イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

シャカシャカ

2009-07-26 00:14:27 | お笑い

久しぶりに『爆笑オンエアバトル』242410~)を録画しつつ視聴。新年度新体制になって4回めの放送ですが、やはりと言うべきか、昨年度までの10組中上位5組から、15組中8組とオンエアの条件が変わったことより、玉数1位の1組“だけ”が一発チャンピオン大会進出というルールによって、たとえ初挑戦の組であっても、計量時点で400kb台後半程度では客席があまり沸かなくなりましたね。over500でも、パンクブーブーくらいの500オーバー常連ならさほどでなくなった。挑戦各組、もちろん“オンエアされること”を第一の目標にして来るのでしょうけれど、なんとなく1位以外はみな敗者”感がうっすら漂うようになったのではないでしょうか。

結果的に3位でしたが、517kbパンクブーブーの安定感は群を抜いていましたね。“流れ星に願いごとを三度言う”だけの一本押しのネタで飽きさせない、ダレさせないのはさすが。今年度のチャンピオン大会進出決定済み他3組の顔触れが、若干破壊力不足なため、この組辺り、もうとっくにイチ抜けていいんじゃないかという気もしますが、“抜け”ずに、常連として戦線を賑わし続けてほしくもある芸風です。

後半~クロージング付近の「流れ星は三回、大家さんなら一回、だったらぜんぶ大家に願えば良くね?」と、「オレは5時半に起きたいだけなんだよ?」は大成功でした。一ネタ押しで、“願い事を言うについての佐藤のこだわりヘリクツがどんどん細かくなっていく”というレールをきっちり引けたから、終盤に爆笑が取れるわけ。

今回は、無理やり欲を言えば“流れ星が消えないうちに三度言う”という設定縛りのために、必然的に、特に佐藤のボケが早口になり、笑い足りない箇所がいくつかあった分の3位か。佐藤の声質、口跡が、“早口向き”でないんですね。番組公式サイトによれば、放送終了後の視聴者投票で圧勝の1位得票だったため、マシンガンズスーパーマラドーナが既に進出を決めている“視聴者投票1位バトル”にコマを進めました。

一ネタ押しと言えば、489kb3組同点の5ギャロップ。“お笑いの師匠に弟子入りする”一本で、“抜け過ぎ”ボケ林の「でもボクはそうは思いません」のリフレインが、“フレーズはそのまま、文脈的にだんだんとんでもなくなっていく”というレールを、こちらもきっちり引けたので、大爆笑こそないものの安定して高めに笑いが取れた。本編前の抱負トークで「関西からはボクらだけ」をずいぶん気にしていたようだけど、この人たちはあまり“上方臭”がないのが、この番組で好感持たれている理由だと思う。そこはそのままでいいから、そろそろ決めゼリフ的なものが欲しい気もする。

同点5489kbラバーガールも安定していましたが、今回はボケのきっかけとしてのアナウンスヴォイスを多用し過ぎ、大水の台詞数も多めで、その分、実質的には“観客にとっての笑いのソース”である飛永があまり精彩を発揮しなかったように思います。ただ、今回の体験型テーマパークとかスポーツ中継のヒーローインタヴュー、TVのうんちく番組といった“設定自体がエンタメ”なネタにおいて、一貫して水準以上の出来を見せてくるこの組は、表面的な笑いの量以上に地力はあると思う。パンブー同様、戦線に長くいてほしい組のひとつ。

5489kbのもう1組、『爆笑トライアウト』勝ち上がり挑戦のニッチェは、初挑戦だし紅一点(二点か)だし、この計量でもっと沸いてもよかったのではないかと思いますが、ご本人たちほどには観客が喜んでなかったように感じたのは、計量順ひとつ前のしんのすけとシャンが圧倒の533kbを叩き出して、舞台上も客席も一気にテンション上がった直後ということもありますが、正直、「観れてよかった」「また観たい、もうひとネタ観たい」と思える芸でないんですよ。迫力髪型のボケ・江上はともかく、ツッコミ近藤まで歩調を合わせて“同性から見て下品でイヤな女”キャラというのはどうにもきつい。男性観客から見たら、「容姿が不自由な若い子がテンポよく頑張っている」と好感に見えるのかしら。

いや、本当にテンポや息の合い方はまったく問題なくオンエア圏なんですよ。ただ、どうしても、お笑いと言えども女性の若手に何を求めるか、何を提供してくれれば嬉しいかという観客側のニーズと、本人たちが志向し狙ってることとの間にギャップがあるような気がしてならない。たとえば、“可愛い”“お洒落”“セクシー”“萌え”といった要素の提供に比べて、“おもしろい”“催笑性”を圧倒的に、集中的に、他要素をぜんぶ投げうつ勢いで求めるかと言ったら、こと女性芸人に対しては観客があまり求めていないように思えるのです。

…何か、奥歯に、5ミリくらいの厚さのメロン…じゃなくてタクアンがはさまったような言い回しになっているような気がしないでもありませんが、要するにニッチェも“おもしろくて笑かせるオンリーではあんまり喜ばれない”という、女性芸人なるがゆえの悲しさから自由になれてない気がする。たとえば、ピンになりますが青木さやか、だいたひかる、エドはるみ、柳原可奈子、鳥居みゆき…といった面々が、一時的にせよ人気ブレイクできたのは“ひたすらおもしろくて笑かせてくれた”からか?…と考えれば意味がわかるかと思います。彼女たちの持つ“催笑性”以外の要素を喜ぶ人、娯楽として享受し得る人が、マニアと呼ばば呼べ、どこかに一定数存在したから、お笑いとしてブレイクできたのです。

さて、521kb2位につけた5GAPは、うまく嵌まればこれくらいは出してもおかしくない組なのでさほどサプライズではありませんでしたが、今回は何より、ボケ久保田の禿ヅラが途中で脱げるハプニングのカバーリングと立ち直りに力を見せつけました。体型通りあまり身体的キレのいいほうではない久保田が燃費悪く動き回る類いのネタが多いので、当然椅子が倒れる的なハプニングは普段から頻発して慣れているのかもしれませんが、脱げた瞬間「オマエ誰だー!」「アイツどこ行った、どこ行った」と対応し抜いて相方の立て直し時間を稼いだツッコミ秋本の機転も(何も起こらないときには目立ちませんが)なかなかのものです。

“開き直ったヘンテコ万引き犯”という括りで言えばカオポイントもそんな感じでオンエアになっていたこともあり、さほどの新鮮さはありませんが、ネタ後トークでの久保田の、地方収録回では特に有利な客席把握力といい、まだまだ伸びしろはありそう。

そうね、久保田の出身地群馬、“関東のケツのほう”に甘んじているよりは、避暑やウィンタースポーツでイメージのいい信州=長野と張り合いたい気分かも。栃木代表U字工事の意見も聞かないといかんですな。

4493kbランチランチは、ラスト15番目の演順ということもあり自分らの待たされ時間、観客のネタ見疲れというハンデを跳ね返そうと、冒頭からテンション上げて来た姿勢はよかったけど、ツッコミ海野が「やるたびに時間が止まる」と言ったボケ藤崎の「オォライ」リフレインのおかげで、ダンディ坂野「ゲッツ!」アンガールズ「ジャンガジャンガ」みたいなスベり芸になってしまいましたね。“プロポーズなしで結婚したカミさんにいまさらのプロポーズ”と、パンクブーブーやギャロップ同様一ネタ押しでまとめたものの、「オォライ」を活かして上昇して行くレールが引けなかった。それでこのkbは、観客もラストだし疲れて放出したかな。

そして驚きの533kbで一気に1位、チャンピオン大会進出を決めたしんのすけとシャンは、ヴィジュアルがラフなせいで芸も一見雑に見えがちですが、「かしこくなりました」「ママーと叫ぶヤツ」という2フレーズの配置が実にうまく計算されていた。これ、作家さんとかに頼らず本当に自分らだけで考えてるネタだとしたらタダモノではないですよ。kb数単体で見れば、ご当地出身ツッコミしんのすけの“地元票”も若干あったかもしれないにしてもね。こういう“まだメッキが禿げない”組の真価を問うチャンピオン大会というのも楽しみではありますね。

あまり触れたくもないけど8445kbオテンキ。ネタとしては到底オンエア圏には届いていません。屁だのおならだのモチーフがくだらなくて不快なだけではなく、3人いるということをほとんど活かせなかった。これを金曜深夜の国営放送で流すくらいなら、413kb10位のくじらの“誰だよそれ”固有名詞モノマネや、225kbと気持ちいいくらいの低点数最下位を飾った夙川アトムが何やらかしたかをオンエアしてほしかった。

ところで、夙川は撮られ角度によっては『夏の秘密』で龍一役好演中の内浦純一さんにかなり似ていますね。1シーンぐらい入れ替わって紀保(山田麻衣子さん)を後ろからギュッとかしていても違和感あまり無いかも。

て言うか白Tに白タオル首に巻いたハイキングウォーキング松田と、スーツの夙川で、夕顔荘庭先でアイス食べながら身上聞き出しトーク展開していても普通に視聴できるかも。一度、どっかフジテレビ系の番組でネタとしてやらないかな。もちろん夙川は途中でシャックリが止まらなくなる方向で。

オンバトプレミアムコーナーでの前回勝ち抜け組・ななめ45°は、本人たちが「自由に楽しみながら演った自信のネタ」と押すわりには、結局“ダジャレの寒さにスベって終了”という着地、以前オンエアの暴走族息子改心させネタとあまり変わりませんでしたね。でも、岡安車掌を使わず、しかも3人が3人、ちゃんと流れの中で機能するネタを作れるのはさすがと思います。チャンピオン大会に、トリオとピンは最低でも1組ずつ勝ち上がってほしいと思っていたので、東京03が卒業なら、この組の進出はまずは妥当かな。

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おーまいそぉー

2009-07-25 00:05:42 | 夜ドラマ

今季TVドラマではじけるもうひとりの“つばさ”=『任侠ヘルパー』翼彦一(ひこいち、草彅剛さん)もがんばっていますね。23日放送の第3話、被虐待の兆候のある節子お婆ちゃん(森康子さん)の押し入れにひそんだりこ(黒木メイサさん)が、孫(忍成修吾さん)の虐待現場を押さえるも、逆襲されボコられそうになったとき、バーン唐紙開けて現われた場面はヒーローみたいにカッコよかった。

それも、この場面まで、節子お婆ちゃんを気にかけるりこに、彦一は表向き同調しようとはせず、「メンドくせぇな」「手柄たてようッてんなら慎重にやれっつってんだよ」とむしろブレーキかける方向だったから一層カッコいい。

そもそもこのドラマ、任侠諸君が高齢者介護に前向き本気に取り組む場合、その動機はまるっと“幹部への登用=任侠としての成り上がりサバイバル”であって、間違っても社会貢献意識や高齢者への人間愛なんかでは(出発点としては)ない…という善悪反転と言うか、“善⇔悪間に、期せずしてバイパス開通”の図式があるから気持ちがいいんです。「ろくでもないチンピラどもが、介護を通じて心優しい真人間に更生していく」式のお話だったらクサくてカユくて、到底視聴に耐えなかったはず。

高志が祖母を虐待していただけではなく、実はヤミで覚せい剤取引もやっていたことが、りこ率いる四方木組の若頭たちに知れ、東京湾に沈められそうになったとき、女組長たるりこが乗り出し「そいつは自首させろ」と命じる場面も震えがくるほどカッコよかったですね。「極道には極道の(極道の領分を侵犯したシロウトを制裁する)やり方がある、サツの手に渡すなんて、そんな腑抜けた真似をしたら、(ただでさえ年若い女が組長ということで舐められてるのに)うちの組、ヨソの組に示しつかないすよ」と見下したように言う若頭(田中哲司さん)に「メンツなんざぁあたしが幹部になって取り返してやるよ!」と啖呵切ったときは、月河、同性だけどりこ抱きしめたくなりました。

メイサさん、硬質な面差しを無表情に閉じて、肩と言わず腰と言わず胸と言わず“ゆさゆさ”させた大股極道歩きも、“タイヨウ”職員の黄色シャツユニでもダークスーツでもとにかくカッコいいんだな。男性視聴者なら別角度からもっとたまらないんじゃないでしょうか。“ゆさゆさ”ですもん。あの黄シャツ欲しい!って声も視聴者から上がってたりして。

介護でポイント稼いで幹部へ…のモティベーションから、いつしか節子お婆ちゃんを肉親のように本気で守ってあげたい気持ちになるりこに対し、終始表向きクールに、ウザそうにあっちゃ向いてホイだった彦一が、決してまるごと知らん振りなわけではなく、雀荘入り浸りの高志をひそかにウォッチしていたりする描写も実にいいですね。それも、りこのお婆ちゃんへの思いにほだされたとか、任侠の世界では致命的な“女”というハンディキャップを努力ではね返そうとする負けん気を男として愛しく思うなど、いままで草彅さんが役柄上得意にしてきた“ヒューマン優しさ”の範疇に包含させるのではなく、「研修メンバー欠けたら、連帯責任だろうが」という身もフタもないエクスキューズを与えて甘さを殺しました。

もうね、ここまで、これでもか!これでもか!と「愛じゃないよ、優しさじゃないよ、いい人じゃないよ」とコワモテ作って念を押しまくるドラマ、愛さずにはいられないじゃありませんか。

ゲストキャラロクデモ孫役・忍成修吾さんの“世が世なら気のいいお祖母ちゃん子だったかも”と思わせる佇まいもよかった。節子さんと高志両親は折り合いが悪く、高志はその両親から勘当されて、金に困って節子お祖母ちゃんの家に転がり込んでいた身。転がり込むお祖母ちゃんも居なければ、薬物ヤミ売買以前に、それこそ彦一たちのように他人の高齢者から振り込め詐欺で金を巻き上げる立場になっていたかもしれず、虐待現場からタイヨウに連れ帰った彦一が高志の打ち明け話にいちだんと複雑な表情だったのも頷けます。

同年代イケメン俳優さんたちの中でも“キレたら怖い”“普段から微量いけしゃあしゃあ”な面構え№1の忍成さんを起用したのがヒットでしょうね。もう何年も前だけど、LIFEカードCMでのオダギリジョーさんの生意気後輩役がよかったですよね。

“決まった範囲内でしか世話してくれないヘルパーさんより、たとえ虐待されてもずっとそばにいて一緒に寝起きしてくれる家族のほうが頼りになる”というお婆ちゃんの言葉、せっかく“友達”として心を開いてくれかけたのに認知症が進行して「アンタのせいで高志がいなくなった」と突き飛ばされ、「結局家族じゃないと助けられないのか」とヘルパーの限界を痛感するりこ、そして彦一。

どんなに動機は純粋でも“制度とカネ”に縛られるということが、介護提供者として働く側からは限界(そして逃げ場)であり、介護受給者からは“だから全幅の信頼はおけない、リスペクトもできない”壁になる。これは任侠くんをからませずとも、リアルに介護現場の悩みでしょう。

本スジ以外にも、学校でいじめられ友達ができないことをシングルキャリアマザーの母(夏川結衣さん)に言えない涼太(絶賛こども店長・加藤清史郎さん)、その母=タイヨウ経営顧問の介護サービス会社辣腕社長晶(あきら)も頭痛や物忘れに悩まされて重病の気配があるし、「アニキのママってどんな人?」と喧嘩指南してやり中の舎弟涼太に尋ねられて「…忘れたな」と答えられない彦一など、次話以降掘り下げていけそうな伏線が縦横に張りめぐらされ目が離せません。

欲を言えば、いま少し“お気楽お仕事コメディ”要素が息抜きとして欲しいかも。放送開始当初、そっち方向主体のドラマと思って視聴始めた向きには“逆拍子抜け”ではないでしょうか。任侠チームの中で見た目いちばんわかりやすくヤクザらしいコワモテの二本橋(宇梶剛士さん)が、人間としてはいちばん苦労人で腰が低くてサービス業向き、という可笑しさは配置してあるものの、夜2200台の娯楽時間帯にしては、ちょっと全体にシビア寄り過ぎる気もします。月河個人的にはこの“逆肩透かし感”大好きだけど、より多くの人が視聴してくれるかどうかやや心配。

「やり出したら幹部志願より、こっちのほうが性に合って、稼業替えを真剣に考え出した」「でも子分たちの生活どうしよう」みたいなヤツが1人ぐらいいてもいいんじゃないかな。これから出るのかな。インテリ打算担当六車(夕輝壽太さん)なんか、逆に、行きそうじゃないか。“早く出世できる”が狙いなら、日本一人材不足のこの業界にしくはないぞ。

本家(なのか?)NHK『つばさ』はもっと大変。城之内エンタープライズ社長(冨士眞奈美さん)、オマエやっぱりサンデートイズだっただろう!つばさ(多部未華子さん)、ラジオぽてとを馘首されたら、速攻東京は月島に行くべし。女社長の息子がもんじゃ焼き屋をやってるから(ないない)。

…冗談はともかく翔太(小柳友さん)から、「頑張れとかあきらめるなとか、俺のために仕事をやめるとか、簡単に言うな」「つばさに励まされると重い、しばらく1人にしてくれ」発言は、出るべくして出た気が。優しく親身に構ってあげれば、誰でも、いつでも、どんな状況でも元気が出るというものではないのです。ハタチのおかんも、所詮はハタチ。一枚壁を破らないとね。

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あなたの真実は

2009-07-24 00:16:55 | 昼ドラマ

必要に迫られて買うわけではない、同類多種の中から随意に選べる趣味・嗜好系の商品って、“ネーミング”の力はやはりあなどり難いと思うのです。

自宅晩酌時ビール系を選択する際、SAPPORO生搾りが定番として定着するに至ったのは、まぁサッポロビールが地元メーカーのため営業力が強く、酒類販売店どこへ行っても他社製品より買いやすいということも大きいですが、“ナマシボリ”という名称の、音の響きのなんとも言えないB級感、催笑感が、友人を招くでもなく座持ちに気を遣うでもなく、はたまた旨い料理や酒肴に凝るでもなく“アタマ空っぽにして、普段着一丁で緊張感ゼロでくつろぐ”シーンに、非常にナイスマッチングだったんですよね。

スガシカオさんがライヴ会場で「生搾りを友達にすすめよう!」と、彼らしく“中~低体温”なエールを送るCMTVでオンエアされていた02年初夏頃からウチで定番化したのではなかったかな。

当時は自宅で棚板の移動取り付けや、季節もの寝具収納入れ替え、通販で買ったグッズの組み立て試運転などの“肉体労働”が一段落すると、おもに非高齢家族が「よっし、生搾りでも飲むかっ!」と(たとえ日の高い真っ昼間でも冗談として)口走るのがお約束になっており、それを見聞して嘲笑モードの高齢家族が、たとえば月河が出がけ珍しく気合い入れて、息を詰めて上下にマスカラ塗ったりなんかして、無事塗り終えて「ふー、塗れた」と溜め息ついたりすると後ろから「“ナマシボリでも飲むか!”かい?」と(朝の出勤時間帯にもかかわらず!)チャチャ入れる…といった地合いになっていたものです。

たとえばAsahi“クールドラフト”KIRIN“淡麗〈生〉”“円熟”の語感ではこうはいかない。“中途半端にコジャレ過ぎ”なんですな。発泡酒や新ジャンル、娯楽嗜好性はありつつも徹底的に“普段着”の消費ですから、ネーミングにもほどのよい“高級でなさ”とでも言いますか、B級感、もっと言えば“おマヌケ感”って必要だと思う。SAPPORO“生搾り”はここがフィットして、ウチでは他類似商品の猛追をかわし生き残りました。

 その代わりと言っては何ですが、生搾り“みがき麦”としてリニューアルされた07年秋ぐらいからはちょっと影が薄くなったかな。行きつけの酒類取り扱い店でも前面展開が減ったような。味自体も発泡酒ジャンル内なりの高級感志向(“高級志向”ではなくあくまで高級“感”志向)になり、それ自体は悪いことではなく、飲みものとしてはむしろ好ましいのですけれど、ネーミングにも喚起されるイメージにも、いい意味での、愛すべきB級感が薄れてしまいました。

最近、かつての“ナマシボリ”と似た地合いで内輪ウケしているのがKIRIN“コクの時間”です。これまた、同種のSUNTORY“金麦(きんむぎ)”クリアアサヒKIRINで言えばスパークリングホップなどにはない、ぶっちゃけたB級感あるネーミング。夜、深い時刻まで作業が終わらないときなんかに「んーもう、とっととコクの時間にしちゃえ!」とか面白がって言ってますね。

積極的な店頭展開ぶりを見る限り好評らしい、コクの時間の成功に気をよくして?KIRIN9月にまたまた新ジャンルの、これまた名づけも名づけたり“ホップの真実”をリリースするようです。

逆に「ウソだろ!」とツッコみたくなる、B級感を通り越して、ふざけてんじゃないかみたいな命名ではありませんか。雑誌『噂の眞相』(休刊したけど)か、『行列のできる法律相談所』での島田紳助さんのフリかというね。内容(=味)ともども、ネーミングに弱い月河家で定着なるかどうか。同社従来品に比べてホップ使用量2倍をウリに、CMキャラには昼帯タイムのSKⅡでおなじみ桃井かおりさんを起用、99日発売とのことです。夏バテしていられませんぞ。

…て言うか、当地、本当に夏、暑いの、来るのかなあ。日に日に心配になってきます。

“真実”と“ウソ”の話と言えば、『夏の秘密』は本日第39話。

視聴打ち切るか切らないか、たぶん今週が、と言うよりこの一両日がヤマと言っていいでしょう。伊織(瀬川亮さん)の亡き父と、紀保(山田麻衣子さん)の亡き母=自分の妻との関係を語る羽村社長(篠田三郎さん)の台詞の長いこと長いこと。そんだけで昼ドラ一本、凡庸なやつなら作れるよ、ってぐらいの内容を、モノクロ回想カットもほとんど無しに一気に語り尽くしてしまいました。

篠田さんが基本的に声量控えめで、淡々とクセなく語れる俳優さんだからなんとなくひととおり通聞できてしまいましたが、“高温粘っこい”タイプの人がこの役を演じていたらトゥーマッチで速攻打ち切っていたかも。結局“親の代でのすったもんだ”が現役世代ヒロインと相手役との関係に、嫉妬だ復讐だと影を落とす話か。

金谷祐子さんを脚本に据えた製作チームのこの枠作品、それだけで終始するわけではないだろうことは、05年『危険な関係』で証明済みではあるのですけれどね。この人の脚本作は「なんだそれかよ!」「早く言えや!」とストンと一度視聴意欲が落ちる、その先に真価が必ずあるのです。

篠田三郎さんと言えば、現代劇のドラマでも数々のキャリアがありますが、『鬼平犯科帳』の鬼平(中村吉右衛門さん)率いる火盗改(かとうあらため)の中間リーダー・酒井祐助役が忘れられませんね。のちに柴俊夫さん、勝野洋さんと演じ継がれて現在に至っていますが、“まじめ”“堅物”に尽きる酒井というキャラ、篠田さんはプラス“廉潔インテリゆえに繊細で、武士道や役人としての職分について悩みがち”という要素を付加しました。

細おもてで白皙、あまり“ヤットウが強い”イメージはない篠田さんですが、『ウルトラマンタロウ』でヒーローとしてデビューされているし、火盗改と言えばお頭(かしら)=鬼平自身を筆頭に、選りすぐりの使い手揃いという設定でもあります。勝野洋さんが酒井に扮した頃の放送分から鬼平ワールドに参入し、レンタルビデオで遡って“篠田版”酒井を知った月河は、「同じ原作シリーズの同じ人物を演じるのに、こういうアプローチもあったか」と驚嘆したものです。もちろんエピソードごとの演出や脚本に拠るところも大きいでしょうけれどね。

「この俳優さんが、東海制作の昼帯に来演するとは思わなかった」と思える人を、主役であれ脇であれどれだけ連れて来られるかに、あらかじめかなり勝負がかかっている最近のこの枠です。最終的な出来栄えが、「篠田さんがヒロイン父に扮しただけのことはあった」と思えるものにきっとなる筈です。なってもらわなければ困る。

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待っててくれた人

2009-07-23 01:10:37 | ニュース

日食と天変地異の連関はいまや迷信でしょうが、山口県~鳥取県の水害報道を見ると、やはり“来るものが来てしまったのかな…”の感がありますね。梅雨は明け、台風シーズンでもないのに、土石流を起こすほどの大雨とは。

自宅を失って命からがら避難した地元の方々もいるのに、一方では観測ツアーを組んで全国各地から悪石島に天文ファンが集結して、何日も前からテント村作って泊まり込み空を仰いでいるというのも奇妙な眺めです。

ちなみに月河地元でも、午前1000過ぎから、最大で3分の1ほど欠ける部分日食が観られる予定でしたが、ここ一週間ほどまともな晴天の時間が一日のうちに何分何秒あるかってくらい天気が悪いため、昨日・一昨日・その前・さらにその前…と変わらないうすらぼんやりした空が、ますますうすらぼんやりしただけの、きわめてテンション上がらん話で天体ショー終了

今日(22日)の『つばさ』は、いつも世話焼きなつばさ(多部未華子さん)が翔太(小柳友さん)の問題で落ち込んでいると知るや、通常ハタチのおかんにおんぶに抱っこの玉木家家族が、次々つばさの部屋を訪れて、それぞれのやり方で励まそうとするのがおもしろかった。

知秋(冨浦智嗣さん)はいきなり腕相撲で「強くなったでしょ、ボクだって力になれると思うよ」、千代お祖母ちゃん(吉行和子さん)は「掃除機の紙パック取り替えて、こういうことはつばさに訊かないとね」、竹雄お父さん(中村梅雀さん)はやっぱり甘玉。そして白眉は加乃子さんで「占いによるとねっ、今週のつばさのラッキーカラーはオレンジだってーホラホラ」と、本物のオレンジ筆頭に、家中のオレンジ色グッズを掻き集めて来ました。ハワイアンな髪飾りはともかく、夏服の季節に毛糸の手袋、湯たんぽらしきものも見えましたぞ。何より、この攻勢かけるのに、自分もオレンジTシャツオレンジスカーフオレンジキュロットに着替えて来るのが加乃子さんらしい。

娘の落ち込みに、親子きょうだい相談して全員で何かやるのではなく、“1人ずつ好き勝手に、まちまち”にやって来るのが玉木家らしいというか、このドラマらしいんですよね。型に嵌まったホームドラマ、ほのぼのしんみり家族コメディ的なものが滅法苦手な月河が、こよなくこの作品に心惹かれる所以。

結局斎藤社長(西城秀樹さん)が教えてくれた翔太の潜伏先=東京のビジホに、つばさは尋ねて行きますが、川越から“東京に舞台が移りましたよ”を表現する映像が、東京タワー入りの遠景とクルマびっしり往来、あとクラクションの効果音。これは昼帯と変わりませんね。『夏の秘密』では下町が舞台のシーンでは隅田川(?)下流近くの遠景、紀保(山田麻衣子さん)のアトリエに舞台が移る時は南青山の交差点。なに、観るほうが想像力の転轍機を、うまいことガッチャンできればいいのです。

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それはありません

2009-07-22 00:06:21 | 昼ドラマ

ビールらしいと言えば、先日出先で招ばれたAsahiザ・マスター。これは本当にコクがありますね。

香りや飲みくちがどうこうより、いきなり“舌触り”が濃厚。なんとなく、学生時代無理クリ勧められて初めてビールっちゅうもんを飲んだときの記憶がよみがえりました。冷たい飲み物と言えば甘みのジュース系か麦茶、さもなきゃ牛乳しか知らなかった舌に、決して「飲みやすい」とは感じられないのだけれど、妙に引っかかりがあって後を引く感じ。「オトナの階段のぼる」感触とでも言いますか。

商品サイトにもある通り、“麦芽とホップと水だけ”しか原材料に使っていないという高純度のたまものか(普通のビールだって麦芽とホップと水じゃん、と思いきや、たとえば同じAsahiで言えばスーパードライにしてもプレミアム熟撰(じゅくせん)にしても、麦芽&ホップのほかにスターチ(澱粉)やコーンや米が使われています)。

その麦芽も一部はドイツ産を使用しているそう。ま、原材料に関しては、何をどれだけ使ったことによってどんな味になるのか、シロウトには判断も論評もしかねますが、“軽快”とか“さっぱり”といった要素よりも“古典的なビールの飲みごたえ”に集中した骨太な作りは、なかなか好感が持てます。

マットゴールドの配色の中間にの環を入れた缶デザイン、AサヒBールのイニシャルをホップの実(?)に配したエンブレムも、ビール本場ドイッチュラントなエキゾティシズムがあります。

自宅で安上がりにお手軽に“セルフ乾杯”するのに、甘めで軽めな新ジャンルを飲み慣れている月河みたいな向きは、たまにはこういうゴリッとしたやつ行ってみて、ビール伝統の味を思い出す必要がありますね。

ひとつ残念だったのは、ご馳走してくれた知人が、泡がきれいに出てぬるくなりにくいという、内側が素焼きになった肉厚な陶製カップに注いでくれたので、製品色がわからなかったこと。ドイツ伝来のピルスタイプビールですから、先日のSAPPORO焙煎生とは対照的な淡色黄金色だったと思うのですが、この次はやはり透明なグラスでいってみませんと。

…さて、そのザ・マスターのCMで葉加瀬太郎さん小野リサさん松下奈緒さんらとともに『乾杯の歌』を披露しているブラザートムさんのジュニア・小柳友さん演じる『つばさ』翔太は、右足の骨折が治った途端今度は左膝靭帯断裂でつらいことになっています。宮崎ポロラティーヴォ?コロラティーノ?ロスインディオス?クールファイブ?だかの監督からも「オマエのポジション無いから」と実質戦力外通告、しかも電話一本という冷たさ。こんなときつばさ(多部未華子さん)の「もう一度一緒にがんばろう」「ワタシにできることなら何でもするから」式の励ましはきっついなぁ。

今日(21日)は地元有力財界人の役で冨士眞奈美さんも登場。年齢不詳派手ハデファッションとヘアメイクが、まんま『ハゲタカ』のサンデートイズなのね。でも社員に草むしりさせたりはなくて、おもしろくていい人そうですよ。冨士さん、収録の合い間に仲良しの吉行和子さんと、亡き岸田今日子さんの思い出話なんかされているかしら。

「イモはお好き?」のひと言に過剰反応する真瀬(宅間孝行さん)、「…あ、なんかこう、ものすごく弾力のある床ですね!」には腹抱えて笑ったな。つばさまで「ほんとだー!」って調子合わせてやんの。もうね、天下のNHKが毎度受信料使って、大の大人つかまえてどんだけバカバカしいことやってんだよっていう『つばさ』ですが、このバカバカしさがたまらなく好きなんだなぁ。『サラリーマンNEOのようなスマートな、小ジャレたバカバカしさではなく、隅から隅までダサいバカバカしさ。

…好きなドラマなのにこんなに“バカ”の2文字をリフレインさせていいのか。とりあえず真瀬頑張れ。恋愛対象になり得ない(by空気読めないのカッタマリ=加乃子)けど。「うちの玉木と“恋仲”でして」というもろ昭和おっさんなボキャブラチョイスといい、応援せずにはいられません。

『夏の秘密』は第37話、予告の段階で思ったのですがフキ(小橋めぐみさん)ちょっとズルいぞ。紀保(山田麻衣子さん)と比べると、フキが圧勝で似合うと断言できる数少ないファッションアイテム=喪服(もちろん和服)で勝負。そりゃ伊織(瀬川亮さん)もギュッてしちゃいますね。紀保には第1話のウェディングドレスがあったんだし、フキも得意衣装での見せ場がなくっちゃ。

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