畑で作業していると1匹の塩辛トンボが飛んでいました。
この塩辛トンボは私を恐れるでなく、作業小屋の柱に止まったり離れたりして、残暑の厳しい日差しを楽しむかのように飛び回っていました。
「シオカラトンボ(塩辛蜻蛉)」は湿地帯や田などに生息する中型のトンボ科の昆虫で、日本全土の他、ロシア極東、中国、韓国、台湾などに分布しており、市街地などにも広く見られるため、日本では最もよく親しまれているトンボの一種と言われています。
名前の由来は一般的に、オスの特徴からのようです。
即ち、オスは成熟すると胸部から腹部にかけて青白い粉を吹くのですが、それを塩に見立て、塩漬けのようである事から塩辛トンボと呼ばれる説と、
他には、全身に出る青白い粉を塩に見立て、塩を蓄える姿から塩蔵トンボが転じてシオカラトンボとなった説があるようです。
・カメラを向けても逃げる様子はなく、まるで写真を撮ってくれとばかりに4枚の羽を柱側に傾けてポーズをとるかのようにじっとして、すぐ傍から撮影させてくれました。
近年、「シオカラトンボ(塩辛蜻蛉)」をあまり見かけなくなりましたが、傍で見ると可愛いものですね。
大阪南部の熊取地方は、朝方の気温が20前後になり、秋の気配を感じるようになりましたが、私の畑にも秋を感じる事が出来る果実が収穫の時を迎えました。
それは秋の味覚の一つ、「梨」です。
我が家の梨(豊水)は4月26日に花が満開となり、その後、摘果を数回繰り返し、殺虫・殺菌剤の散布や袋掛けなどを行って育ててきました。
開花から4カ月余りで漸く収穫の時期となったものです。
・これは4月26日に満開となった二十世紀の花です。
今年は「豊水」も「二十世紀」も摘果が不十分だったためか、全体に小粒の果実となりました。
・これは「豊水」です。
収穫した「豊水」と「二十世紀」です。中心にある一番大きな梨が直径9センチ、474gの立派な梨でしたが、周りの梨は直径7センチ前後、重さは300g前後の小粒な梨でした。
左下の一番小さい梨が「二十世紀」です。「二十世紀」は受粉樹が合わないのか、毎年このような小さい果実しか生りません。
せめて、豊水の小粒くらいの果実が実って欲しいのですが・・・・。
今日9月8日は二十四節気の一つ「白露(はくろ)」です。
「白露」とは、大気が冷え、野にはススキの穂が顔を出し、秋の趣がひとしお感じられる頃で、草花についた朝露が寒さで白く見える頃を言います。
暦便覧にも「陰気ようやく重なりて露にごりて白色となれば也」とあります。
・秋の気配と共にススキの穂が開いてきました。
大阪南部の熊取町は、日中の気温はまだ30度を超えて残暑が厳しいですが、朝方の気温は20度前後に下がり、漸く秋らしさを感じるようになりました。
・昨日の朝露です。草についた朝露が白く見え始めました。
露は昔からいろいろな言葉に例えて使われています。
①涙に例えて
「我が袖は 草の庵に あらねども 暮れるば露の 宿りなりけり」 伊勢物語
②僅かないことに例えて
「露にても心に違う事はなくもがな」 源氏物語
③そして、先日のNHK大河ドラマでは豊臣秀吉が亡くなるシーンがありましたが、秀吉の辞世の句は、はかなく消えやすいことを例えて
「露と落ち 露と消えにし 我が身かな 浪速のことは 夢のまた夢」 (豊臣秀吉)
(意訳) 露のようにこの世に生まれ落ち、そして露のようにはかなく消えていってしまったこの身であることよ。
大阪城で過ごした栄華の日々は、夢の中の夢のようにはかないものだった。
国内での開花は非常に珍しいと言われている「サトイモの花」が今年も又咲きました。
今日は、昨年に続き2年連続で開花した「サトイモの花」をご紹介します。
「サトイモの花」
サトイモはもともと熱帯の植物なので、暑さや日照などの条件によって咲くことがあるそうですが、国内での開花は非常に珍しいそうです。
奈良県のHPによると、サトイモは原産地が熱帯アジアなので、高温、多湿、多雨の条件が重なると花が咲くこともあると書かれていました。
このため九州などでは時々咲くことがあるようですが、奈良県では10年~20年に一度あるくらいの大変珍しい現象だそうです。
・これがサトイモ(里芋)の花です。
長野県のHPでも、「サトイモの原産地は熱帯地方なので、日本では温度や気象条件などが合わないと開花しない。高温、多湿、多雨の条件で、生育のよいものに着花する」と書かれていました。
奈良県、長野県、いずれのHPにも『原産地は熱帯地方なので、高温、多湿、多雨の条件が揃わないと開花しない』と書かれているところから考えると、大阪南部の熊取町の昨年、今年の気象条件は高温、多湿、多雨の開花条件に当てはまったようです。
もし、来年も咲くようであれば、地球温暖化の影響で日本の気候が亜熱帯気候に変わりつつあるのかもしれません。
CO2の削減について、身近な問題として個人個人が真剣に考えたいものです。
熊野古道を歩くと峠越えが何か所もあります。
険しい峠もあれば緩やかな峠もあります。いずれの峠も山の上りと下りの境が「とうげ」であり、正しく漢字の「峠」の字の通りです。
この「峠」という字は日本で出来た漢字で、「和製漢字」と言います。
そこで、今日はこれらの「和製漢字」について調べました。
和製漢字とは、漢字の起源の中国ではなく、日本で作られた漢字体の文字の事を言います。
通常、国字と呼ばれることが多いですが、国字と云う語には3~4種類の語義があるため、そのうちで日本製の漢字体の字を特定して言っているようです。
例えば、「峠」、「辻」、「笹」、「榊」、「栃」、「畑」、「匂」、「躾」、「枠」などが日本製の漢字体、即ち国字で、和製漢字辞典には2700字を超える国字、国字説のある漢字が掲載されているそうです。
今日はこれらの和製漢字の内「峠」と「躾」についてその成り立ちをご紹介します。
「峠」
「峠」とは、山の坂道を登りつめた最も高いところで、山道の上りと下りの境のために【山+上+下】を組み合わせてできた漢字で、「とうげ」という言葉は『手向(たむ)け』が変化したといわれています。
古くは、峠は国と国の境にあり、災いがその土地に入ってくるのを防ぐのと、旅の安全を祈るのとで、その場所には道祖神が奉られ、旅人たちが『手向(たむ)け』をしたのが由来だそうです。
・熊野古道の「糸我峠(いとがとうげ)」です。
「躾(しつけ)」
「しつけ」という言葉は元々「仕付」と書き、何かを仕立てたり、組み立てたりして動じないものにすることをいいます。
室町時代になると、武家社会で礼儀作法が重んじられるようになり、身につけるということで、こちらも「しつけ」と呼ぶようになりました。
武家の礼儀作法は、心で相手を大切に思い、その思いから自然なふるまいをすることが大切なのだそうです。
そして、それは、身を美しくふるまうことにつながるということで、【身+美】で「躾」という漢字を作りだし「躾(しつけ)」としたようです。
和製漢字は日本人の感受性や生活様式に直結して生まれたものなのですね。
漢字は全て中国から伝わったものと思っていましたが、このような和製漢字が2700字もあるとは、なんだか嬉しい気もしますが・・・。
和歌山県植物公園 緑化センターの花シリーズが昨日で終了しましたので、今日は久しぶりに家庭菜園の話題に戻り、秋ナスの栽培についてご紹介します。
秋ナスの栽培方法は、春栽培で伸びた枝を8月初旬から中旬に切り詰めて新しく芽を出させ、その新梢に花を咲かせてナスを実らせるものです。
この時、株に元気をつけるために株間と畝の肩に化成肥料を施肥します。更に、畝が乾かないように毎日の水やりを十分行います。
2~3週間経過すると蕾が出来始め、1ヶ月も経つとナスの幼果がたくさんぶら下がってきます。
私の畝には昨年に続いて今年もまた二つがくっついたナスが出来ました。私は今年のこのナスを"双子のナス”と命名することにしました。
・これが1カ月ほど経過した秋ナスの畝と"双子のナス”です。
これは昨年の秋ナス栽培時に出来た二股の茄子で、2年続けて珍しいナスの出現にビックリしているところです。
どのような原因で出来たのかわかりません。異常気象のなせる技なのでしょうか?
・これが昨年ご紹介した二股ナスです。
この二股ナス、逆さまにするとハート型に見えるので、昨年は"ハートの茄子”と命名しました。
・昨年できた"ハートのナス”です。
和歌山県植物公園 緑化センターの花シリーズ、最終回の今日は「メランポディウム」と「コンロンカ」をご紹介します。
「メランポディウム」
メランポディウムはキク科メランポディウム属の1年草で、原産地はメキシコです。
ヒマワリを小さくしたような黄色の花が初夏から秋まで休むことなく咲くので、長期間にわたって花を楽しむことができます。
・メランポディウムの花壇です。
草丈は20cm~40cmと小さいく、よく枝分かれして、茎の先に2cmほどの黄色い花を次々と咲かせます。
「コンロンカ」
「コンロンカ(崑崙花)」はアカネ科コンロンカ属のの常緑半蔓性低木で、原産地は種子島から台湾、中国南部だそうです。
白い葉っぱに見えるのは萼片で黄色い星形に開いているのが花です。
白や赤やピンクのガクをヒラヒラとさせることから「ハンカチの木」とも呼ばれています。
名前の由来は、白くなった萼片(がくへん)を、中国の崑崙山に積もる雪に見立ててつけられたと言う説があります。
花自体は小さくてあまり目立ちませんが、花のまわりの5枚の萼片(がくへん)の1枚だけが葉のように大きくなり、鮮やかな白や赤に色づいて見る人の目を引きます。
不思議な植物ですね。
和歌山県植物公園 緑化センターの花シリーズの8回目は「ベゴニア・シルバーミスト」と「クレオメ」をご紹介します。
ベゴニア温室にはいろいろな種類のベゴニアが育てられていましたが、その中でも特に目に止まったのが淡いピンクが艶やかなシルバーミストでした。
「ベゴニア・シルバーミスト」
ベゴニアはシュウカイドウ科ベゴニア属に属する植物です。
花の名前はフランス人ミシェル・ベゴンに由来します。
植物学者シャルル・ブリュミエールがベゴニアを1700年に書物の中で紹介しましたが、そのブリュミエールをフランス王ルイ14世に紹介したのがフランス領アンティル諸島総督で、植物学に精通していたミシェル・ベゴンだそうです。
・ベゴニアはお馴染みの花ですが、淡いピンクがひときわ目立つ「ベゴニア・シルバーミスト」です。
ベゴニアは熱帯から亜熱帯地方の原種を交配して多くの品種がつくられたためそれらの性質は多様ですが、共通する特徴は葉の形が左右非対称でやや歪んだ形であること、花は雌雄別であり4枚の花弁を持つことなどです。
温室を後にして、パノラマ花壇に行ってみると作業員が秋の草花の植え付けや水まきをしていましたが、花壇の1区画にクレオメの花が咲いていました。
「クレオメ」
クレオメはフウチョウソウ科の春まき一年草です。
原産地は南アフリカで、開花時期は7から9月、草丈は1mくらいに伸びて、その頂点にたくさんの花を付けます。
・花壇に植えられている「クレオメ」です。
クレオメは、花がつぼみの頃はピンク色をしており、開いてくるとだんだん白くなって行くことから、和名では「スイチョウカ(酔蝶花)」と蝶をつけています。
英名は「スパイダーフラワー」と蜘蛛をつけて呼ばれていますが、これは長い雄しべを蜘蛛の足に見立てたのではないかと思われます。
花は、4花弁で、雄しべと雌しべが、異様に長く、英名の「スパイダーフラワー」も理解できる感じです。
和歌山県植物公園 緑化センターの花をご紹介していますが、別棟の「洋ラン温室」には切り花でお馴染みのアンスリウムが育てられていました。
「アンスリウム」
アンスリウムはサトイモ科アンスリウム属の常緑多年草です。
原産地は熱帯アメリカや西インド諸島で、この地域に600種ほどが分布しているそうです。
アンスリウムの魅力はハート型の赤い花ですが、この赤い部分は花ではなく、花序を包む大型の総苞で仏炎苞と呼ばれているものです。真ん中のとがった花序に小さく沢山咲いているのが花だそうです。
・アンスリウム・アンドレアヌムです。
アンスリウムは造花のようにも見える光沢のあるハート形の大きな葉と花持ちが1ヶ月以上と長いことから切花としても人気があり、お花屋さんの定番の花となっているようです。
・短い花序(黄色い部分)のアンスリウムです。
和歌山県植物公園 緑化センターの花シリーズは、昨日まで温室で育てられているサボテンをご紹介しました。
今日は別の温室で育てられている花をご紹介します。
「アンスリューム・クリスタリヌム」
癒しの温室には「アンスリューム・クリスタリヌム(シロシマウチワ)」の表示をしている鉢植の花がありました。
下の画像の花ですが、内容を調べようとネットで検索したところ、どうも「アンスリューム・クリスタリヌム」とは違うようです。
そこで、花の名前を調べると「スパティフィラム」に似ているように思います。
緑化センターが間違った表示をすると困りますね。
・これがその「スパティフィラム」に似ている花です。
「スパティフィラム」は原産地の熱帯アメリカにおよそ30種、東南アジアに数種が分布しているそうです。
「スパティフィラム」は清楚ですらっとした花と光沢があるグリーンの葉のコントラストが美しく、観葉植物として親しまれています。
「サンジャクバナナ(三尺バナナ)」
洋ラン温室の中にはサンジャクバナナが実っていました。
三尺バナナは矮性のバナナで、草丈1.5m前後で実がつく品種です。性質は丈夫で、多肥、高温多湿(30℃前後)でどんどん育つようです。
果実は市販されているフィリピン産のドール、デルモンテ系(Cavendish)'に比べると食味がやや落ちますが、完熟させると甘み・風味とも増すそうです。
「エクメア・ファスキアタ」
「エクメア・ファスキアタ」はパイナップル科、エクメア属の常緑多年草で、原産地はブラジルでだそうです。
筒状の葉の中心から出た松かさ状のピンク色の花苞は、たいへん豪華です。
花は淡紫色で、数日間の寿命ですが、美しい苞は3ヶ月以上観賞できます。
葉は長さ50cm、幅6cm程度で、硬質、周縁には強いとげがあります。