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心に映りゆくよしなしごと書きとめどころ

八月の終わりの入道雲(詩ではありません。メモです)

2011-08-28 02:54:39 | 写真とおしゃべり
一夏のトレーニングを終えて
いっそう立派に聳え立つ
八月の終わりの入道雲たちよ
まことに立派な姿態ではないか

   

水蒸気の造形とは思えないほど
ボリューム感があるし
気体や液体の集合とは思えないほど
確かさがある

   

しかしその成長の頂点は崩れの開始だ
てっぺんは上空の風にあおられ
下方では激しい水滴となって失われ
さすがの威容も変容を迫られる

   

入道雲にも最後の輝きがあり
もっとも美しくなる瞬間がある
それは全く皮肉にも
秋の到来がもたらすのだ

   

秋の気配につれて空の色が変わる
青いとはいえ少しくすんだ夏空から
それらの雑味が浄化されて
青空はいやましに青くなる

   

まさにそのときなのだ 
青空が広く高く色づき
透明感が鮮明になるにつれ
季節外れの入道雲はいっそう映えるのだ

   

滅びの美学などとはいうまい
それは完成の美学だからだ
完成の完が終わりであるとしたら
より良く完成したものがより良く終わるのだろう

コメント (3)
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