六文錢の部屋へようこそ!

心に映りゆくよしなしごと書きとめどころ

最後の黄葉と「安静川柳」そしてフサエさんの梅干し

2014-12-27 15:33:33 | 川柳日記
 うちの雪桜は申し訳程度にしか花を付けない駄木だと毒づいやったら、年のどん詰まりに来て綺麗に黄葉した。これまでの無為徒食は許すことにする。

        

 肺炎だそうだ。それを錦の御旗に年末年始の諸行事をすべてネグレクトする。
 もっとも、毎年、年の暮れに肺炎がやってくると楽ができるというほどのんびりした話でもない。

 以下、久々に川柳を作ってみた。題して「安静川柳日記」(破格、ご容赦!)

   やれ大変 肺に狼煙が上がったぞ
  
   予後二十日 まるで執行猶予刑

   安静に監視されての年の暮れ

   点滴はショパンの雨だれとは違う

   点滴は退屈 文庫本も重い

   回り道ばっかりしてる いま病臥

   年の瀬が病の瀬となり年を越す

   だあれもたたかってくれぬからひとり



フサエさんの梅干しと摘果きゅうり
 熱のため全く食欲が無い。しかしなにか口にしないと薬をのむ潮時がわからない。
 何を食べてもまずいなか、フト思いついた天才シェフこと私の絶妙のコラボ。

 同人誌先達のお連れ合いのフサエさんからいただいた、これぞまさに伝統的にして正統の香り高い梅干し、それに、それ自身はいささか味に乏しい摘果きゅうりを故意に包丁を使わず、ポキポキ折って添えるというただそれだけ。

        

 その梅干しを崩しながら摘果きゅうりと食べるのだ。これがうまい。
 ただしその梅が、お茶うけのような甘ったるい既成のものでは駄目だ。たとえ、ブランド物の高級品でもだ。食したあとの口の中の爽やかさがまったく違うのだ。
 きゅうりも刃物を入れない方がいい。あえて摘果きゅうりがなかったら、普通のきゅうりを包丁の腹で叩くようにするといい。

 ただし、いずれにしてもダメだろう。決め手はこのフサエさんの梅干しだからだ。
 これで久々に、焼酎のお湯割りをいっぱい飲んでみた。
 酒類の旨さはまだ戻ってこないが、このつまみはいけた。
 こんな旨いものを食ったあとに薬とは情けない。

 
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冬木立と今年最初の「川柳もどき」

2013-01-19 02:44:01 | 川柳日記
  

 【タッチ】
    小賢しいタッチ別れの曲が鳴る
    改札のタッチのように過ぎたひと

  

  【ホテル】
    温度差が違うホテルの窓灯り
    ホテルには出前のような月が出る

  

  【引く】
    アドレス帳ピリオドは線一本で
    ひくものがもうなくなってさようなら

  

  【きのこ】
    このこかげきのこどこのここのこのこ
    しがみついてもいしずちはすてられる

  

  【そっと】
    そっとすり抜けて時代の裏に出る
    そっと出てそっと帰ってそっと寝る

  

  【似る】
    咳払いのみが似てきて親の歳
    占いに似てきてしまうオイディプス

  

  【茶】
    遅すぎた茶柱もう寝ていいんだよ
    終わったなもうこれまでと茶を煽る

 

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久々の川柳モドキです。

2012-10-05 02:42:24 | 川柳日記
       
               綿の花と蕾

        【触る】
         壊れても触ってほしいシャボン玉        
         触れるが触れば終わる距離にいる        

        【宿】
         宿酔いの月ふたつみつよついつつ
         やどかりにやどをとられたかいである

        【肩】
         肩幅の道を抜けたら逢えますか
         なで肩はやめた 今日からいかり肩

       
          赤と白で源平草 よくも名付けたものだ    

        【雑詠】
         これまでのことは忘れてたまご閉じ
         ぽっこりとわたしに似合う昼の月 
         虹色にしたいわたしが這った跡     
         この人があの人になり衣替え   
         ひまわりがうなだれ夏の戦後処理      


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ごく短い日記

2012-07-07 15:48:19 | 川柳日記
           

           勉強に疲れてふと目を上げたら、目の前にこんな青空が。
           まだ雨が激しいところがあるというのになんだか申し訳ないような。
           天の川を見ることができそうな天候だが、街の灯が邪魔をするだろう。  
           子供の頃は目を上げさえすればあんなにはっきり見えていたのに。


       
                八日には涙もまじる天の川    六文銭
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初詣 元日の陽を浴びる野菜たち そして川柳

2012-01-02 03:12:28 | 川柳日記
 元日のことである。
 朝のうちは曇っていたが昼近くになって晴天になったので、ある用件のために徒歩で外へ出る。
 用件を済ませてふと気づくと、そこは大晦日に通りかかって日記にも載せた鎮守様の近くだった。昨年のどん詰まりに訪れた場所の近くに年改まってから縁あって来たのだからと、柄にも無く初詣としゃれこんだ。

       

  

 予想したとおり、落ち着いた雰囲気で人混みなど全くなかったが、それでも三々五々、私のような善男善女が訪れて、ウロウロしていた10分ほどの間に、十数人が参拝していった。
 皆それぞれがゆっくりと参拝している。
 名のある混み合った神社ではそうは行かない。
 拝殿にまで近づけないことすらある。

     人の背を拝んで帰る初詣   (詠み人しらず)

 帰り道、例によって回り道して畑を見て歩いた。
 元日の陽光に路地ものの冬野菜が生き生きときらめいていた。
 こんななんでもない風景が結構心地よいものなのだ。
 都会に住んでいるひとには味わえない情景かも知れない。
 なんだかすこし得をしたような気分になった。

  
       
          

 ところで初詣に関する私の川柳であるがこんなのを作った。

      一枚の空分けあって初詣   六

 だが、作ったといっては恐れ多い。
 実はこれ、親しい俳人が年頭の辞に添えた俳句の完全なパクリなのである。
 その句にいわく。

      一枚の空がありけり初詣  ◯志

 あえてそのパクリを載せたのは、この違いのなかに俳句と川柳の微妙な差異があるように思ったからだが、諸兄姉はどうお思いだろう。
 もちろん、競うつもりは毛頭ない。もともとジャンルが違うのだから。
 ◯志さん、新年早々ごめんなさいね。
 

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久々の川柳もどき&付知渓谷と中山七里

2011-11-21 03:06:31 | 川柳日記
 久しぶりの「川柳もどき」です。
 写真、前半は付知渓谷、後半は中山七里です。
 撮影はいずれも11月12日です。


<縮む>
 怖いけど縮めてみたい距離にいる
 縮む距離 もう影踏みもできません

     

<花>
 裏切りの蜜を湛えて咲き誇る
 花いちもんめあのこをさらう波がしら

     

<急ぐ>
 急いだら鬼が待ってる曲がり角
 幸せなひとだ決して急がない

        

<雨>
 雨だから重い手紙が来るだろう
 見つめればあのひとのなかに雨がある

     
  
<リモコン>
 リモコンに別れのボタン追加する
 リモコンが効かぬ世界は凍りつく

     

<谷>
 濃厚な谷間の虹の自己顕示
 谷の闇けっして見せぬむかし唄 

     

<灯>
 狐灯と同行二人 風の旅
 灯火管制 還らぬひとを待っている

     

<騙す>
 曼珠沙華鮮やかすぎて騙せない
 騙してはいません愛のレトリック

     

<策>
 万策を小刻みに出し生き延びる
 策のない愛のほほんと浮き沈み

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今年最初の川柳もどき さぐらならおらほがええといったひと

2011-01-03 02:28:36 | 川柳日記
 今年最初の「川柳もどき」ですが、すべて昨年の後半の作からの自選です。
 かつて知人に見せたところ、「こんなものは川柳ではない」といわれました。
 もちろん俳句でもありません。
 「川柳もどき」と自称する所以です。

       

ガラス
  透明であってガラスの深い罪
  ひび割れも自己責任のガラス拭く

減る
  流ちょうに笑い私が減ってゆく
  減るものをひたすらに打つキーボ-ド

       


  米洗う手になっている月曜日
  憎しみを少し交えて米を研ぐ

撮す
  斜めから撮せば遠くなるあなた
  モノクロの写真に過去の色がある

       


  昭和には昭和の掟 いわし雲
  うろこ雲剥ぎ天空の底を見る

掘る
  掘り出した嘘のかけらを磨いてる
  あの辺り掘って革命埋めたはず

       


  北方(きたがた)は正直な町北にある
  さぐらならおらほがええといったひと


  偉大なる尻ひっさげて象歩む
  哀しみをどすんと沈め象座る

       

広場
  広場に背向けて広場へ流される
  正論を広場に埋めて生き延びる
  広場へと追い立てられる鬼ごっこ
  広場から逃げ出してきたひとといる
   
雑詠
  完熟のトマトの歴史重すぎる
  甘言に騙されたふり梨を剥く
  指先にさざめく粒子 塩つまむ
  夕立を連れてあなたに逢いにゆく
  すすき刈る 無念無想の地が開く
  チマチマとした悪まとめ持ち歩く
  越えて行くひとみな肩を尖らせて
  そのむかし光る出口をもっていた
 

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夏ばての夏ばてによる夏ばてのための川柳もどき

2010-07-28 03:05:47 | 川柳日記
【変わる】
  なぞなぞの答えが変わる月の宵   
  しなやかに変わるあなたのシンフォニー
  横文字に変えても嘘は縦のまま

 
  
【豆腐】
  奴にも崩れるほどの歴史あり
  曖昧な二人湯豆腐つついてる
  テロリズム 対角線に切る豆腐

   

【傾く】
  ロボットを真似てあなたは傾かぬ
  中立という傾きに溺れてる

 

【五】
  五入まで至らぬ四捨とともにいる
  確かさは五感からややずれている

   

【蛙】
  この辺りまでが希望と蛙跳ぶ
  ひとしきり哲学をして跳ぶ蛙

   

【父】
  インパール辺りも雨か 父眠る
  目の前を確かに通り過ぎた父


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鶴亀の歩みを測る万歩計

2010-01-29 17:56:47 | 川柳日記
 

 いつも長いものを書いていて嫌われるので、今日はさっぱりと短い日記を。

 川柳の句会というものにでた。
 多少、川柳をかじっていて、ネット上での句会には参加しているが、一堂に会してのものははじめてである。
 とても勉強になったし、面白かった。
 
 兼題は「かたち」「歩く」「橋」「逢う」などで、それぞれ佳句、秀句がよせられたが、意外に、詩をやっていらっしゃる方の句の評価が低かった。
 中でも、詩も俳句もやっていて、朝日俳壇などの入選経験もお持ちの M・I さんが選に引っかからなかったのは不思議であった。選評後の歓談の中で、「橋」に関して詠まれた句が披露され、それらはかなりいい線を行っていると思われたのに、実際に提出されたのは「歩く」にかかわるもので、しかも「万歩計」を詠んだものであった。
 私は万歩計というものを身に付けたことがなく、ましてやそれが歩幅換算で歩いた距離や消費かロリー、脂肪燃焼量まで検出する等とは全く知らず、したがって、M・I さんが万歩計に込められた思いを評価しえなかったのだろうと思う。まことに申し訳ない限りである。
 そんなことを思い返しながら、岐阜駅でバスを待つ間に、こんな戯れ句を思いついた。

       わが足の長短も問う万歩計
       脚線美までは測れぬ万歩計


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玉子発氷柱 【今年最初の川柳もどき】

2010-01-20 15:06:59 | 川柳日記
 「タマゴ」「持っ」て「次」に「ひらく」「発」見は「氷柱(つらら)」でした。
 上記の不可解な文章は、以下の句のお題を並べただけです。
 南野琴音! なんのことね!



         ポスト・フェストウム 祭の終わり

【タマゴ】
つるりんとして薄情なゆで玉子
玉子立つ 地球の丸さ際だてて
重み持つ かすかであるが受精卵

    
          行き止まりでしょうか、それとも

【持つ】
これもまた持ちものなのか影法師
決して旅立たないための荷物持つ
持って捨て捨てて持ってるジャグリング
聖俗をかけもっていて今は聖

    
           うすら灯り・ぼんやり灯り

【次】
空白の時間に次と書いてみる
この次はもうないと知る無言劇
次という時間に抜けるオフサイド

 
         並べられ、比較されてしまったものたち

【ひらく】
開いたり閉じたりできぬカレンダー
ひらいたらもうお終いになる自伝
どちらからひらいてみたらとべますか
おずおずとわたしをひらく背中から
これ以上ひらくところがない予感

 
            涙・・・のようなもの 痕跡

【発】
発芽するもの懐に旅に出る
発禁のリストに愛と書いてある
もう捨てる 発情しない愛なんて
発散と後悔いつも抱き合わせ
発想はいいですという褒め殺し

 
        ふたつある かんけいがある ものである

【氷柱(つらら)】
垂直に命滴り氷柱笑む
氷柱飼う 頑なな夢抱きながら
氷柱研ぐ 刺したいものもないままに 
氷柱からしたたり落ちる童歌

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