誘われて 上村松園展を見にいった。 珠玉の作品を鑑賞し、北の丸公園に出る。 緑に染まりながら夏のような秋のような陽の中に、蝉が鳴いていたし、アゲハも重そうによろよろと飛翔した。




藪茗荷のぽっちゃりした花は、 青黒い実になってきたり、イイギリの実が赤くてこまかい葡萄のように垂れ下がる。 カラタチの白い花はこの秋も、 青い棘のあいだに まろい まろ~い♪ 金のたまをたくさんつけていた。 紫式部、萩、ムクロジの黄みがかった青い実、 薄紫の可憐な花が盗人萩! だって。 莢ができていた。
ここに立ち、あっと声をあげそうになった。 速水御舟の渓泉二図が浮かんだから。 なんとなく細い灌木や岩の配置が似てるでしょう。
双幅は胡粉で流水の描写も大胆な、 ブラックを思わせる絵。 岩に生える草や、 木の葉など繊細に表現されている。 苔や緑陰の群青、緑青など、 谷間からわきでる泉の白さを、 際だたせて画面から水音が聞こえてくるようなのだ。
木下闇の湿り気、 特有の冷気が好きだ。 きもちが落ちつく。
こちらから千鳥ヶ淵を覗いたり、 対岸を眺めたり、 ご一緒したTさんの案内は至れり尽くせりでありがたかった。
知らない植物をくわしく教えていただいた。 トベラ、かまつか。
せせらぎは池へと流れこむ。 大都会のオアシス、 広場には遠足の子どもや散歩の女性、 オフィスから名札を下げたままの男性など、 それぞれ秋晴れのしぜんを満喫。
親子が飛ばしたシャボン玉も 草のうえに休んでいる。
虹色の宇宙を抱いて。

ヒガンバナは崖を降りたり佇んだり 睡蓮が押し寄せてくる
桜のころは…
速水御舟を模倣する滝の縮小版にも出会えて、お連れにも恵まれいい時間を過ごされましたね。
丹念な写真で大都会の中に保たれている秋を、貴重な珍しいものとして拝見しました。千鳥が淵は櫻のころを重ねて見ました。
「序の舞」や「鼓の音」女性にもお会いになったのでしょうか。うつくしすぎますが、やはり上村御三家の中では母君が最高ですね。能に題材をとったものが多いので、奈良に出かけたときは松伯美術館の環境もが好きでよく立ち寄ります。一隅には茶室も建っていて純日本風庭園です。大きな池を借景にしています。
「ただ美しいというだけでなく、心情のうつくしさ」と。TVのゲストに共鳴します。画家の内面があらわれるのですね。
全くお上りさんでご案内がなければ右も左もわかりません。よき友です。ありがとうございます。