らいちゃんの家庭菜園日記

家庭菜園、家庭果樹栽培及び雑学日記

間違いやすい言葉「忸怩たる思い」

2023-11-30 | 雑学

今日は令和4年度の文化庁の「国語に関する世論調査」からご紹介します。
この調査の中で言葉の意味についての質問がありますが、多くの方が本来の意味を誤解している言葉がありました。
その質問と調査結果は以下の通りです。

「世論調査結果」
この調査で「忸怩(じくじ)たる思い」と例示して、本来の意味を尋ねていました。  
 (質問)
 「忸怩たる思い」の言葉はどちらの意味だと思うか ?

この質問に対して、調査結果は下記のとおりでした。
(ア)残念で、もどかしい思い    52.6 %
(イ)恥じ入るような思い      33.5 %(本来の意味)
(ア)と(イ)の両方          8.3 %
(ア)、(イ)とは、全く別の意味    1.9 %
 無回答                3.7 %

「年齢別回答結果」
調査の結果、30 代以上では、辞書等で本来の意味とされているものとは異なる(ア)の「残念で、もどかしい思い」を選択した人の割合が、本来の意味とされている(イ)の「恥じ入るような思い」を大きく上回っていました。
中でも、50 代では(ア)を選択した人の割合と(イ)を選択した人との割合に 30 ポイント以上の差がありました。
一方、16~19 歳では、本来の意味とされている(イ)の「恥じ入るような思い」の方が高くなっていました。
年齢別の結果からは、16〜19歳の半数近い人が正解でしたが、反対に50代では正答率が28.4%といちばん低い結果でした。

・年代別の回答グラフです。「赤線」が本来の意味です。


「忸怩たる思いの意味」
「忸怩(じくじ)」とは、自分の至らなさや失敗について、深く恥じ入る気持ちのことです。
「忸怩」の「忸」は、恥じる、恥ずかしく思うと言う意味で、「怩」は、訓読みでは「は」じるであり、その意味は、恥じる、引け目を感じて心がいじけるの意味です。
広辞苑にも、「忸怩」は恥じ入る様。「内心ーたるものがある」と説明しています。

このように、「忸怩たる思い」とは、「自ら恥じ入る気持ちに駆られること」、「自分の行いについて、心のうちで恥じ入るさま」を言い表す言葉です。

「誤用の原因」
ところが、この言葉は誤用して使われることが多いのだそうです。
その理由は、「忸怩(じくじ)たる思い」が、「ぐじぐじとする、ぐじぐじと悩む」などの音の響きと似ていることからか、この言葉の意味を「ぐじぐじ悩む」と誤用しているケースが多くみられると言うことです。

忸怩の意味に「悔しい」とか「腹が立つ」「憤りを感じる」「思い悩む」などの感情は含まれません。
ましてや、「はっきりしない、うじうじする」という意味は含まれず、相手に対して使う言葉ではありません。
他にも「腹立たしい思い」「ふんまんやるかたない思い」「残念」などの感情を表現する意味での使用はいずれも誤用となります。
「忸怩」は自分の行いについて、「心の内で恥じ入るさま」の意味です。

この言葉は日常的には用いることはないと思いますが、改まった場や文書などで使うときに「悩む」「腹立たしい」と誤用してしまうと、かえって恥ずかしい思いをしてしまうことになりかねません。
使用する時には十分注意したいですね。