山形の過去、現在、未来

写真入りで山形の歴史、建物、風景を紹介し、併せて社会への提言も行う

色気のない景観どころでなくなるかも・・・

2012-10-08 11:42:06 | 街づくり

 一見のどかな田園風景。
 でも、ここのすぐそばには山形新幹線も通るし、国道も通り、やがて東北中央高速道路との接続も見込まれるから、今でもかなりの交通騒音が鳴り響いている。
 そして、ここは413年の昔、関ヶ原の戦いに連動して北上しようとした上杉軍と最上軍が激突した古戦場のすぐそばであり、史跡としての雰囲気もある。

 その歴史的背景と関係があるのかどうか、この田園地帯のすぐ南側の道路沿線に戦国武将たちが掲げるような幟端が立ち並び、何かを訴えている。
 ようく見たら、「清掃工場建設反対」と記されている。
 つまり、このすぐ近く、というよりは、この田園ゾーンがそのまま新しい清掃工場の候補地となっているということである。
 一見しただけでは広々とした空間だが、もし本当に清掃工場がここに建設されるなら、山形市・上山市・中山町・山辺町の2市2町で構成されている「広域環境事務組合」が建設するのだから、かなり巨大な清掃工場となる。
 建設反対派の主張の主なものには「大気汚染に伴う農産物に対する風評被害」と「景観破壊」の二つがある。
 だが、前者に対しては設置側は「安全は科学技術的に完全に保証されている」と盛んにPRしており、それゆえ「大気汚染を心配する必要はない」としているから、地域住民はこれを「信じるか信じないか」で態度を決めることになろう。
 一方の「景観破壊」については確実性はきわめて高く、このことは誰しも否定し難いのだが、近年の日本人と山形人は景観についてはきわめて鈍感である。
 つまり景観など破壊されても「生活の安全」にはほとんど関わりないとする感覚である。
 しかし、ここの景観は単なる「のどかな田園風景」「古戦場の近くという雰囲気」だけにとどまるだけでなく、いわば第一級的歴史的遺産が存在しており、もし、ここに巨大な清掃工場が本当に建設されたら、この歴史的遺産の高い価値が大幅に削がれ、山形県・上山市にとって大きな損失になることは確実なのである。
 その「第一級的歴史的遺産」とは何か、次回の記事で紹介しよう。

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