原作:滝沢馬琴
台本:青木豪
演出:河原雅彦
出演:阿部サダヲ、瀬戸康史、津田寛治、中村倫也、近藤公園、尾上寛之、太賀、辰巳智秋、二階堂ふみ、田辺誠一、河原雅彦ほか
あらすじ:
強欲な伯母夫婦の策略により父を失った犬塚信乃は、代々受け継がれてきた名刀・村雨を足利家に献上するため、許嫁の浜路を置いて旅に出る。そんな信乃の体には生まれつきのあざがあり、浜路の家の下男・額蔵(後の犬川荘助)にも同じあざが。さらに信乃は「孝」、額蔵は「義」の文字が刻まれた玉を持っていることがわかる。不思議な運命に導かれ、二人は、足利家へと急ぐが…。
八犬伝といえば、その昔、辻村ジュサブローさんの人形による活劇を夢中になってみたものでしたが、「玉梓が怨霊」のおどろおどろしさや犬塚信乃くんがかっこよかったとか、仁義礼智忠信孝悌の八つの玉が出てきたくらいは思い出せても、長すぎてストーリー自体はよくわかっていませんでした。今回は河原雅彦さんの演出で、結末が原作と大きく違って勧善懲悪ではありませんでしたが、あ~こういう話だったんだ~とわかりました。「練馬」「大塚」という地名がひんぱんに出てきたのもちょいと嬉しかったかな。
鼓童みたいな太鼓対決(かっこいい!)があったり、殺陣があったり、八犬士がそろい踏みで見栄を切ったりと、見せ場もたくさんあります。瀬戸くんや中村くん、太賀くん、尾上くんなどのアクティブな若手も元気よかったけれど、津田寛治さんと田辺誠一さんの渋さが光っていました。津田さんはシャープで彫の深いお顔立ちなせいか、山伏姿で頭につけている頭襟(小さい帽子のような黒いの)が、かっこいいおじさんが頭にくっとあげているグラサンのように見えてしかたありませんでした。田辺さんは今回どっちかというと悪役で、最後に信乃との大立ち回りがありますが、深い声に存在感と安心感があり、惹きつけられました。
そんな田辺さん。最近ツイッターで「画伯」と呼ばれているそうで、田辺画伯デザインのTシャツが売られていました。ビミョーだけどかわいいかも。
でも、やっぱり何といっても阿部サダヲさん!もう、言うことなし!な~んであんなに軽やかに舞台中を自分の世界にしちゃうんだろうねえ!楽しんで演じているのがびんびん伝わってきて、本当に心地よかったです。お城の屋根の上で犬飼現八と対決する場面で、はずみで屋根じゃないところに着地してしまったサダちゃんはなんと空飛んでるポーズに!これにはたぶんアドリブだと思いますけど客席大爆笑でした。演出の河原さんはちょっとお笑い担当でご出演でした。
さて、渋谷ですが、昨日副都心線が東横線とつながって元町・中華街まで開通し、めちゃ混みでした。東横線の改札は閉鎖されて、な~んか寂しかったです。