pippiのおもちゃ箱

舞台大好き、落語大好き、映画大好き、小説大好き、猫大好き!なpippiのつれづれ日記です。

ハムレット@東京芸術劇場1階最前列上手

2017-04-22 22:28:40 | 観劇/コンサート

  

 

【作】ウィリアム・シェイクスピア
【演出】ジョン・ケアード
【音楽・演奏 】藤原道山

【出演】内野聖陽  貫地谷しほり 北村有起哉 加藤和樹 山口馬木也 今拓哉 壤晴彦 村井國夫 浅野ゆう子 國村隼

ンマークの王子ハムレット(内野聖陽)はふさいでいる。父の先王が不慮の死をとげてまもなく、叔父クローディアス(國村隼)が王位を継いだ。そして、喪もあけぬうちに、母ガートルード(浅野ゆう子)が叔父と再婚したのだ。ある日、衛兵たちから城に先王の亡霊が出ると告げられたハムレットは深夜に待ち伏せし、ついに亡霊との対面を果たす。それは父であった。父は、庭で昼寝をしていたところ、耳から毒薬を注いで殺されたこと、その下手人はクローディアスだということを告げる。叔父が、高潔な父を殺し、母を奪ったのか……それが本当ならどうするか懊悩するハムレットは、その心の内を親友のホレイショー(北村有起哉)にだけ告げる。他の者には悲しみのあまり気が狂ったふりをし、すきをついて真相を探ろうとするのだ。

ムレットには年若いオフィーリア(貫地谷しほり)という恋人がいた。その父ポローニアス(壤晴彦)は、王子と娘の身分違いの恋に浮き足だっていたが、ハムレットの様子がおかしいことから、王クローディアスに申し出て、娘に様子を見させることとする。息子のレアティーズ(加藤和樹)は海外に留学にでかける。オフィーリアはハムレットに近づくが、以前とはうってかわった様子で意味の分からない言葉をぶつけられ、ついには「尼寺へ行け」と突き放されて動揺する。クローディアスは、さらにハムレットの学友であったローゼンクランツ(山口馬木也)とギルデンスターン(今拓哉)を呼び、ハムレットの様子を探らせる。

会を探るハムレットの前に父王の亡霊が現れ、決断を迫る。ハムレットは旅回りの芸人たち(村井國夫)に『ゴンザーゴ殺し』という芝居を演じさせる。父が殺されたと同じ状況を演じてもらい、クローディアスの反応を見ようというのだ。果たして、御前での芝居で、この場面になるとクローディアスは怒り狂って芝居は中断した。ハムレットはクローディアスの犯行を確信し、復讐を誓う。

に呼ばれて寝室に向かうハムレットは、クローディアスが一人祈りを捧げる場にでくわす。背後から一突きで仕留めるチャンスだが、懺悔の祈りをする者は死ぬと天国に行ってしまうので、見送る。寝室で母の不実をなじるハムレット。しかしそこに父の亡霊が現れ、母を守るようにと説く。寝室の幕の後ろに他人の気配を感じ、ハムレットが剣で突くと、それはクローディアスではなく、秘密裏に探りをいれていたポローニアスだった。

ローディアスは、臣下を殺したハムレットに学友二人を付き添わせイギリス王のもとへ送る。持たせた親書には「到着次第この者の首をはねるように」と書いて……。

人に父を殺され、気が狂ったオフィーリアは川に落ちて死んでしまう。留学から帰ったレアティーズ、英国から危機一髪戻ってきたハムレットがその葬儀で顔を合わせる。レアティーズはハムレットに決闘を申し込む。クローディアスはレアティーズを呼び、彼の剣の先に毒薬を塗り、ハムレットの飲むワインに毒を入れるので大丈夫だと請け合う。決闘の最中、レアティーズの卑劣な一刺しでハムレットは毒に冒される。ハムレットの言葉でクローディアスの陰謀を理解したレアティーズだが時は遅かった。レアティーズも傷を負って死ぬ。そしてハムレットのための毒入りワインを飲んで母ガートルードも死ぬ。ハムレットは、クローディアスを刺して本懐を遂げ、この悲劇をのちの人に伝えてくれるよう、ホレイショーに言い残して、「あとは沈黙」とこと切れる。(公式HPより)


この前まで真田丸で家康だった内野さんがハムレットを!と聞いて驚いたのがいつのことだったか、もううろ覚えですが、「ふたりっこ」で一目ぼれしてから、ず~っとこういう役をやってほしい願望を持っていたように思います。

まさかの最前列。八百屋舞台から正面に降りる階段下に細長いマイクが数台設置してありました。

今まで観たハムレットは藤原竜也くん、四季の石丸さんに田邉慎也さん、井上芳雄くんに川口覚くんという、繊細なやさ男というイメージだったので、どちらかといえば熱くてごっつい系(ミセス・シンデレラの頃は繊細やさ男だったよね)な内野さんがどんなハムレットを生きるのか興味津々でした。

で、やっぱり熱かったです神に祈るに祈れず、罪の意識に苦しみ懺悔するクローディアスを背後から殺そうとする場面など、鬼のようでしたあのまま刺しちゃうんじゃないかと思うほど。「懺悔してる時に死んだら、地獄にいかないで天国いっちゃうんでしょ~」と、心配しちゃうほどの鬼気迫るハムレットでした。

プロローグは、北村さんホレイショーが、死者を回想し、ひとりひとりが現れる形がとても幻想的。そうなのね、これはエリザベートの展開に似て、ハムレットが「生き残って語れ」と命じたホレイショーの回想の物語の形をとっているのですね。だから舞台も舞台装置もあんなにシンプルなんだと妙に納得。

キャストも複数を演じ分けますが、特に目を引いたのは今拓哉さん。監視のマーセラス、ハムレットの学友ギルデンスターン、劇中劇「ゴンザーゴ殺し」の役者を演じていますが、最初に先王の亡霊を見つけるマーセラスの厳しい表情ときびきびとした兵士らしい動きと発声、学友ギルデンスターンのいかにも育ちのよさそうな気のいい青年の立居振舞や表情が、同じような(同じかも)衣装なのに全く違っていました。すごいなあ。。。もちろん、重鎮・村井さんや穣さんも全く違う役を印象的にこなされてるんですけどね。しかし、あのふたりにまさかの墓堀りやらせるとは。。。日本人の演出家じゃ考えつかないかもね。

内野さんもまた、ハムレットとフォーティンブラスの二役ですが、これもまたお見事悩みまくり、あがきまくるハムレットに比べ、兵を率いてデンマーク領地を通過し、最後はデンマークの統治を宣言するフォーティンブラスの堂々たる姿蜷川ハムレット最新版で納得のいかなかったフォーティンブラスの理想の姿を見せていただきました!内野さん、むちゃくちゃ兜がお似合いでした!マントだけじゃなくて鎧も観たかった!

オフィーリア貫地谷しほりさん、とても良かったです。兄レアティーズとのデュエットがとても美しかったな~そのレアティ―ズ加藤和樹さん、トンボ切ったり内野さんと立ち回りをしたりの大活躍でした。これだけの名優揃いの中で大変だったと思うけど、どんどん存在感が出てきているなあと感じました。

蜷川さんのラスト・ハムレットで予習に使った「100分de名著 ハムレット」がまた役にたって、ハムレットがオフィーリアの父ボローニアスに「魚屋か」と問いかける(女郎屋の意味)などもなるほどね~と知ったかぶりっこしてしまうのでした。

藤原道山さんの尺八、同じケアード氏演出の鹿賀丈史さん主演「錦繍」でも印象的に使われていましたが、この陰鬱な悲劇にとてもよく合っていたと思います。

今回特に感じたんですけど、この物語の中で一番かわいそうなのって、ハムレットでもオフィ―リアでもなくて、レアティーズかもね。。。父を殺され、最愛の妹を殺され、将来を嘱望されるエリートの若者だったのにクローディアスの黒い陰謀に加担させられて自分の命も落とすんですからね。。

全てが終わり、あちらの世界へ去っていく人々。ひとり残されたホレイショーの姿が印象的でした。