博物館の裏山を歩いた。 初冬の山林は冷えこんでいて湿っぽい。 枯葉をつけたままの樹の下にヤブコウジがひっそりとしていた。 ここにはたくさん生えている。 ほの暗いなかにひときわ赤い実。 ひかえめな姿だ。
ヤブコウジ… 古くは山橘
この雪の消残る(ケノコル)時にいざ行かな山橘の実の照るも見む 大伴 家持
タチバナは、田道間守タジマモリが常世の國から持ちかえった 「ときじくのかぐの木の実」で山に生えていて、 これに藪柑子が似ているところから山橘というのだそうだ。 ヤブコウジはミカンの原種 柑子コウジに由来する。
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覗き込むように腰をかがめ、ふたりの女性が話していた。
「千両ね ちょっとこれは 丈が低い…」
通りがかって 黙ってはいられない。
「これはヤブコウジといいます 千両よりずっと低い 十両です」
「あら 良いことを教わって… 」 「ありがとう ございます…」
弾んだ声が追っかけてきた。
低い十両だが、はじめに山橘ありき…
あまり見かけなくて 万両より値打ちがありそうだ。
万両は ヤブコウジの仲間、 スラリとしている。
しぜんに増えて何株か繁った。
実を葉の下につける。
万両や暦日めぐること速し 風三楼
千両は センリョウ科、 草珊瑚とも。
10月頃から生っていたような気がするが もっと前かも知れない。
お正月まで持つだろうか
千両には黄や白もあったような (こちらは庭園で)
実は葉の上である。
役者がそろって いよいよ押し詰まってきた。
百両の写真が見つからない。
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ぼやいていたら届きました。 百両の写真です。

ありがとうございました。
荒れた庭の隅で今年も実を結んでいました。
ただし、わが家では百両と言い伝えていますが保障の限りにあらずです。上から撮った写真の右側に昨年切った千両がありますので違いがわかるのではないかと。千両は種が芽を出しても4,5年は実が付かないようです。まあ、当たり前でしょう。そうやすやすと千両は、悪事でも働かぬ限りは・・・・・黙って出してくれる母も持たぬ庶民には縁遠いもの。なぜだか黄色のほうは毎年嫌というほど黄金の実をつけてくれます。これが黄金なら本当にめでたいのですが。
百両は別名を「唐橘」、ヤブコウジ科です。5弁の花は藪柑子に似ています。藪柑子も剪定で荒らされてもしつこく健気に実をつけています。
ついでに一両もあるようですが、これは蟻通しのことです。花弁も純白で4弁、ちょっとお仲間ではなさそうです。こちらはどうにか手が届きそうですが。
細い葉の百両は、それと知らずに赤い球果に惹かれて以前写したのですが画像が見つからなくなりました。うれしいプレゼントでした。
千両、百両の唐橘と景気の良いお話ですね。一両でも今のお金で20万以上とか。何時でもある、在り通し、蟻通し、この木の棘が蟻を刺し通す。 お後がよろしいようで…