弁理士『三色眼鏡』の業務日誌     ~大海原編~

事務所開設12年目!
本ブログがKindle本に!「アマゾン 三色眼鏡」で検索!!

ハロウィン 【一般名称化した言葉の登録商標の効力は…?】

2015年10月31日 08時37分07秒 | 実務関係(商・不)



おはようございます。
仮装だかぼちゃだトリックオアトリートだ
色々イベントとして成り立たせようと頑張ってる感の否めないハロウィン🎃
…と思ったら、経済効果的にはバレンタインデーを超えてるんだそうで
(1,100億円、バレンタインは1,080億円:Wiki情報)

へーー。
おじさんが子供のころにはこんなイベントなかったよ。
N○Kの基礎英語か何かで初めて存在を知った気がする。

ふ、と気になって、検索かけてみた。
そしたら、いっぱいあるのね、「HALLOWEEN」絡み。



古いものだと、1971年から。




さて、こういう状況の時によくある質問が、

「それじゃぁ、お菓子に『HALLO WEEN』ってつけたら商標権侵害になっちゃうの?」
というもの。


実は商標法には、こういう条文があります。

第二十六条  商標権の効力は、次に掲げる商標(他の商標の一部となつているものを含む。)には、及ばない。
一  (略)
二  当該指定商品若しくはこれに類似する商品の普通名称、産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、形状、生産若しくは使用の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格又は当該指定商品に類似する役務の普通名称、提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、態様、提供の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格を普通に用いられる方法で表示する商標

…ちょっと長いですね。
平たく言えば、
“「その商品との関係で」商標として機能しないような言葉の使用は、仮に登録商標があっても侵害にはならないですよ”というもの。

※勘違いしないで頂きたいのは、カギカッコの部分。
 あくまで「その商品との関係で」というのがポイント。

さて、この条文に照らしてみたとき、
登録時はともかく、現在において「HALLOWEEN」はもはや季節のイベントとして定着。
そのイベントにおいてはお菓子はつきもの。
そうとすると、仮にお菓子に「HALLOWEEN」と表示したとしても、
特定の主体の出所(=誰の商品か)を表すとは認識されず、品質・用途ないし使用時期(=ハロウィン用のお菓子)
を表すものとして認識される。
だから商標権侵害にはあたらない、という結論に導くことが可能です。

※もちろんこの理屈は、商標権侵害との責めを受けたときの反論として取りえるロジックです。
 商標権者が権利行使すること自体は違法でもなんでもないですから、
 係争に巻き込まれるというリスクが排除できているわけではありません。
 (まぁ、まさか不二家さんそんなことしないでしょうけど、ね…)
 なので、本当にお菓子に「HALOWEEN」を使うときはご相談くださいね。

※だったらそんな登録商標「無効」じゃん!? と思った方。
 感覚は悪くないです。 しかし、制度上登録商標を無効にできるのは原則「登録後5年」と
 定められています(除斥期間[じょせき-きかん]といいます)。
 なので、効力が減衰しても更新される限りは登録商標として残っていくことになります。

※「HALLOWEEN」という言葉がもはや登録することができないものになっている、というわけでもないです。
 指定商品との関係では依然として独占性が認められる余地はあります。

言葉はイキモノ。
時代の変化に応じて言葉の意味合いや使われ方、その頻度は変わっていくものです。
1970年当時に出願した不二家さんの先見の明はさすがというべきものですが、
商標登録は「言葉狩り」ではない、という点、よくよく注意しておきたいものです。




コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 地域団体商標_拡大された主体... | トップ | 今年もあと2か月 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

実務関係(商・不)」カテゴリの最新記事