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君が元気でいてくれたら、僕はうれしい~一片の真実~

こんなタイトルの映画かあったような、
あるいは、
こんなセリフが、
映画の中にあったような気がするのだけれど、
思い出せない。

ネットで調べたら、
「あなたが元気でいてくれたら、うれしい」
という惹句はあった。
『ペタル ダンス』(2013年)
石川寛監督、宮崎あおい、忽那汐里、安藤サクラ、吹石一恵出演。
でも、この映画、わたしは観ていない。

しかたがないから、
僕が思いつく情景を言葉にしてみよう。

青い海、青い空。
白い飛行機雲。
熱い砂浜。
陽光に波頭がきらきら光る

君の笑顔
はじけるような笑い声が響く

あのときの君はもういない
同じ青空の下
僕は、遠くにいる君を想って
砂浜に、棒きれで、大きな字で
こっそり、君へのラブレターを描く
君が元気でいてくれますように…。

先日、友達のライブが西宮であって、
お店まで行く途中のこと。
住宅街のあたり。
小さな子どもが、道から、家の庭の方をのぞいて
「ワン、ワン」と叫んでいるのが見えた。
母親らしい若い女性が、
微笑みながら傍らに立っていて、
男の子は、至極、真剣な面持ちで、
身体じゅうの力をふりしぼるようにして
声を出して、犬に話しかけているようだった。

通りすがら、のぞいてみると、
家の庭に、大きな置き物の犬が二つ置かれていて、
こどもは、それに向かって、声をかけているのだとわかった。

母親は、「いい子だね、もう満足した?」と
なかば、呆れながらも、優しく子どもに声をかけ、
子どもは、「どうして、鳴かないんだろうね」と頭をかしげながら、
母親と手をつないで、とことこと歩いて行った。

昼下がりのひとつの光景。

母親は、いつか、子どもに教えるだろうか。
あれは、瀬戸物でできた、犬の置物だと。

幻でもいい。
真剣であること。
そこから、何かが生まれてくるはず…。
あの男の子にとって、
たとえ置き物であっても、
本物以上に、立派な犬に見えたにちがいない、きっと。
それもまた、一片の真実。

3月初め、春のような陽気がたちこめる週末の出来事。
楽しいライブに行きがてらの道中に出会った親子の姿は、
なぜか、私の心に強く刻みこまれている。

コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
Unknown (通りすがりのバロン)
2020-02-04 06:21:30
ずいぶん前のブログに突然のコメント失礼いたします<(_ _*)>

この映画
もしかして
萩生田宏治監督の≪君が元気でやっていてくれると嬉しい≫
ではないですか?

久しぶりに監督のこの映画を検索していて
こちらにたどり着きました。

何か記憶をたどる一片になればと思い
コメントを残させて頂きます。
お邪魔いたしました<(_ _*)>
 
 
 
通りすがりのバロンさんへ (パラパラ)
2020-02-04 23:23:43
コメントありがとうございます。

この言葉は、ちょっと元気づけられる呪文のような感じがしていて、時々思い出していたのですが、そういうタイトルだったのですね!

映画は観てないのですが、ちらしは見覚えがあり、この映画のことです。すっきりしました!
ありがとうございました。

萩生田宏治監督の『帰郷』が大好きです。

また、バロンさんのおかげで、随分昔に自分が書いた拙文と再会させていただき、このとき見た風景が鮮やかによみがえりました。

「通りすがりの」って、詩的でいいお名前ですね。
あらためて書くことを大切にしたいと思う機会をくださり、重ねてお礼申し上げます。
 
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