イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

丸い刃(やいば)はなお痛い

2008-06-16 20:37:04 | テレビ番組

8日の秋葉原無差別殺傷事件の影響で、凶行に使用されたダガーナイフの販売を規制、もしくは自粛する動きが広がりつつありますね。

目的のために特化し、洗練され、研ぎ澄まされた鋭利な刃物というのは機能的で無駄を削いだ独特の美しさがあり、美術と実用の両世界を跨いで架けられた精巧な橋のような魅力があるのですが、犯罪に使われるリスクは減らすに越したことはないので、基本的には“販売・購買に要する手続きを厳しくする”方向は間違っていないと思います。

しかし、昨日の朝だったかのTV報道バラエティ番組で、某有名俳優兼キャスター氏が「普通の人の普通の生活に必要ない物なんだから、売らないようにするのは当たり前」「こんな危険な物がいままで売られていたことのほうが不思議」と何度も強調しておられたのにはあきれました。

“普通の生活に必要ない物は売るな”って言うんなら、アンタのやってるその番組こそ必要ないだろうに。

て言うか、その番組を製作して放送してるTV局自体必要なくないか。似たようなモノが汐留にも、お台場にも、赤坂にも、そこらじゅうにあるんですけど。どこか違いがあるとでも言うのか。

モノは、“普通の人の普通の生活”なるものと縁が薄いモノ、必要がないモノであればあるほど美しいし、市場で売られ買われるに足る価値も発生する。

発言されたご本人も、ご自身の“本業”たる(違うか?)お芝居や映画が、“普通の人の普通の生活に、斯様に必要欠くべからざるものである”とまずは立証してから、もう一度上記の発言をしていただきたいですね。

殺伐たる日常の“普通”を耐えて生きる“普通の人”こそが、“必要のないモノ”の美で癒される。犯罪を未然に防ぐ、減らすことも大切ですが、犯罪につながる可能性のあるモノを排除したり圧殺したりする理由に「必要でないから」とは、ずいぶん無粋な、オトナげない物言い、物の考え方が公共の電波においてまでまかり通る世の中になったものです。

そんなことより、今週末深刻だったのは土曜の朝食時の東北地方の地震でした。山形県と聞くと藤沢周平さんの一連の小説の“海坂(うなさか)藩”を、岩手県と聞くとなぜか3月の『爆笑オンエアバトル』チャンピオンファイナルでの三拍子・高倉のモノマネ「リアス式海岸!」を思い出します。

宮沢賢治の足跡をたずねて花巻を、奥州藤原氏の夢のあとを求めて一関・平泉近辺をたずねたのはもう20年以上前。報道を聞いて当時携行したトラベルマップを引っ張り出して見ましたが、当時とは自治体名・駅名も変わって記憶の中の乗り継ぎ経路も、風景もさだかでなくなっている。

東北の脊梁山脈に温泉地が豊富なことは知っていたけれども、そのことの対価のようにあれほど地盤柔弱な凝灰岩質の山地だったとは。山崩れで山林に覆われていた斜面がまる裸となって初めて思い知らされた格好です。せめて晴天が続いて救助活動・復旧作業が少しでも進捗しますように。返す返すも天災、なかんずく地震は怖いです。

コメント
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