「知者は水を楽しみ 仁者(じんしゃ)は山を楽しむ」という言葉があります。
これは論語の一節で、
原文は「子曰、知者樂水、仁者樂山、知者動、仁者静、知者樂、仁者壽」で、
読みは「子(し)曰く(いわ)く、知者(ちしゃ)は水を楽しみ、仁者(じんしゃ)は山を楽しむ。知者は動き、仁者は静かなり。知者は楽しみ、仁者は寿(いのちなが)し」です。
意訳
孔子(紀元前551~紀元前479年)が言いました。
「知者と仁者を水と山に例えてみるならば、知者は水を楽しみ、仁者は山を楽しむと云える。
知者の動きは流れて止まぬ水の如きものであり、仁者の静かなることはどっしりとした山の如きものである。
知者は変化を好んで楽しみが尽きることがない。
仁者は常にゆったりとしてあくせくしないから、長生きである」
と言う意味です。
解説
・知者・・・智者と同じ。物事の本質を見ぬき、道理に達した人。
・仁者 ・・・仁の道をきわめた人。仁徳をそなえた人。
・寿・・・・ 「いのちながし」と読むみます。長命である。長生きである。
「盆栽」
論語の言葉と盆栽? どのような関係があるの?
直接関係ないように思えますが、実は、中国の盆景が日本に伝わって盆栽として発展したということなのです。
調べてみると、盆栽の起源は中国と言われており、 少なくとも2500年前には、既に樹を鉢に植えて育てる趣味があったと言われており、 それは中国の呼び名で「盆景」と言います。
冒頭の論語「知者は水を楽しみ 仁者(じんしゃ)は山を楽しむ」は前述したように、古代から知者も仁者も自然の山水を楽しんでおり、木々が生い茂る深山幽谷(しんざんゆうこく)の景色を手元に置いて楽しみたいと願い、そこから生まれたのが中国の盆景です。
このことは、唐代の壁画にお盆のような容器に植えられた花や木を持った人物像が描かれていることから裏づけられるようです。
この盆景が平安時代には日本に伝わり、「自然の成長を抑制し、あるいは助長して異常な発育状態に導く」という日本独特の植栽技術を生み出し、盆栽として独自の発展を遂げたということです。
その盆栽、今や愛好家は世界に広がり、「BONSAI」は世界共通語となっています。
諺集を眺めていて、論語の一節と盆栽には、意外なつながりがあったと感じたので取り上げてみました。