でやっているかということだ。ここで書を求めたこともあるが今回は前からの覗き見のみ。ちゃんとやっていて客も結構入っている。

      
 
 その近くの飲食店に入る。ここから先は感傷旅行のメインのはずであった。ここへは3,4回来ているが、何回目かに同行した友人は今年の5月に旅立った。そして別の機会に同行した友人は、いろいろ事情があって今は会うことすらできず、したがってその生死すらわからない。
 その人たちを偲びながら、カウンターで静かに酒肴をというのが強いていうと今回のこの小旅行であった。

 郷に入らば郷にで、この地区の酒「三河手筒」を頼む。手筒花火からのネーミングだろう。サラッとしていて結構うまい。カウンターは1人のみ、しばらくはしんみりと杯を傾ける。
 が、しばらくすると女性が1人、カウンターにやってきた。オーダーなどのぎこちなさからみて、土地の人ではなく旅の人だとわかる。      

      

 どちらからともなく話を交わすことになる。はやはり一人旅の女性で、神奈川県から青春18切符で訪れたという。今日は豊橋の吉田城跡と豊川稲荷、宿は豊川だが夕食はネットで検索してここにしたらしい。
 明日は飯田線で長篠の古戦場跡、そして浜松城などが予定という。どうやら、社寺仏閣、城址、古戦場跡など広い意味での歴女に相当するのだろうか。

 そうした観点から岐阜についていろいろ問われる。岐阜と言っても南部の県都岐阜を含む美濃地方はどちらかというと太平洋性気候に属するし、飛騨や奥美濃は日本海側の気候で、風俗習慣も異なる。さらには美濃地方も西濃と東濃はあまり交流もない。それらをうまく説明できない。

      
 
 いずれにしても、冬は北部は寒く雪深いし、南部は呼び物の鵜飼などもないし、初夏から秋にかけてがお勧めだと言っておく。岐阜城について問われたが、戦前の火災事故後、コンクリート製ではあるが、そのロケーションは素晴らしく、私の少年時代は濃尾平野の地図同様、揖斐、長良、木曽のいわゆる木曽三川が伊勢湾に注ぎ込む様子が見て取れたこと、そんなこともあって、眼下のどこで挙兵があっても、すぐさま知れ渡ったことなどを話す。

 そんなこんなで、しんみりした感傷旅行の仕上げとしてのしんみり酒は、すっかり友好酒に転じてしまった。
 野暮な自己紹介はやめにして、私のブログのアドレスのみ教え、土産を買い豊川の宿へ帰るという彼女と豊橋駅頭で別れた。

      
      
              精文館(Seibunkan)書店    

 行きには軽い本一冊をやや斜め読みに読んだのだが、酒と疲れの後ではそうは行かない。まぶたが閉じがちになる。しかし、岐阜が終点だから安心できる。しかも、岐阜へ着く手前で目が醒め、いつも東海道線から見る夜景と、名鉄線のそれとを比較しながら最終行程を終えることができた。

 寒々としたわが家の日常の中では、今日半日の出来事がなにか夢幻の如くであった。そしてそれが、ぶらっと出かける、旅や小旅行が変哲のない日常にもたらす異化作用なのだろう。
 
 これからも、特に目的もない土地にふらりと出かけてみたい。
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