3月例会(旧黒川小学校見学)に参加して
藤井隆幸
3月例会は3月28日(火)でした。記憶の確かなうちに、書いておかなければならないと思いつつ、今になってしまいました。廃校になった旧黒川小学校(現公民館)の見学会ということだったのですが、色々ありましたので有意義でした。
旧黒川小学校の事については、「終戦直後に建設された黒川小学校保存について」(『みちしるべ』2022年夏季号 Vol.113)という記事を、田中廉さんが書かれているので、割愛させていただきます。要するに、文化財的価値のある木造校舎を、開発のために取り壊す話が出ているとのことで、保存運動を展開されているということです。
さて、久しぶりに集合場所の[能勢電鉄]妙見口駅まで出かけました。街中の立派な駅舎があるということではなく、昔懐かしい駅ではあります。とは言うものの、自動改札機が完備され、時代を感じさせます。改札建屋には、燕が巣作りをしていて春を感じさせていました。ヨッシーが土筆(つくし)を見つけて採取していたところ、何の問題もなさそうだったのですが、「そちらのホームには入らないで下さい」と駅員さんに言われ、収穫はそこまでに。
出席届のあった5名がそろったので、現地まで田舎道を進むことになりました。見知らぬハイカーとすれ違うたびに、お互いに挨拶するなど、心豊かな気分にさせられる道歩き。道中、直径1mで厚さが40cmほどの大きな石傘の灯篭が、いくつかありました。江戸時代のものと思われるのですが、お光を入れるところだけが、御影石の現代的構造物で、何とも違和感がありました。
田中さんと澤山さんがいることで、さまざまな植物の説明があり、ヨッシーなどは食材の取入れに懸命でした。国道からわき道に入り、台場クヌギを見せてもらいました。ご当地は菊炭(切口が菊の文様)の生産地で、今もわずかに生産されているとのこと。直径5cm程度に成長した枝を切って炭にするので、地上から1m程は30cm径程度の樹木なのですが、その上は小枝ばかりになっていて、とても妙な樹形なのです。生産活動が殆ど縮小しているので、台場クヌギも放置され、枯れてゆくものが多く見かけられました。今は使われていない炭焼き窯も、見ることが出来ました。
妙見山へのケーブルカーの駅で、トイレ休憩をしました。出したので入れなければならないと、ビールを購入することになりました。どう見ても酒屋さんなどないのですが、その昔、営業していたというお宅に寄り、それぞれビールを購入し、川西自然教室が地主さんに借りている山小屋(というより掘建て小屋)で戴きました。
旧黒川小学校に着いたのですが、先ずはトイレに。入れたら出すの原理です。現代風の水洗トイレで、川西自然教室のイベントでもよくお借りするとのこと。靴を脱いで廊下を行くと、突き当りに昔のトイレがありました。勿論、汲取り式の完全木造です。今は使われていないので、異臭などもなく、清潔に清掃されていました。
中には入れなかったのですが、昔そのままの教室があり、木製の机と椅子がありました。我らが小学生の頃に使ったものです。床もガラス扉も、昔のままのものでした。何とも懐かしい限りです。別の部屋は、公民館として使われているので、現代のテーブルとパイプ椅子が設置されていました。
入口玄関には、昔の児童が書いたものとされる絵画が展示してあり、現代の子供たちと感性の違いがあることを思わせていました。
帰り道は別ルートを通りましたが、一番若手の平出さんはグッタリ疲れ果てた様子。都会生活では山道を歩かないので、仕方ないのかもしれません。澤山さんがバスの時間が合えばということで、妙見山ふもとまで行き、妙見口駅までバスで帰りました。行きのコースよりも随分遠回りらしいのですが、あっと言う間に到着。
さて、文化財的木造校舎の保存運動は如何に。日本は地震大国であり、大火も多く発生するお国柄。お伊勢さんなどは、内宮・下宮を交互に30年で建て替える仕来たりです。スクラップ・エンド・ビルドの風潮が色濃くあります。しかしながら、現代日本社会は、文化は金にならない。儲けの方向に、不必要に急伸する流れになっているのではないか。欧米の建物保存する流れを、欧米崇拝日本は真似をしてみては。法隆寺だけが文化財でもなかろうと思いますが。
【投稿日 2023.5.16.】
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