ピカビア通信

アート、食べ物、音楽、映画、写真などについての雑記。

北欧

2007年05月18日 | 映画


BSで「過去のない男」を放映していたので、久しぶ
りにリアルタイムで見た。
監督はアキ.カウリスマキ。
フィンランドの監督と言えばカウリスマキ、そのくら
い有名な監督だ(飽くまでもある程度映画を知ってい
る人の間ではという限定付きだが)。
特徴は、その風土によるのか、兎に角寒々しい風景、そ
して登場する人間はその風景に合わせたかのように無
表情、無口、そして感情は殆ど表わさない。
あと、大胆な省略。
説明調な部分がない。
と、まとめるとこうなるが、これだけでみると暗い映
画の一言で済まされそうだ。
確かに暗いか明るいかと言われれば、間違いなく暗い。

今回の「過去のない男」も、ホームレスのような連中
が、悪徳警官やら、暴漢などにひどい目に合ったりと、
社会の底辺でもがく様を描いているのだが、そこにこ
の監督の特徴でもある暖かい視線、そして不幸の物語
にならないユーモアがあり、見終わると何故かほっと
するような安堵に似た気持ちをもたらしてくれる。
間の取り方とか、ブラックな味付けとか、思わず笑っ
てしまうユーモアとか誰かの映画に似ていると思った
が、「北野武」だ。
今回、久しぶりに「カウリスマキ」を見て、強くそう
思った。
感情表現に囚われることなく、その関系を描くとでも
言えば良いか。

それにしても今回の映画で一番笑ったと言うか、日本
人だから受けたという場面が一つあったのだがあれは
一体なんだったのだろう。
記憶をなくした主人公が、元の奥さんに別れを告げ再
び戻る場面、列車の食堂車で日本酒と鮨を食べるのだ。
ご丁寧に日本の歌謡曲までかかっている。
北欧イコール冬の日本海、それまで感じていた印象が
一気に顕在化したシーンだった。
同じような風土からは、同じような感性が出来上がる
ということか。

そうだ北欧に行こう。
実際に北欧に行くわけにも行かないので、お為ごかし
に小淵沢に最近出来た「北欧料理」の店に行くことに
した。
「風林火山」景気か、例年より小淵沢周辺の人出は多
い。
林に囲まれた北欧風の建物(多分)の店にも、結構車
は止まっていて、この時期にしては、とまたまた思っ
た。
しかし、店はそれ以上に収容できる規模だった。
つまり、外見からでは判らない広い店内であったと言
うことだ。
白木のテーブルに椅子、壁も白木、まるで教室のよう
な店内。
つまり、殺風景。
北欧か(これこそ欧米か)?
ランチメニュウは全てセットで、一番安い1680円
の何とか(忘れた)を頼む。
オードブル、スープ、メイン、サラダ、デザート、コ
ーヒーというラインナップ。
量的には充分お値打ち感はあった。
味的にはどうか。
オードブルの「鰊の酢漬け」以外に、北欧風を感じる
ことが出来なかったのだが、なんせ北欧料理というも
のを知らないので今ひとつ確信がない。
そこで推測で言うと、味付けの特徴は、クリームバター
のこってり味。
寒いところなので高カロリーを要求するだろう、とい
うことなのだが、その基準で言うと、今回メインで頼
んだ魚料理は、魚自体はなんだか判らない白身で、多
分冷凍ものだろうが、ソースはこってりしていた(香
りとか、はっきりした切れのない味)。
付け合せの野菜も、素材の味は殆どしない。
全体の印象は、フランスの高速道路のサービスエリア
のセルフサービスのレストランの料理。
つまり、繊細さとか素材の味とか、そういうものを求
める味ではないということ。
不味くはないが(セルフサービスは不味いのもある)
それ以上でもないということだ。
多分本場だと、新鮮な魚介類があり、充分素材で食べ
られるのだろうと思うが。
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