『みちしるべ』 by 阪神間道路問題ネットワーク

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『みちしるべ』段ボールの再生率は99%**<2008.7. Vol.53>

2008年07月03日 | 神崎敏則

古段ボール再生工場見学
段ボールの再生率は99%

みちと環境の会 神崎敏則

 先日、尼崎にある段ボールの再生工場を見学しましたので、その報告をさせていただきます。見学先は、段ボール業界では日本一のシェアーを誇る㈱レンゴーの尼崎工場です。

 担当者によれば、段ボールは99%が再利用されているそうです。新パルプの混入率は0.7~0.9%だけで、古紙の他は繊維の強度を高める目的で松やに等を少量混入する程度とか。古紙ではあっても新聞紙などは使用せずにもっぱら古段ボールだけ。その古段ボールも、中国が段ボールの製造に力を入れだして購入単価が上がり、この1年で2倍になって、今では20円/kgで古段ボールを購入して50円/kgの商品を製造しているそうです。この工場だけで、一日1200kgの古紙を再生しているそうです。

 段ボール板紙は、表面のライナーと言われる2枚と、波形の中紙の計3層で構成されていますが、尼崎工場ではその中の波形紙を製造して、三田や京都府の工場へ搬送しています。

 工場では、まず最初に古段ボールを大型の溶解槽に入れて溶かします。

 その大型の洗濯槽の中では液体と古紙が攪拌され、その中心部分に、鎖のようなもので不純物をまきとって取り出しています。不純物とは、古紙に付着しているビニールひもや針金のたぐいだそうです。その針金などの金属もバン線の原料に利用していると担当者は自慢げでした。

 大型洗濯機で攪拌された液状の古紙は、和紙の製造でいえばすく作業に入りますが、ここでは攪拌された古紙を液体もろとも吹き付け、それを大型ローラーが巻きつけながら蒸気と熱で乾燥します。何本ものローラーが入った大型ボックスの中を分速600mもの速さで送られ、ボックスから出た段階で長さ6m直径2mのロール紙が完成します。段ボールの中紙を製造している工場ですが、同じ中紙でも紙厚は何種類かあり、大型古紙に含まれている針金やビニールなどボックスの中を走る速度は、紙厚の種類により分速1000mの速度に調整するものもあるそうです。完成したロール紙は、ロール巻きのまま回転しながら2本のカッターのようなもので3本のロール紙に切断されます。

 段ボール製造業界でもご多分にもれず、燃料の高騰が現在の課題だそうです。もともと関電の電気代は高いので、昼間はガスエンジン、ガスタービン、蒸気タービンの3種類の自家発電機を使って昼間は運転し、夜間は関電の電気単価が低いので、その時間帯は関電の電気を使用しているそうです。

 担当者が言うには、段ボールは脱色や漂白をしないので古紙再生に適しているそうです。最近問題が顕在化した紙の再生率の偽装については、もともとコピー用紙などは、白さと鉛筆書きが可能な平滑さが求められているので再生が難しく、そもそも再生紙を使うこと自体が無理だと分かっていたはず、というのが担当者の見解でした。

 現場に足を踏み入れると、妙に説得力を感じてしまいました。

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