退屈日記

とりあえず日々のつれづれを。

「うえの」の駅名にまだ「貧乏」がある頃

2010-01-29 04:02:44 | Weblog
久方ぶりに深夜のDVD。

深作欣二「脅迫(おどし)」(’66)を観る。

未決死刑囚の西村晃と室田日出男(新人!)が脱獄、
三国連太郎と春川ますみ、保積ペペ(子役やってたのね)親子の家にやってくる。

高名な医者、三津田健の孫かつ中原早苗の赤ん坊を誘拐した彼らは
父親を当時流行のリモコンで操りつつ大金をせしめて逃亡しようとするのだが。

事情を何も知らず家を訪ねてくる警官に田中邦衛、
三国に利用される浮浪者に内田良平。

営業部長である主人公は冒頭、
専務の「お手つき」の秘書と部下の結婚式で仲人をつとめる。

その終わりに映る菊の花がその後を暗示しつつ物語は進み。

会社人間である彼が葛藤の後に
脱獄囚に握られていた主導権を奪うというのがシナリオのミソのはず。

浅草ロック座から日劇ミュージックホールの舞台を踏んだ春川ますみが妻なので
室田日出男は彼女を襲うし、三国連太郎はそれを知って逆に嫉妬に燃えて迫る設定。

一度状況から逃げようとした主人公が列車の中で母親の乳を吸う赤ん坊を見て
誘拐された赤ん坊を思い出す連続のカットバックの緊迫感はなかなか。

主人公が警察に事情を告げないのは
「吉展ちゃん事件」(’63)の後だということで了解しよう。

現代ならもっとエグい展開がいくらでも予想されるけれど
脚本にも関わった当時の監督は品がいいのか時代のせいなのか。

作品の長さは84分。
主人公の葛藤がネオン街のオーヴァーラップで表されるのはいかにも。

ブレるカメラと文字入りの映像は
後の「仁義なき戦い」の萌芽か。
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