イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

スイートとラブリー

2008-11-11 23:43:21 | 特撮・ヒーロー

『炎神戦隊ゴーオンジャー』、以前にもここで触れましたが例年の東映戦隊と違う点のひとつに“大人の、味方の、人間キャラ”が存在しないということがあります。

 戦隊メンバーの“上司”、“後方支援”あるいは“師匠”“参謀”、“パトロナージュ”などの役割を担当する、『ハリケンジャー』のハムスター館長(人間体西田健さん)とおぼろさん(高田聖子さん)、『アバレンジャー』のスケさん(奥村公延さん)、『デカレンジャー』のスワンさん(石野真子さん)…など。凸凹あっても若く成長途上の戦隊メンバーに対し、“人生の先輩”“親代わり”のポジションに立つ、ベテラン芸達者俳優さんの扮するキャラが、たいてい1作にひとりは居たものです。

 05『マジレンジャー』でその位置に該当すると思われたマジマザー=小津深雪さん(渡辺梓さん)が2話で倒され生死不明になってしまい、以後未熟な5兄弟が小津家の秘密を知るマンドラ坊やのガイダンスだけを頼りに戦わなければならない構図ができたときには、戦隊ビギナーの月河も思わずハラハラしてしまったものですが、中盤でヒカル先生という“頼りないところもあるけど、知的で志高く愛に溢れた指導者キャラ”が加わり、最終的に敵側に囚われていた父=ウルザード(磯部勉さん)も帰還、マジマザー深雪さんの奪還にも成功。ヒカル先生も麗と結婚して小津家の一員となり、“家族が欠ける”ことから始まった物語が、“消えた家族が帰って来て、最終的に家族が増えて”終了するという流れ、家族ドラマ、子だくさんドラマの類いが苦手な月河も「やってくれました」と敬服せざるを得ない物語になっていました。

今年の『ゴーオン』は、“親代わり大人キャラ”を置かず、水先案内ロボ=ボンパーことボンちゃんだけが戦いのガイド兼サポーター・メカニック役でスタート。たぶん、走輔レッドとスピードル、連ブルーとバスオン、早輝イエローとベアールV…という、上下関係ではない“バディ”ものの図式を構築したかったのでしょう。100%成功しているとは言いにくいかもしれませんが、“参戦歴では先輩”のゴーオンウイングス、教官炎神ジャン‐ボエールを投入、若いメンバーが大人の統率や叱咤激励を必要とせずに回って行ける構図をきっちり作れたことは立派だと思います。

敵組織のガイアークが、いまだ仲よくケンカしている“大臣”止まり(嗚呼ヨゴシュタイン様)で、“君主”に相当する圧倒的な大人の悪をかついで来ないこともいいバランスのもと。

もうひとつ『ゴーオン』の特徴、“ガールズ話”が例年より多いような気がするのですが気のせいかな。9日放送のGP38も実質、イエロー早輝(逢沢りなさん)&シルバー美羽(杉本有美さん)、プラス、ベアールV inゴローダーGTの“変則G3プリンセス”フィーチャー回でした。

いままで見た複数女性戦士のコンビネーションで、いちばん物語的にもうまくいき、キャラも活きて「女の子2人居る意味があった」と思えるのは『デカレン』のツインカム・エンジェル、ジャスミンとウメコですかね。2人、まったく違う性格なんだけど、違うことが戦闘で協調する際の妨げにまったくならず、違いを出して行けば行くほど話に味が出て、しかも両方とも可愛い。

ゴーオンの早輝&美羽は、彼女たちに比べるとちょっと“かぶり気味”なのが気になるふしはあります。どちらも明るくポジティヴで楽天家、若干天然風味。スイーツ大好きでよく髪のセットを気にしている早輝ちゃんのほうがより普通っぽく、ギンジロー号とは行動をともにせず閑静な豪邸でフラワーアレンジメントをたしなみつつ兄・大翔(ひろと)と暮らす美羽ちゃんは超人的な第六感を持つなど微量“選ばれたる者”の自覚もありそげ。「片方要らないのでは」と思うことはさすがにありませんが、もう少しキャラの違いが鮮明になり、違う波長を出して異色なハーモニーを奏でる場面があってもいいような気はします。

男子メンバーがシャワー蛮機の酸性雨で固まってしまったGP38普通っぽいがゆえに戦士としてはやや危なっかしい早輝のほうが挫けず、プロフェショナル度が上と思われた美羽のほうがへこんでいるという展開はいいとこついていたけれど、「早く元に戻ってほしい」心配の対象が、早輝は“みんな(=赤~黒)”、美羽は“アニ”と一方向なのはややいただけなかった。特に、早輝のペーパードライバー運転に美羽が「まっすぐ走ってよー!アニが倒れちゃう!」と悲鳴をあげる場面は、軽く美羽ちゃんが嫌いになった人もいたのではないでしょうか。早輝にしてみれば序盤から一緒に行動し戦っている仲間が、美羽には血のつながった兄がいちばん心配なのは当然でしょうが、全員変身復帰したあとまで美羽は「アニ…」、早輝は「みんな…」と安堵の視線が交差していたのはどうなのかな。女の子戦士を、ちょっとお子ちゃまに描き過ぎ。“ガールズ話”でこそできるひねりがもうひとつあってもよかった。

そんなことより、この日は日曜朝のお茶の間、「オトコだけがカタくなるって、意味深過ぎじゃないか」と苦笑いのお父さんが多かったかもしれませんね。「オンナはヌレるだけ、ってか?がはは」「アナタっ!」なんてお母さんが目吊り上げたりして。「パパとママは何言ってるんだろ」って小さなお友達だけが首をかしげていたかも。大人になればわかるのよ。

東映戦隊における、女性型敵怪人の例にもれずシャワー蛮機も目つきからして色っぽく邪悪にコケティッシュ。たぶん、女性型だとデザイナーさんもチカラの入りが違うんでしょう。バストトップが水の青栓とお湯の赤栓って、完全に楽しんで作ってる感じ。「シャワーシーンの怖い映画と言えば『サイコ』」を挙げる辺りかなり年上のお姉さんですぞ。

ベアールVが入ったゴローダーのアクションも、“ベアちゃんが人型ロボだったらしそうな動き”そのまんまで、スーツアクターさんが相当頑張りましたな。ゴーオンイエロー、シルバーとのコンビネーションは『アタック№1』の寺堂院高校八木沢3姉妹のようでした(なんぼなんでも喩えが古)。

しっかし、シャワー蛮機の産みの母・害水大臣ケガレシア様が「調合間違えた?おかしいで汚じゃるな…エイ!」ってぶっかけた酸性雨原液のおかげで、キタネイダス様までカタくなるとはねぇ。武闘派の故・ヨゴシュタイン様に比べると、策士っぽくてあんまり逞しい感じではなかったキタ様も、やっぱりオトコだったのだ。なんかドキドキ。そう言えば先週のGP37でもキタ様製作のエンジン蛮機はデコトラそのものだったし、ハートはヤンキーなのかキタ様。

コメント
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