昨日の続きになるが、アキ.カウリスマキにはミカ.
カウリスマキという兄弟がいたはずだが、そう言え
ば最近名前を聞かないがどうしているのだろうかと、
気になって調べてみた。
すると「ヘルシンキ.ナポリ.オールナイトロング」
というサミュエル.フラーも出ていた映画が、彼の
作品であったことが判り(結構面白いアクションロー
ドムーヴィー的な映画だった)、その後あまり作品は
作ってないようなのだ。
つまり兄弟で監督な訳だが、フィンランドと今ひと
つ日本からすると縁が無い国ではあるが、カウリスマ
キ、と日本人からすると何故か引っかかる名前でもあ
ることだし、決して覚えていても損はない映画監督で
あると思う。
そのカウリスマキの「過去のない男」を見たことは昨
日書いたが、その映画のトーンが「北野武」に通ずる
ということにも触れた。
そして感情ではなく関係を描く監督であるという、訳
の分かったような分からないことも同じく書いたが、
それをもっと徹底した映画が他にあった。
ストローブ=ユイレである。
先日アマゾンで注文した「階級関係」(カフカのアメ
リカが原作)が来たので早速見てみたのだ。
過去唯一見たストローブ=ユイレの「あの彼らの出会い」
とは違い、この「階級関係」は一応物語りの形はとっ
ている。
勿論、カフカの原作でもあり、論理的に納得できる、
所謂安心して見られる収まりの良い物語ではないこと
は言うまでもない。
港近くの白黒の風景から始まるのだが、いやに緊張感
がみなぎっていて、只者ではないと否応なく感じる。
出演者は徹底して無表情。
そして会話も抑揚がない。
そんな会話が行われる船の場面、ホテルの場面、部屋
の場面、と滑らかな展開はなく、唐突に展開していく。
そこが、結構心地良かったりするのだが、「普通」の
映画からすると「訳がわからない」ということになる
のだろう。
しかし、「カフカ」の世界は非常によく表現されてい
るのではないか。
ありがちなのは、如何にも迷宮的な装置を使ったり、
時間軸を意図的に変えたりする手法だが(オーソンウェ
ルズの<審判>は良かった)、そういうわざとらしさ
は一切なく、しかし「カフカ」の世界だと思わせる
ものを持っている。
それと後感じたのは、このそぎ落とし振りは「能」(は
い、見たこともないのに想像で言っています)ではな
いかということ。
関係を突き詰めると、こういう形式に行き着くのか、と
思わず納得した。
その度合いで監督を並べると、「カウリスマキ」「ブレッ
ソン」「ストローブ=ユイレ」ということになるのだ。