イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

青インクで恋文

2009-06-29 23:02:15 | CM

先週KIRIN“コクの時間”を試飲した話を書いたとき、TVCMにウッチーこと内田恭子さんとは、人選がちょっと微妙では…と触れました。

あの時点では、自宅の21インチのアナログTVでしか当該CM、見てなかったんですが、先日、出先の推定46インチフルハイビジョン液晶TVで偶然見たら、微妙どころじゃなかった。人選っちゅうか、演出間違ってるだろう。ナニユエあんなに化粧が濃いんだ。

濃くの時間”というシャレか(盛大倒爆)。

内田さん、若干顔が長めのため、新人アナ時代からやや実年齢より上に見えて好悪が分かれる惜しさはありましたが、普通にじゅうぶん美人さんなのにもったいない。

ビールに何が似合わないって、厚化粧の女ぐらい似合わないものはありません。仕事流れで何人かとお店で飲むときも、ちょっとコテコテ系の、みのもんたさんが“オジョウさん”と呼びそうな年代のママさんがカウンターで注いでくれる類いのお店入っちゃったら、勧められてもビールは飲みません。焼酎の泡の出ないもの割りか何かにします。

あれかな、素肌“地”の部分はそんなにコテ塗りじゃないのに、あの壮大な極太アイラインと、ミクロなオブジェのように立体感ありありのマスカラが醸し出す厚化粧感なのかな。「♪ぱんぱかぱーん」とか、ヒダヒダの透け物ミニスカでジャンプとか、「まいりました。」とか演出イメージ全体に内田さんの“任”とは違う気がします。

この商品で、タレント女子アナを起用という縛りがあるなら、現役になるけどNHKの神田愛花アナなんかいいと思うなぁ。ここで「要らない」ってさんざん駄目出させてもらった「今週のオンエアー!」(@『爆笑オンエアバトル』)のコーナーでやってた萌えメガネ顔に白シャツブラウスの女教師ルックとかも、ビール系飲料に合うと思いますよ。文字通りすごい“天然”感がある。

フジテレビ出身なら、だいぶ先輩になるけど西山喜久恵さんも好きだったな。最近見かけませんがまだ現役かしら。ちょっと腹黒そうだけど“なっちゃん”小島奈津子さんとか。やはり化粧は濃いめな気もしますが、なっちゃんの場合「化粧濃いね」と正々堂々ネタにできそうなキャラなんだな。

………それにしても、年齢が上すぎますかね。自主却下。

とにかく夏のビールシーズンだからって、なんでも、誰でも、青空の下、露出多い服で走ったりクルクルしたりさせればいいってもんじゃない。広告代理店さん、顔洗ってビール飲んで出直し。

『夏の秘密』は第5週、21話へ。柏木さん(坂田聡さん)の振幅が大きくなってきました。いまや謎の引きこもり博士じゃなく、ちゃかちゃか顔出しまくりで普通に挙動不審の小心者と化してますな。容疑者龍一(内浦純一さん)の初公判が近づき、みのり殺害現場を再訪した刑事たちにわかりやすくビクついている様子からいって、プロの覆面潜入捜査官のセンは消えたようです。

「あの男(=伊織)には気をつけたほうがいい」「あなたのことが心配で」と、味方する素振りも見せていた紀保(山田麻衣子さん)が、刑事たちから「羽村紀保さんですね」と話しかけられるのを見かけたときの反応が半端なかったので、いっそ事件に自身が思いっきり関わっていて、その自己防衛のために警戒してドタドタ逃げたり嗅ぎ回ったりしてたのかも。

「捕まった犯人、やはり罰を受けるんでしょうか?」は地味に爆笑しましたね。罰を受けるから犯人っつうんだっての。博士号とか研究の真偽はともかく、おっそろしく世間常識無いことだけは本当らしい。

このドラマ、“謎”は多くて、真相は何か?いつ明らかになるのか?の引きは強いのですけれど、ドキドキはらはら綱渡りの“サスペンス”は思いのほか少ないのです。紀保が“前職カーテン縫製業、上司と不倫して失業中の諏訪杏子”ではなく、“吉川みのり殺害事件容疑者の婚約者で、彼氏の無罪証明のため現場に潜入した羽村紀保”であることは、伊織(瀬川亮さん)にあらかじめ知られていただけでなく、みのりの行動解明の過程で加賀医師(五代高之さん)にも蔦子姐さん(姿晴香さん)にもあっさり自己カミングアウト、部分的にせよ味方についてもらえました。

紀保に恩を売ってアトリエ専属モデルにしてもらった代償に、杏子(松田沙紀さん)の羽村社長(篠田三郎さん)との結託をスパイしていたセリ(田野アサミさん)も、21話で赤子の手を捻るように杏子にバレ、「紀保さんが早くアトリエに戻ってくるように、私に手を貸さない?」とまるめ込まれてしまいました。

バレるか、バレないか、あぁバレるバレる…よしうまくいった!ホッ…と思ったら次の危機!という、サスペンス王道の引きはあまりありません。バレる/バレない、うまくいく/いかないで引っ張りそうに思えたポイントは、結構早めに片がついています。これはドラマ全体のためには良いことなんだか残念なんだか。

目下のいちばんの拮抗戦線は、実は相愛のフィアンセ同士なはずの紀保と龍一です。

“ボランティアのハシダタモツと名乗る男は、殺された吉川みのりの恋人だった男で、しかも紀保はそれを承知”と、杏子に告げられた龍一。「怖い顔で近づいてくれば誰でも警戒するけど、本当に怖いのは笑顔で、善人そうに言葉巧みに近づいて来る悪意」「ボクはいま囚われの身だけれど、キミを目に見えない悪意から守りたい」と暗に“伊織は疑ってかかれ”と拘置所のガラス越しに紀保に強調しますが、すでに「違うわ、彼は…」と、最愛の婚約者に抗ってでも伊織のための弁明をしたい気持ちになっている紀保。

しかも夕顔荘に帰って伊織と顔を合わせるや、「善意の顔で近づいてくる悪意には気をつけろと龍一さんに言われたわ、あなたが被害者の恋人と気がついて疑ってるんじゃないかしら」と速攻打ち明け相談、完全に“龍一を仮想敵に、伊織と示し合わせている”構図になっている。

客観的に見れば、紀保は逮捕前から、遡れば高校時代から家庭教師として勉強を見てくれた信頼できる龍一、拘留の身で外から断片でもたらされる情報に内心気が気でないにもかかわらず、懸命に精神の平衡を保ち正しい判断をくだそうとしている知的な婚約者のほうにこそ全幅の信頼を置き従うべきなのに、昨日今日偶然行動をともにすることになった、素性も知れなければどこまで本音を言ってるかも定かでない伊織のほうに軸足を傾けかけているわけです。

本当に、冷静に醒めた目で見れば、紀保がなぜ長く交際してきた龍一の真摯な諌めに従って、得体の知れない伊織を遠ざけ、公判傍聴も避けないのかわからないのだけれど、ここまでの物語が紀保視点で進んでいるために、観ているほうも70パーセントぐらい“伊織に気を許し、信をおいても当然”みたいな気持ちになっているから不思議。「龍一さんに、私たちが何をしようとしているか、何もかも話したほうがいいかしら」と紀保が問えば、「よしたほうがいい、話したところで俺への疑いが消えるわけじゃない、余計心配するだけだ」と伊織ははねつける。“この人、怪しい”“用心しなければ”と思うべきなのは火を見るより明らかなのだけれど、どっちを取るかの局面で伊織を信じるほうを取る紀保の気持ちも非常によくわかる。

何度もここで引き合いに出してきたダフネ・デュ=モーリアの『レイチェル』に、このドラマも結構がよく似ています。惹かれるべきでない、信じるべきでない人にどんどん惹かれ、味方だった人をいつのまにか仮想敵に回していく主人公。信頼できるはずだった人の、地に足のついた真っ当な諌言にも、実は純粋な善意と良識だけでなく“嫉妬”“私欲”が混じっていたりするから、ことはかなり厄介です。

“誰を信じていいのかわからない”“わからないということの厄介さに、本人も気がついていない”……追いつ追われつの綱渡りとはちょっと違った、これがこのドラマのいちばんのサスペンスどころかもしれません。

コメント
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