『花おりおり』をパラパラっとめくっていたら、懐かしいものに出会った。
それは、子どもの頃よく木に登って採ったことのある、ツノハシバミの実であった。
3個か4個がまとまってなっている、つんと角のある実には、細かい毛が密生している。それはベルベットの様に美しい萌葱色だ。
この角を持つ萌葱色のコートの下に堅い殻があって、その殻をむいて中の実を食べた。
今だったらローストして、もっとおいしく食べたのだろうが、そのころは、生のままだった。きっと、クリの実のように、そのままでもおいしかったのだと思うが、味や形はまったくおぼえてはいない。
先日、角ハシバミの実を調べたら、とても愛らしい形をしていたので、うれしくなった。
http://www12.wind.ne.jp/YoiNaegi/tunohasibami.htm
けれど、清少納言は書いている。
おそろしげなるもの、つるばみのかさ。(枕草子 174段)
清少納言は、くちばしのように付きだした形を、角のようで恐ろしげと思ったのかしら。その時代にはこの実を、食べたのだろうか。
今よりは自然のものを食用にしていたと思うが。それともーー。
子どもの頃、その実の形も色も好きだったのだが、その実を採ったあとが問題だった。指や手が、きまって痛がゆくなった。
萌葱色の美しいベルベットは、じつは密生した極小のトゲの集まりだったからである。皮膚に刺さった無数のトゲの痛がゆさこそ、子どもにとっては、恐ろしげなるものの正体だった。
枕草子の時代は、果たしてどうだったんでしょうね。
♪おまけ
同じ段で、清少納言があげている、あとひとつの「おそろしげなる」植物は、「みずふふき」というのであった。それは、オニバスのことだそうだ。
「石川の植物」さんhttp://www48.tok2.com/home/mizubasyou/66onibasu.htmで偶然知った。鋭いトゲトゲは見るからに恐ろしげだ。
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「うれしきもの」「うつくしきもの」「なまめかしきもの」
「すさまじきもの」「にくきもの」・・・
清少納言の文章の癖かもしれませんが、言い切らない
ところにボカシあるようにも思います。
そこから、読者にいろいろと考えさせるためのプロローグが「もの」なのかもしれません。
言葉の遊びのスタート・・・
清少納言の話ではなかったですね。
ツノハシバミの実はユニークですが、
やはり春の花穂が可愛いですね。
その春を待っています。
覆盆子・鴨頭草などといっしょに 草冠に欠を書く ミズフフキもありました。 なあに?
こちらに伺って よくわかりました。
ルピナスさん ありがとうございます。
すべてのことに、何かのきっかけが潜んでいる。そう思うと、枕草子を学んでいるのも有難きことでしょうか。なんだか大げさになりましたが。
軽井沢の子ども時代、春が来るのが本当に待ち遠しく、一番にイヌナズナが咲く場所へ何度も見にいきました。
とても読めませんよね。
メジロはスズメより遙かに小さな鳥、
実際に見たときは、感動しました。
蛙さんのお庭にはいつも訪れるなんて素敵ですね。
偶然ミズフフキにも出会えて、私もうれしかったです。リンクしてくださりありがとうございます。