ピカビア通信

アート、食べ物、音楽、映画、写真などについての雑記。

2007年05月30日 | 食べ物


異常気象という言葉を使えば、全て納得出来てしまう
というのは、何かしらの原因がすっきり提示されたか
のような気がするだけで、決して根本的な問題が解決
されているわけではないのだが、あまりに便利で守備
範囲が広いので、ついつい「異常気象だからね」のよ
うに使ってしまうのは困ったものだ。
というわけで、異常気象のせいか(この場合は温暖化)
、最近本来暖かい地方の魚である「鰆」が、東北地方
で大漁ということらしい。
ちょっとしたボーナスと、獲れるところではほくほく、
方や不漁のところでは渋い顔と、対照的な風景となっ
ている。
「鰆」以外では「鯖」なども、今までとは違う獲れ方
となっているようだ。

水産王国日本、と嘗て言われたこともあるが(今でも?)
果たしてそんな王国の未来は、と想像すると、かなり
暗い。
すでに輸入なくして成立たない魚事情。
それに、これからは世界的(特に中国)な需要が増し、
今までと同じ価格では買い付けられない状況がある。
中国ヨーロッパなどに価格競争で負けるらしい。
この場合、他国の方が高い値をつけるという意味だ。
代表がマグロ。
世界的な鮨ブームというのは続いている(らしい)。
そうなると、回転寿司からマグロが消えるのも時間の
問題か。
別にマグロは消えても困らないが、それが全体の水産
資源の枯渇を意味しているのならそれは問題だ。

思うに、日本は今までそういう水産資源が無限である
かのように思っていたのではないだろうか。
つまり、乱獲が常態化していたと。
気付いた時には近海から魚は消え、外国に手を伸ばし
たら最初は良かったが、他の国でも手を伸ばし始め、
そっちの手のほうが最近では長くなってしまったと、
こんな感じでは。

しかし、今現在の魚事情を見渡すと、改善するべきと
ころはいくらもある。
まず、食べずに捨てる魚がどれほど多いか。
宴会、結婚式でどれほどの魚が廃棄されているか。
まあ、美味くないという問題もあるが、わざわざ美味
くもないものを用意するところも問題だが、そんなも
のでも形として必要とする日本の食文化、これが問題
なのだ。
始めから無駄を承知で形式優先、いわば様式美の世界
がここにも生きている。
「美しい日本」。
と言いたいところだが、様式の前に、その思想のもと
となる自然に対する畏怖がないから、空しい様式美だ。
水産資源の元になるのも海の環境だし、海と山とは一
体で、山の環境が海の環境を左右するというのも分かっ
てきたし、どちらにしろ全体の自然環境が重要である
ことは今や自明の理。
漁獲コントロールは当然のこと、環境も本気で考えて
ほしいものだよ「美しい日本」のここのところ身辺が
慌しく心身症にでもなりそうな安倍ちゃんには。
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