イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

相棒漏ったな

2008-11-09 00:06:47 | 夜ドラマ

『相棒season73話でもうひとつ蛇足ながら。月河の相棒デビューはここのところのseason45辺りの再放送のみで、再放送は放送話数が順不同なため次回予告が流れず、気がつかなかったのですが、このドラマ、予告の作りが結構ラフと言うか、良く言えばサービス“つゆだく”、悪く言えばネタばれゆるゆるですな。

3話『沈黙のカナリア』で言えば、実行犯を爆死させた現場で松岡を押さえ自白に追い込んだあとの右京さんの詰めの一撃「復讐のための人生は、満足の行くものでしたか?」を予告で出してしまったので、公式サイトのゲスト出演メンツを参照すれば、眞島秀和さんが犯人だろうと大体わかってしまう。眞島さん・磯部勉さん・大沢健さんと並べば、“復讐”というネガティヴな動機がいちばん似合うのは眞島さんですから。

2話『還流~悪意の不在~』の予告でも、「あいつは脅迫者だったんです」という実行犯役・西岡德馬さんの声→右京さんの「あなたは法を犯した…決して許されることではありません」を鉄格子の中の瀬戸内の映像に被せたら、大体全貌が想像ついてしまう。

フーダニット(=犯人当て)が主眼のドラマではなく、そこへ至るまでの筋立てや人物描写を見てほしいんだよという、ある意味自信であり挑戦でもあるのかもしれませんが、月~金毎話30分の昼ドラの予告の上出来作における「えー?えーッ!?そんな展開アリ!?」→(翌日、本編観て)「うぁー思いっきしダマされちゃったよ!」という落差具合と比べると、“敷居の低さ広さ”“わかりやすくてなんぼのゴールデンタイム枠らしいサービス精神”をより強く感じます。

逆に考えれば、予告でこんだけゆるゆるのあっけらかーんでも、本編観てもらえば「予告でつけた見当、予測、全然浅かった、恐れ入りました」と認識新たにしてもらえるくらい締まった作りですよという、それこそプライドの表れなのかもしれない。

だとすると今話に関しては、予告の緩さからの裏切ってくれ具合・締まり具合は、100点満点で69点ぐらい。脚本徳永富彦さん、監督東伸児さんともに、次回参戦時はもっと上げてきていただきましょう。

『愛讐のロメラ』29話(7日)ではまた恭介(相葉健次さん)チーフの心臓手術シーンが。22話に続き麻酔医役で伝兵衛=有薗芳記さんが出てくれて、今度こそマスク外した顔出し見せ場がありはすまいかと目を皿の様にして見守ったのですが、考えてみれば22話では難手術のために別の大学から恭介がワンポイントで呼んだという但し説明があったっけ。

て言うかこんなに自分が有薗芳記さんを待ち望んでいることに我ながら驚きました。なんなんだ。ファンだったのか自分。“薄弱なくせに大袈裟”なストーリー展開があまりにも長話数続くので、味のある芝居やキャラ見せを期待できる俳優さんの参入にひたすらハングリー、ってだけかもしれない。

13年前は姉・恵(北原佐和子さん)に小遣いをせびってはパチンコ狂いのちんけな不良で、勝って調子に乗って少女珠希に悪戯しかけて恭介に殴られていたのに、いまや謙治(うじきつよしさん)の覚えめでたく背広ネクタイの病院事務長・仁役が有薗さんだったら、かなり視聴体温が違ってきた気がするな。一緒かな。

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相棒吸ったな

2008-11-08 00:43:29 | CM

高齢家族にデジタル放送番組表予約録画の優秀さ(野球後ズレによる延長キャッチ)を初めて思い知らせた『相棒season73話『沈黙のカナリア』。

12話が、1話で2週使った、SPの良くも悪しくも遊びの多いゆったり叙述だったせいもあり、再生一度めではえらく駆け足で詰め込んだ話という印象でした。

右京さんも亀ちゃんも、二世議員・後藤(大沢健さん)の血筋や最近のマスコミ人気ぶりに関してなど、いつになく説明台詞が饒舌だったような。さほど高テンションとも思えない場面で、これだけクチカズの多い右京さんもあまり見ない気がする。脚本・徳永富彦さんが『相棒』シリーズ初参戦なので、右京&亀の関係性、角田課長(山西惇さん)の「ヒマか?」、捜一伊丹(川原和久さん)の「トクメイガカリの亀山ァ~」などのお約束をこなすのに若干忙しかったかも。

それにしても前週、旧友の妻に悲報を伝えるつらい役目を買って出て、遠くサルウィン(地図ではバングラデシュとミャンマーの間ぐらい)まで飛んだ亀ちゃん、あっさり帰国してお土産も見当たりませんが。確かにそんなお気楽な渡航じゃなかったけどね。

炭鉱事故で父を失い、坑内禁止の煙草で事故の原因を作ったとカネで汚名を買わされ、炭住近隣のバッシングに苦しんだ母は自殺。その遺児である松岡京介(眞島秀和さん)は父議員の右腕たる秘書として会社の保安責任もみ消しに奔走していた中村(ウルザード/ブレイジェル磯部勉さん)への復讐を誓って、二世の大学の後輩だった縁で公設秘書に。自分がそうなるかもしれなかったワーキングプアたちを偽装派遣求人サイトで募り、議員会館内事務所に爆弾を持ち込ませて、仇と狙う中村殺害に成功、二世議員に容疑をかけさせるところまではうまくいったけれど、雇った実行犯に渡した事務所の平面図がずばり二世議員事務所の間取りと同じものだったことから「彼を雇った主犯は、この事務所の平面図を議員会館の標準と思っている=事務所内部に主犯」と右京さんに目星をつけられて結局逃げ切れなかった。

「復讐のための人生はあなたにとって満足のいくものでしたか?」と右京さんは松岡に問いましたが、「そのエネルギーを復讐に費やすより、政治家のブレーンとして、貧しさの痛みを知る者として活かしたら」とは言わなかった。学校から帰宅すると炭住の梁に首を吊ってこと切れていた母親に、泣きながら縋ったときの重さや冷たさを肌で味わった少年に、“復讐心よりもっと有意義な前向きな方向に生きるべきだった”とは右京さんならずともとても言えるものではないでしょう。松岡が大学まで進学し、政治サークルでかつて父の死を買わせた議員の二世と知己になるまでの資金も、実は中村が母親に「ご主人の死にざまをこれで売って下さい」と土下座して提供していた金だったはず。

「(煙草失火の汚名を着せられ坑内爆発事故の原因にされた)親父も、この男(=雇われ実行犯のワーキングプア種田)も、弱いから利用されたんです、弱い人間は生きてても死んでも同じです」「僕は(中村及び雇った実行犯種田謀殺を)後悔してませんよ、僕の人生は、復讐のためだけにありましたから」と松岡。しかし公設秘書として中村への復讐の機会を窺って5年、当の中村は思いのほか穏やかで器の大きい人物で、気がつけば中村に評価されれば誇らしく思い、中村に師事したのは復讐のためだという目的を忘れそうになる自分がいた。

復讐とは、1人の人間の一面、一時期の一行動・一言動だけをとことん見つめ、他の明るい面や温かい部分に目を瞑って憎悪を維持することであって、ある意味自分という人間の感性・他人への共感性を“少しずつ死なせて行く”過程でもある。まだ若い松岡にとって、どれだけの人生のエネルギーが復讐の名のもとに無に、負に費やされたことでしょう。だから右京さんは、疑問は呈しても詰問はしなかったのです。

そして中村は、松岡がかつて自分が死に様を買った労災坑夫の遺児であることを承知で「運命かもしれない」と秘書採用を二世議員に進言していた。知っていたなら松岡に「そうだったのか、キミとお母さんには本当に申し訳ない事をした、大学を出て立派な志高い青年に成長してくれて、こんなに嬉しい事はない」「政治の道を志してこうして同じ職場に来てくれたのも縁だ、罪滅ぼしと思って君を議員のパートナーに育ててあげたい、苦しい体験を糧に、いつか政治家を目指すならその力にもなろう」と中村のほうから打ち明け申し出てくれれば、松岡は復讐心から自由になれ、裕福に育った後藤二世どころではない、有能で人心を惹きつけ得る政治家も望めたかもしれない。

“復讐”という暗く孤独な心理、行為の重さ、裏返しの空しさ。1話でここまで鋭く描き切る脚本を見せつけられると、今日7日に29話を数えた『愛讐のロメラ』が如何に同じモチーフを物語として料理できず、コントロールできていないかがわかる。東海昼枠への愛着と期待から、何だかんだでウォッチし続けていましたが、これだけドラマ制作上の力量に歴然と差がつくと、こちらはそろそろ見切る潮時かも。

前述の通りやや駆け足ピッチなエピソードではありましたが、見せ場は惜しみなし。実行犯の足跡を追いネットカフェに到達した右京さんがティーバッグを上下させる場面は、軽いお宝映像でしょう。あれだけ紅茶にはこだわる右京さんが何ゆえティーバッグ?と思ったら、レーザープリンタのにじみ実験のためだった。それなら色の付かない別のドリンクのほうがいいのに、やっぱり、あれば紅茶頼んじゃうのが右京さん。

実行犯種田がネカフェにUSBメモリー残して行ったとわかれば、即端末につないで読み出しできるのはやっぱり捜一トリオではヤング芹沢くん(山中崇史さん)だけだったり。イタミンの亀ちゃんいたぶりフレーズの中でも「このスッポン山~!」はおニューではないかな。亀と言えばスッポンもありだけど、“吸いついたら離れない”ってちょっとリスペクトも入ってたような。

政策秘書中村に対し、公設秘書松岡が仕掛けた爆殺事件と知れれば、後藤二世の政治生命も風前の灯でしょう。政界入り前は大麻取引の交友があり、中村による論文原稿代筆なくしてははなからワープアへの共感や使命感も持たない、ただの頭空っぽアホぼん二世とバレた後藤。ここらの先行きを暗示して明示はせず終わるのも、アイロニカルでビターなCrime doesn’t pay.の後味をこそ得意とする『相棒』シリーズの魅力です。

いつも瞠目なゲスト俳優さんの中では、東海昼ドラ『紅の紋章』『花衣夢衣』も記憶に新しい眞島さんのほかにも、現放送中『ロメラ』に併行してまたも愛児を遺し自殺する役の立原麻衣さん。

ネットで雇われた実行犯その2・高本には大人計画の顔田顔彦さん、『仮面ライダー剣(ブレイド)』で竹財輝之助さんをどやしつけていた(劇場版『剣』では倍返しされていた)編集長。Season4の『殺人ヒーター』だったか村杉蝉之介さん、近藤公園さんも重要な役で出演していたし、大人計画との相性はいいですね『相棒』。

二世議員役大沢さんは、もう10年以上前になりますか、第一生命のCM“新鮮組”で、パロディ沖田総司に扮していましたな。「あの若者ひとりに寄ってたかって、多勢に無勢ではないか!」とサッカーのゴール前に突撃するヴァージョンは笑ったな。発足したばかりのJリーグがまだブームの頃でした。

欲を言えばエピソードタイトル『沈黙のカナリア』が若干こなれが悪かったか。所謂炭坑カナリア、“強者の利のため犠牲にされる弱者”の象徴でしょうが、ラストに右京さんの説明だけで引き合いに出され、なんだか取って付けた様。どこかで本物のカナリアがモチーフに出ていれば、比喩としてきれいだったのですが。

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相棒合ったな

2008-11-07 00:04:14 | 健康・病気

高齢家族から「『相棒』5日放送)を録画予約したのに、プロ野球日本シリーズで後倒しになって録画し損ねた」とブーブー言われたのですが、デジタル対応HDDレコーダーはすごいですね。ちゃんと後倒しスタート時間から録画しておいてくれました。“延長 入”でセットしておかないとダメみたいですが。デジタルの力を再認識。

今日は、現行の職場からインフルエンザ予防接種を義務づけられて、午後から直近の耳鼻咽喉科クリニックに出向いて注射されて来ました。昨年までは自費・自己責任だったんですが、今年は会社も若干のリスク負担。全員インフルエンザで倒れられたら業務ストップしちゃいますもんね。

昨年は赤く腫れるわ熱を持つわ、痒くなるわで結構えらいことになりました。今回はいまのところ何事もなし。

<接種を受けたあとの注意>:接種当日は接種部位を清潔に保ち、いつも通りの生活をしましょう。ただし、はげしい運動や大量の飲酒は避けましょう。

……大量の飲酒はダメなのか。だったら少量~中量はいいわけなのだ。よしっ、行くぞと。

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またまたひかりを

2008-11-06 00:24:06 | デジタル・インターネット

今朝がたいきなり「ピー」というFAX受信音で目覚めさせられました。眠い目をこすりこすり着信トレイを見たら、何も来てない。

15分ぐらい経ってまた「ピー」。もう放っといてまた寝ようと思ったら、20分後くらいに三度めの「ピー」。

家族の誰かひとりでも就眠中には着信時呼び出しベルは切にしてあるので、そのため着信がうまくいかないのか?(そんなわきゃない。そもそも着信エラーの場合受信音自体鳴らないし)とも思ったのですが、呼び出し音を復活させても、依然、着信も受信も関係なく15分から30分に一度「ピー」。

ウチのFAXはコードレス電話機+子機と接続しているため、「ピー」が電話機から来ている可能性もあるな…と思い、思い切ってコンセント抜いて、ルーターから来ている回線も外してみました。すると果たせるかな1時間、2時間、「ピー」は来ない。やはり原因はFAX

ここ2ヶ月ほど、留守電録音ができなくなるなど不調が目立ってきたFAX、何年製か思い出せないけどそろそろ寿命か?買い換えやむなしか?しかしFAXだけ買い換えて、買い換えた途端今度は接続しているコードレス電話機が寿命来たりする公算が大ではあるまいか?といろいろ思い悩んで、説明書を探し出し、ダメもとでメーカーのサービスセンターにかけてみました。

地元直近のサービス窓口は電話番号が変わったか閉鎖したらしくつながらないのでフリーダイヤルのほうへ。こちらは速攻つながりました。

説明書通りの型番を告げたところ、担当の女性によれば、「光回線をお使いの場合、回線を使った信号が、FAXにより受信として感知されて、受信音を発する場合があります」…ムダに敏感なんだ。

「ピー音が鳴るとき、FAX受信時のような光は出ていませんか?」「さあ…鳴るのは一瞬なので、鳴ったなと思って、行って見ると何も出てない状態ですけど。いつ鳴るかわからないので、鳴るまでずっと見つめていることもできないですし」「わかりました」…わかっていただけましたか。

いったん電話を切り、コンセントはつないで、回線は外した状態にして、例のモノが出動。天下の携帯電話サマです。

携帯に担当女性からかけ直してもらい、FAXのディスプレイにメンテナンス画面を出して“設定のやり換え”操作のレクチャー。固定電話機・FAXがこういう事態になったときのために、どうしても一家に一台、“回線から自由”な、携帯電話というものが必要なわけです。

機能キーその他を言われるままに押して、設定レポート出力して、ものの1分もしないで終了。「これで様子を見て、まだ受信音が出るようなら、またこちらのフリーダイヤルにお電話ください」とのこと。

それから約半日が経過しましたが、鳴ったのか鳴らなかったのか。帰宅してから「どうだった?」と高齢家族に訊いても、耳がアレなので雲を掴むよう。本当の着信ベルなら彼らにもさすがに聞こえるのですが、FAX受信時、送信完了時共通のピー音って、高齢者にとっては“耳鳴り”に非常に近い波長らしく、電子炊飯ジャーの炊き上がり音、予約設定音同様、「不快な空耳」として“聞こえなかったことにする”という心理的処理をされやすい音のようです。

結局、次にまる一日在宅できる日が来なければ、設定やり換えの効果は検証できそうにありません。まだ薄暗い明け方に、またまた「ピー」なんて鳴られたら、ぜんぶコンセントひっこ抜いてやりたくなりそう。

最近TVでもラジオでもさかんにCM打っている“ひかり電話”ですが、細かい、意味のわからない不調、いや不調なのかそうでないのかさえ判然としない現象が結構多い。その都度、電話機・FAX・ルーター、どこに問題があるのか突き止めて、どこに相談問い合わせすればいいのか悩まなきゃならない。便利なこと、おトクなこと、楽しいことばかりではないです。

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どこまでも限りなく

2008-11-04 19:54:30 | ニュース

途中何回か休憩挟ませてもらいましたが、昨夜(113日)2500までNHKFM『今日は一日ジュリー三昧』を完走。最後の曲『ロックンロール・マーチ』。ふぅー。聴くほうもよく聴いたけど、ゲストなしのひとり喋りで1315から12時間弱、還暦・沢田研二さんお疲れさまでした。

「ファンの人に“お疲れさま”言われるのイヤなんですよねー」「“ご苦労様”もイヤだなぁ」と番組中何度か言っていた沢田さん、やっぱりスターは“苦労している”“いっぱいいっぱい”の匂いを嗅がれるのを潔しとしないんでしょうね。こういう、聴きようによっては「ファンに失礼」と取られかねない、美意識ゆえの我がままさんを放送中にポロッと言ってしまうのは昔ながらの沢田さんですが、言い方、表現のしかたが本当に丸く、柔らかくなりました。

昭和40年代初頭から最前線に立ち、歩き、走ってきた沢田さん、音楽業界、邦楽シーンの状況も大きく変わって、レコード・CDが売れない売れないと言われて久しい2008年になっても、依然「歌手・沢田研二を盛り上げよう」という熱意も才気もある大勢のスタッフ、仲間に恵まれている。若くて、ブイブイ言わせてた頃の沢田さんは“やんちゃ”“強腰”のイメージがありましたが、もう人徳でしょうね。京都発のタイガース、“全国制覇目指して上京”を視野に入れたとき、別のグループのメンバーだった沢田さんの加入が、どうしても必要だった。歌唱力だ美声だ美少年(当時)だを超えて、要するに何かを“持っている”人。

タイガース全盛期に小学生坊主だった月河はあまり熱いジュリーウォッチャーではないのですが、“持っている人”として40有余年を生きている男のトークは本当におもしろく、時代の証言としても噛み応えがありました。NHKしか映らない地域に住んでいた哀しさでタイガースとしてのヒット曲の大半はTVで聴くことができなかったのですが、いま改めて聴くとデビュー曲『僕のマリー』のもろビートルズ『Michelle』なイントロなんかは「やってくれるわ」と痛快ですらある。沢田研二さんという歌声を得て、当時の作曲家、音楽製作者たちは本当に勇気百倍、奮い立ったことでしょう。

小学生月河の、お姉さん世代の人たちで昭和40年代前半当時、タイガースか“ジュリー単体”か、どっちかのファンでない人を探すのが難しいくらいの勢いだったのに、タイガース時代~PYG時代を通じて「(ギターなど)楽器がうまく弾けない、歌もヘタ」とコンプレックスを抱き続け、不安ばかりだったというのが意外でした。幼児的万能感と、虚勢にくるんだ劣等感。10代で時代の寵児になった人って、多かれ少なかれそういうものかもしれない。

タイガース時代の後半、「給料ギャラの(事務所からの)相談が、メンバー1人ずつ別々に呼ばれるようになり、最後に“他のメンバーには絶対(金額等の話を)言わないように”とクギさされるようになって、あー他のメンバーより僕がようけ貰ってんちゃうかなあ…と気がついたとき、本当にコレ申し訳ないなあ、これでええんかなぁと思った」とも。

オリジナル曲『Long goodby』とともに、タイガース解散以来再会がかなわずにいる元メンバー・瞳みのるさんへの思いを語るくだりもありましたが、やはり“持っている人”がいずれ直面せざるを得ないジレンマでしょうかね。“持っている人”より“持たざる人”のほうが、世の中には圧倒的に多いのです。瞳さんにとっては、同じ“音楽体温”で走り始め、同じ釜のメシを食い苦労も喜怒哀楽もともにしてきても、“実入りの多いヤツと多くない自分”がいる…という現実が厳しく立ちはだかったはず。

「音楽で身を立てようと思って、一度日の目を見たら、(グループ)解散しても、“その中”に居続けたいと思うもの」「学校に戻って勉強し直してまったく別の人生を歩もうとはなかなか考えない」と沢田さんは番組内で“だから、そのなかなかできないことをやり遂げたピーは偉い”というニュアンスをこめて言っておられましたが、ずっと“中”に居るべき人と、そうでない人との間に距離が広がってしまうのは仕方がない。大学を卒業し文学博士、教員となられ斯界で活躍中の瞳さんの消息は知られているだけに、“中”の沢田さんとしては心残りでしょうが、ここは自分の意志で“中”に居ることをやめた瞳さんの気持ちを優先してあげるべきでしょう。

123日の東京ドームライブ『人間60年 ジュリー祭り』まで酒も断っているという沢田さん、「当日アンコールがかかったら、その前には飲ましていただきます」とも番組中宣言。「お疲れさま」がお気に召さないなら「その根性、いや~乙(おつ)だね」と申し上げておきます。

それにしても『勝手にしやがれ』英語ヴァージョンは録音して耳コピしてどっかのカラオケでネタに歌いたかったな。壁塗りアクションも英語歌なら別クチのウケをとったんじゃないかな。残念(ってウケる前提で言ってますが)。オンエアのタイミングがあんまり唐突だったんで、沢田さん本人もビックリだったみたいです。

…で、こんな余韻を引きずって今朝、ふぁあ~と起きたら、小室哲哉さん詐欺容疑任意聴取のニュースで二度めの、今度は妙な後味のビックリ。

『富豪刑事』の美和子サマじゃありませんが、「たった5億円ぽっち」と思ってしまう。9598年頃のヒットチャート席捲具合を思い起こせば、前金のみで5億円、ヘタしたら10億円だってハシタガネでしょうよ。806曲だかの著作権まるごとハウマッチで「10億円」と持ちかけられて、鵜呑みにのんでしまう会社社長の金銭感覚も、シロウト目にもどうなのかなと。なんか騙すほうも騙されるほうも、日本全土全般に麻痺してますな金銭感覚。

うちの高齢家族女性軍、及びお友達軍は、「やっぱり前の奥さんの慰謝料10億円が痛かったんだよネー」とクチを揃えていましたね。アメリカだイギリスだバリ島だ、ヴァニティな音楽スタジオ云々は、高齢の彼女たちよくわかってませんが、「子供産んだら、女は折れないし妥協しないからね」とそこだけは実感をこめて強調してましたね。

「あのコ、誰だっけ、トモちゃん(華原朋美さん)?も、1人産んどけばソンしなかったのにね」とも。

帰宅して任意同行時の映像を見たら、49歳小室プロデューサー、車に乗り込む服装がまるっきり“90年代前半の20代”のままで、要するに“世俗の部分が成長しなかった”かわいそうな大人だったのだ。「ここにアナタのために作ったオリジナルCDがありますから」って、女の子ナンパスカウトするのと手口一緒じゃんよ。

億単位の詐欺となると実刑は免れないらしい。これで歌手ならば、作詞作曲家やプロデューサーが「あの才能がもったいない」「がんばれ」と曲を提供してくれて、服役後再起という目もあるかもしれませんが、小室さんは自分が作曲家でプロデューサーだからなぁ。刑事被告人・受刑者の曲を「ワタシが歌って、演奏して、ヒットさせてあげる」という奇特なヴォーカリスト、ミュージシャンがいるかどうか。

一時代を築いた天才たちについて、いろいろ考えさせられた足かけ二日でした。

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