
神戸最終日 9月26日 小磯記念美術館へ
六甲ライナー 「アイランド北口」下車
特別展 亀高文子とその周辺
明治末、日本洋画界の草創期から、大正、昭和にかけて活躍した亀高文子(1886~1977)。 父、渡辺豊洲は横浜の外国商館で外国人向けの絵画を描いていた。 美術家として果たせなかった夢を娘の文子に託す。 文子は創立間もない女子美に学び卒業。小杉未醒の紹介で中村不折にデッサンの指導を受ける。
結婚後間もなく夫と死別、 苦難に遭いながら家族を支え官展への出品を続ける。与謝野晶子らが創立した朱葉会に属し、赤艸社女子絵画研究所創設。(パンフレットより抜粋)
「楽譜」。 「ダリア」 「けしの花」などおしゃれで愉しげ、 あたたかな優しい色遣い。 雑誌 「少女画報」「新少女」「子供之友」の挿絵など 文章も惹かれる。
女性画家の先駆者を ここで初めて知った。
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同時開催 「小磯良平作品選Ⅲ」
画伯お気に入りの 「二人の少女」など40点。 ・少女像(人物B) ・花(アネモネ) ・縦長キャンバスに描いた 「卓上静物」 (ロブスター 洋なし など) ・花のあるベランダ風景 ・かぼちゃのある静物(俯瞰する机、 グラス、ガラス器の卵、リュート、白布) ・「K婦人像」や今回の展示にはなかった 「斉唱」など 静かに平和について考えさせる。
楽しみは 中庭に移築、復元されたアトリエ。 葡萄棚と薬草が迎える。北窓の採光、 射し込む穏やかなひかり。
作品にしばしば登場するフラスコ、グラス、 モダンでクラシックな舶来の家具。 鏡台(半円型の鏡)、 リュート。 パラソル、チェックの膝掛け、獣足のテーブルなど。 作品の手がかりとなるギリシャのレリーフ、 お馴染みの時計。 マネの絵。 画集など多数の蔵書が画家を支える。
内部は撮影禁止。 パレットはその都度拭きとらず、 古い絵の具のうえに次々に新しい絵の具を出していたと説明を受ける。 画風から想像も出来ないことだった。 絵の具が荒々しく固まって、 さながら噴火口をみせて山々が列なる。
壁、 窓枠、 ドアは白っぽいやわらかなグリーン。 作品の随所にも見られるこの色は作品を一層モダンに魅せる。 画集をみると、魚(さより)の皿に、 琺瑯水差の影やK婦人の椅子に載っている。
グリーン・グレイはだいすきな色で、 我が日記の背景の色。 蛙もよく使うが濁りやすいのでむずかしい色である。
時間がなくてハイビジョンギャラリーを見逃したようだ。
記念に買った絵はがきは薬用植物画
花以外にも実や根を描いて 植物の四季がわかる。
美術館の裏にまわると 薄と紅紫のマメ科の花が競い合い群れている。 葉も花も山萩より大きめで枝垂れない。 これが筑紫萩とわかったのは帰ってから。 風にそよいでうまく写らなかった。
弦楽四重奏の生演奏があり、 館内にここちよく響いていた。
気品高い作品と 美しい調べ…
至福のときを過ごした。