日本人はフランス語を誤解している!・・・と思うけどなあ・・・
フランス語系人のBO-YA-KI
フランス語教育の現状と持つべき方向性
○学際的 pluridisciplinaireな方向性をもつこと。つまりフランス語というと文学、芸術関係者だけがやるものという状況を打破し、フランス語と、たとえば理系の学問の知識を併せ持った人材を育てること、等々。
○フランス語圏の大きな広がりを日本社会によく知ってもらうこと。
○日仏の知識人の交遊を活性化すること。その際、仏→日の一方通行ではなく、お互いに相手の文化、言語等々を勉強し合う姿勢を育てていくこと。
○フランス語をアジア諸国のコミュニケーションの言葉に育て、相互協力に資すること。(訳、要約の仕方が適当でないかもしれませんがだいたいこういうことだったと思います)
わたしはこの四つの方向性は全く妥当なものであり、また十分実現可能なものと考えます(非常に頑張らないといけませんけどね。(^_^;)y )。
三浦さんの次はこの大会を仕切った台湾のペイワ・シ=リーさん。
台湾におけるフランス語教育は42年前にタンカン大学で始まったと言っておられましたから、1964年ということになりますね。いまでは全国で毎年2500名の新入生がフランス語を選択するし、子供用の教室や、職業用フランス語を学ぶ場も増えて来たとのことです。
彼女のお話で印象的だったのはタンカン大学の某先生の指摘の引用で、台湾の若者はフランス語を motivation existentielle 「実存的動機」から選択している、という言葉です。フランス語は epanouissement personnel 「個人的(個性の)開花」に繋がっている、というのですね。なるほど。
そして彼女はフランス語を話す人 francophones とフランス愛好者 francophiles のネットワーク作りという言い方をして、三浦さんの指摘に沿う形をとっていました。わたしとしてはfrancophonesにfrancophiles というのを併置するところが彼女の話のポイントだと思います。
次はインドネシアからDadang Sunendarさん。
ヴェトナム、カンボジアが植民地化されたために、フランス語は19世紀からインドネシア周辺にプレゼンスを持っていたが、本格的にフランス語教育が始められるのは第二次大戦後のこと。モンテスキュー、ルソー、ヴォルテールなどの思想、デュマなどの文学が愛好された。現在2億2千万の国民の中でフランス語話者は4、5万人程度だが、学習希望者は増え続けている。それに対して教員養成が追いつかないのが悩みの種であるそうです。インドネシアでは高校段階でフランス語は日本語、ドイツ語、アラビア語などと併存、競合しているそうです(彼は言い落としたみたいですけどマンダリン(中国語、北京官話)も入ると思います)。
最後にインドからMme Meenal Kshirsagarさんの報告。
残念ながら彼女の声は会場に反響してよく聞き取れなかったんですが、こんなことを言っていたのは分かりました。フランス語は英語に次いで第二の外国語であるにも関わらず制度的に優遇されているとは言えない、50ほどの教育機関、多くは私立のものがフランス語による授業を提供しているのみ、と。「フランス語の」授業じゃなくて「フランス語による」授業なんですよ。
インドの場合、歴史的背景があって、大昔に植民地争奪合戦でフランスはイギリスと争って負けて撤退したわけですが、いくつかの拠点とフランス語教育は残して行ったんですね。日本のように19世紀から(でもプラティカルなところの非常に欠けた教育をつい最近までやっていたので、たぶん今の時点で「第二外国語なんか要らない」と主張する方々は、おそらく昔のつまんないフランス語教育法に毛がはえたものくらいしか頭にないのでしょうね・・・)、台湾やインドネシアのように第二次大戦後本格的に開始した地域とは年季が違います。
このシリーズ1のエントリーで出していた問題の答。世界フランス語教授連合のアジア太平洋支部に属する会で会員数が一番多いのはインドの協会なんですね(もっともこれは実際の教員数というのとはまた別ですからご注意を)。
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