山形の過去、現在、未来

写真入りで山形の歴史、建物、風景を紹介し、併せて社会への提言も行う

山形にもあった“どんど晴れ”老舗旅館

2007-05-07 22:41:07 | 郷土史
 山形市の中心街に位置する旅籠町には現在一軒の旅籠屋(旅館)もない。
 だが、かつては文字通り旅籠屋が軒を連ねていた。
 中でも「後藤又兵衛」という豪傑と同じ名の旅館は明治の政治家陸奥宗光や山県有朋、森鴎外などの歴史上の人物も泊まった名門旅館であったが、ホテルの進出に押されて廃業、そして建物は解体、土地も今では銀行の駐車場(無人ATMも設置)という殺風景な平面施設と化している。
 堂々たる塀と風格のある玄関、軒を連ねる土蔵、一部には洋風意匠もしつらわれ、緑豊かな中庭・・・と、まさに現在朝の連続テレビドラマの『どんど晴れ』の主たる舞台となっている盛岡の老舗旅館(※)の山形版であり、山形の伝統文化の集大成ともいうべき見事な建造物であった。(※実際の建物は東京にあるらしい)
 むろん、解体の前に一部の市民から保存を望む声があったが、今ではご覧のとおり無粋な景観となっている。背後のビルは「歴史の文脈を生かし、風格と奥行きの感じられる都市づくり」を標榜する山形市役所であり、またそのすぐ手前の無骨でしかない薄茶色のビルは市営駐車ビルであるのは皮肉か。
 なお、旧後藤又兵衛旅館の写真を持ち合わせていないのが残念でならない。
 
 ◎4月に放映された関東のテレビ局の番組で旧済生館など山形市内の名所が紹介されましたが、そのホームページをご覧ください。クリック→ 『旅美人』
 
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