退屈日記

とりあえず日々のつれづれを。

「110年前のロンドン=倫敦の姿と『美貌』ゆえに翻弄される女の人生」について

2020-10-01 02:32:00 | Weblog
晴れ。おだやか。

長谷川如是閑「倫敦!倫敦?」を読む。

今から110年前のロンドンの記録。
漱石が訪れたほぼ十年後のこと。

興味深いのは「色街の様子」と「挑発的な女子」に関する批判だったり。
もっともパリやベルリンに比べるとロンドンは「控え目」だとも。

宿の「おかみさんの在り様」が何とも。
いかにもな「下町ぶり」に納得する。

鷗外「舞姫」と比べてみるのもいかが。
本書はむしろ英訳してかの国に届けるべきではないかと思うことしきり。

ちなみに「日英同盟」が結ばれたのは1902年(明治三十五年)のこと。
第一次大戦前なのでまだ街には何事もなく。

溝口健二「西鶴一代女」(’52)をようやく観る。

その「美貌」ゆえ男たち女たちの「都合」に翻弄され堕ちてゆく女の姿よ。
「身分違いの恋」に始まり。

田中絹代の演技が絶品。
三船敏郎が冒頭のみでいなくなるあたりが「黒澤作品」とは異なるところ。

尼の毛利菊枝に嫉妬されて寺から追い出されるあたりの描写がなかなか。
同様に嫉妬された沢村貞子には「しっぺ返し」をしたものの。

男優陣の豪華なこと。
菅井一郎、清水将夫、宇野重吉、進藤英太郎、加東大介、小川虎之助、柳永二郎に大泉滉。

ちょいと黒澤「羅生門」(’50)に似たところもあり。
監督が「色気」を出したのかも。

本作が「回想もの」であることも忘れずに。
「長回し」に耐える演技の数々の素晴らしさを是非。
コメント
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