弁理士『三色眼鏡』の業務日誌     ~大海原編~

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【商標】流行語大賞で学ぶ商標2020(第4回)

2020年11月17日 08時17分51秒 | 実務関係(商・不)
おはようございます!
連日この言葉しか書いていないような気がしますが…快晴っ!な今朝の@湘南地方です。

さて、連続シリーズ第4回。

(4)「指定商品」の不思議 ~「香水」はどこまで「香水」か~

Tiktokとユーキャン、それぞれのノミネート30選でわずか2つの共通候補の一つ、「香水」。
(ちなみにもう一つは…本文の一番最後に)

「どーるちぇあーんど…」のあの曲。
配信限定シングルとしてリリースされたのは実は去年の4月の話。発売当初は注目されなかったものの、“歌ってみた”系の動画で徐々に注目されるようになった、らしい。
たぶんコロナとかなければカラオケに行って歌ったりもしたんだろうけど、タイミング悪く一度も歌ったことないや。。。

でまあ、「香水」ということで。
歌詞でも出てくる「DOLCE&GABBANA」、香水についての商標登録はこちら。さすがに歴史のあるブランド。
わざわざ“香水についての”と言ったように、商標は出願にあたって自らの権利範囲がどの商品/サービスに及ぶものとするのかを決めて出す。
この、「この商標/サービスについて権利が欲しいですよ」という範囲のことを「指定商品/指定役務」という(「役務」≒サービス)。
なので、「○○は××の登録商標です」という言い方を慣例上よくするけど、厳密には「○○は××の、指定商品▲▲についての登録商標です」がホントの意味では正しい。

で、じゃあどうやって指定商品/指定役務を特定するかというと、願書上に具体的に記載することになる。
“じゃあたくさん書いといた方がオトクじゃん?”と思うかもしれないが、実は指定商品/指定役務は特許庁の審査基準上(というより国際調和の観点から)45の区分(クラス)に分類されており、この分類に従って記載することになる。料金は区分の個数に応じて変わってくることになる。ちなみに「香水」は「第3類」という区分に属する。

更に。
商標権の効力のうち、禁止権(=他人に登録商標を使わせない権利)及び後願排除効(=先願主義のもと、他人の出願を拒絶する効果)は同一の範囲のみならず類似の範囲まで及ぶことになる。
類似の範囲とは、(1)商標が同一or類似 かつ (2)指定商品/指定役務が同一or類似 の範囲のことをいう。
なので、商品/サービスの類似の概念というのは実務上も結構重要。
ややこしいことは省くが、審査の場面における商品/サービスの類否は、実は結構画一的に定められている。
具体的には、各商品に「類似群コード」というものが付されており、その「類似群コード」が一致していれば類似、そうでなければ非類似。
上で触れた「区分」と「類似群コード」とは、基本的には別物。
ちなみに「香水」の類似群コードは「04C01」で、これは「化粧品」と同じ(というか、化粧品の下位概念として位置付けられている)。

で、だんだんややこしくなってくるんだけど、
商標の世界では「香水」(04C01)と「香料」(04D01)と「薫料」(04D02)とは、非類似の商品になる。
…「薫料」って、この業界に入って初めて見た言葉だなぁ、と思って改めて広辞苑を引いてみたが、、、載ってないよ、「薫料」。
審査基準上「薫料」の下位概念には「線香」とか「におい袋」とかが含まれている。つまり、身体に香りを付するのではなく空間に漂わせるものが「薫料」、らしい。
流れ的には「香料」が「香水」や「薫料」の原料で、人の肌に付けて使用するものが「香水」、それ以外は「薫料」ということになる。
「エッセンシャルオイル」は「香料」だけど、エッセンシャルオイルを香水として使う場合には「香水」…ああややこしい。

ま、実務上は、「香水」も「香料」も「薫料」も同じ第3類に属するので、障害が無ければまとめて取っちゃうんですけどね。
どちらかというと、不使用取消審判を掛けられた場合の使用証明を出す場合にどの商品に属するものか、といったときにちょっと神経を使うはなし。

ああ、今日はちょっとマニアックな話になってしまった。













[もう一つの共通候補の答え=「時を戻そう」]

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